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ヘレナとウィル〜隣国の王子と交わした約束〜  作者: シャルru


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65/79

65.古い手紙


 ヘレナから手紙が届いた。


 先生にお手紙を託すなんて申し訳なくて出来ない。

 というヘレナは、一度も僕に手紙をくれたことは

 無かった。


 とても嬉しいはずなのに、少し心がざわめいて

 開くのが怖い。


 昔の様な元気がなくなった彼女。

 僕のそばにいる事を遠慮するようになった彼女。

 ……思いを口にしなくなった彼女。


 そのどれもが——あの夜会からだった。


 重い気持ちで手紙を開封する。


 ——ハラリ。


 一枚の古ボケた紙が手元に落ちてきた。

 

 それは…ヘレナに出会った年に、

 初めて彼女に書いたあの手紙だった。


 ズシン。と鉛をら背負ったような感覚。

 懐かしい自分の手紙を読む。


『愛しいヘレナ


 君に何も言わず、急に学園を休んでしまって

 淋しく思っているだろうか?

 

 僕は君と過ごす未来を失いたくない。

 

 アルベルトでその道を必ず見つける。

 ——それまで待っていて欲しい。


           ウィルより   』

 

 ——ウィルの中で、今でも変わらないその気持ち。


 ヘレナは何度もこの手紙を読んだのだろう。

 文字が涙で滲んでいる。

 ずっと大切に持っていてくれた。



 それから…ヘレナの手紙を読んだ。


『大切なウィル。


 あなたはスレイド様と共にアルベルトを率いて行く

 立派な王族になってください。

 私は守られるだけの女性ではなく、自分の足で

 3カ国から必要とされる人になれるよう頑張ります


 ——お互いの未来のために——


            ヘレナ  』


 ウィルから嗚咽が漏れた。

 

 これほど想っているのに、

 僕はヘレナを…一人で苦しませてしまった……。

 

 僕はこんなに大切な人を

 この一年、悲しませてばかりだった…


 ウィルは手紙を持ったまま。

 しばらく動くことが出来なかった。

 

 

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