51.そのままで
「ウィル…ごめんなさい。私…。」
しかし、ウィルはヘレナの言う通りだと思った。
初めての場所なのに…育ってきたかの様に
振る舞うなど。
「やはり急過ぎたんだ。負担になっているはずだ。
アルベルトを楽しんで欲しかったのに…。
ヘレナに辛い思いをさせたくないんだ…」
——しかしヘレナは…。
「そうじゃないの。いつか身に付けなければいけないのだから…。それが、今なのか後なのか。それだけなのよ」
そう言うとまた、ドレスで歩く練習を始めた。
※※
「ヘレナ様、堅い雰囲気がなくなって、柔らかな
動作が馴染んできましたね。」
夜会の1週間前にようやくニナから褒められた。
努力が報われた気がして、ヘレナは嬉しかった。
——あと少しだわ!
それからは、階段を登ったり降りたり。
カーテシーを何度も練習したり…。
グラスを持っての会話など。
なんとか、他国から来た学生の客人としてなら
失礼は無い程度に仕上がった。
「ヘレナ様、頑張りましたね!1ヶ月でここまで!
あとは……会場の空気に慣れていただければ。」
ニナは、ヘレナの頑張りを心から讃えた。
「本当によく頑張ったねヘレナ。
明日は隣には居られないが、ニナも会場に居るし
王城の皆が見守っているから安心して」
このところ、ヘレナを心配したウィルは、最後の
練習を見に来ていたのだ。
「ありがとうございます。殿下。ニナさん。明日は楽しむ余裕はないけれど、よい時間になるといいな」
明日のドレスと靴を確認して、
ヘレナは早く休む事にした。




