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ヘレナとウィル〜隣国の王子と交わした約束〜  作者: シャルru


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59/79

59.普通の恋

『ヘレナ。

 王城で君が過ごしていた部屋を、今でも

 ときどき見に行くことがあるんだ。


 君とここで過ごせた事は、

 かけがえのない日々だった。

 ヘレナは少し疲れてしまったかもしれないが


 落ち着いたらまた遊びにおいで。

 今度は二人でゆっくり過ごそう

 楽しみにしている。

 

 冬は雪が積もってとても綺麗な所だよ

          ウィル 』


 ——ウィル。

 あなたがとても大好きなのに。とても遠い。


 ※※


 フェルラーでも雪が舞い始めた。

 ここで迎える初めての冬。


 寮の学生達で簡単なパーティを企画した。

「今日は夜どうし楽しみましょう!」


 集まった10名ほどの男女は、

 勉強以外の趣味や、他愛のない会話で盛り上がっ

 た。

 その中に恋人同士もいて、皆で冷やかしている。


 カップルは、寄り添うように腰掛けている。

「……それで、夏は二人でいろんな所を旅したんだ」

「ずっと二人って、喧嘩しないの?」

「今のところ…しないわ!ねぇ!」

 微笑み会う二人。仲の良さを感じる。

「は——参った参った。幸せだな二人は!」


 ハハハ。と皆の冷やかしと笑顔が絶えない。


 いつでも友達に紹介出来て、恋の話もできる…

 それに何より普通にずっと共に過ごせるなんて…。


 自分と変わらない立場の二人と、ヘレナの恋を

 比べてすこし落ち込む。


 それはヘレナとウィルには無い完全な自由だった。


 アルベルトに行く前は、ヘレナも

 ふつうの恋人の様に少しは過ごせると思ってい

 た…。


 目の前のカップルをみて、

 学園の頃を思い出した。


 それは…二度と戻れない時間だった。


 ——つう となぜか涙が伝っていた。


「……ヘレナ。どうしたの?体調が悪いなら

 一緒に戻ろうか?」


 レイチェルはこの頃特に優しい。

 きっと何かで悩んでいることをわかりつつも

 踏み込んでくることなく、支えてくれる。


「ううん。違うの。懐かし思い出を思い出したの」



 

 

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