69.新しい二人
「ヘレナ、今度二人で旅行に行かないか?」
仕事の休憩がたまたま重なり、カフェで
過ごしていた。
アーノルドとヘレナは今、お互いを信頼した
お付き合いをしていた。
「そうはいっても、なかなか休みが合わないわ」
国家機関で働く二人は超多忙だった。
「行き先はもう決まってる。アルベルトだ」
「アルベルト? 私は今度初めて仕事で行くことに
なるのに…」
そろそろ三か国を受け持つまでになっていた
ヘレナ。新人にしては早いペースだ。
せっかく休暇を取るなら、仕事とは関係のない国に
行きたかった。
アーノルドは続けた。
「それだよ。君がアルベルトに出張で行くタイミング
で僕が休みを取るのさ」
出張の予定まで調べて計画的だ。
「でも…私は忙しくて、観光もできないわ。」
ヘレナだけが忙しいなんて…あり得ない。
ぷぅっと頬を膨らましたヘレナの頭をポンポン
と慰めるように触る。
「大丈夫。きちんと根回ししてあるから!
じゃあ、次のアルベルトの出張でね」
忙しい彼は、休憩もすぐに終わってしまう。
アーノルドはいつもヘレナを旅行につれて
いきたいと言う。
二人の思い出を沢山作りたいようだ。
今まで5カ国ほど遊びに行ったが、どれも
過密スケジュールだった。
今回は…少しゆっくり出来るといいな。
休憩を終え、職場へ戻る。
「ヘレナ·ウォズリー、ちょっといいか?」
アーノルドを紹介した上司である。
「やっぱり、君達は気が合うと思ったよ。
私の見立てはかならず当たる!」
仕事の話かとおもったら……。
興奮気味に話している。
ヘレナ達だけでなく、他にも合いそうなカップル
を紹介するのがこの上司の趣味だ。
「あの…それで…どのような?」
上司が思うほどアーノルドとはまだ
それほど深い関係ではなかった。
「アルベルトの出張の件だが、あれが本来の
日程の半分で済むことになりそうでな…
残りの日程は休暇として過ごすといい。
二人とも職務への貢献度が高いからな!
特別だ」
「本当ですか?!」
アーノルドの完璧な根回しだった。
「ねぇ…どんな作戦で休暇を掴んだの?すごいわ」
ヘレナはとても感心していた。
そんな話術があるなら、教えてほしいくらいだ。
「それくらい、よく働いてるよヘレナは」
新人で三か国を担当するほどの職員は少ない。
アーノルドはヘレナの仕事をよく理解していた。
ヘレナが大変な仕事抱えている時
移動スケジュールがハードな時など…
理解力が有る彼となら
うまくバランスを取りながら仕事がてきた。
しかし…そこには、
あの心が沸き立つような…焼き尽くすような
そんな感情は無かった——。




