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ヘレナとウィル〜隣国の王子と交わした約束〜  作者: シャルru


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61/79

61.大切な人

 

「ウィル。私もあなたが大切で、大好きなの。

 あなたにとても会いたくて…今日ここに来たわ。

 でも…。」


 ヘレナの瞳が涙で揺れている——。

 瞳の中で収まらない涙が頬を伝う。


「ヘレナっ」

 ウィルは自分の鼓動がヘレナに伝わる程強く

 だきしめた。離したくない。離れたくない。


 しかし…ヘレナの腕は弱々しくウィルを

 抱きしめかえした。


「守られるしかない未来は…苦しいわ。

 ——きっと、あなたにもいずれ負担をかける事に

 なる。私も…アルベルトでなければ…。

 一人の、人間として自立して生きていけると

 ふと思ったの。」


 その言葉はウィルをつらぬく勢いで突き抜けた。

 ヘレナの瞳をみつめる。

「負担など…そんなことはない。ヘレナはまだ

 気持が癒えていないと分かっている。辛い思い

 をさせて…本当にすまなかった」


 誰も悪いわけではない。

 それは二人とも分かっていた。

 けれど…


 …いつからか、思ったことをウィルに

  話せなくなっていた。

 

 …いつからかヘレナを心から

  笑顔にする事が出来なくなっていた。

 



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