49.ニナの心
ヘレナは笑っていたが、実際夜会に出られる
状態なのか、貴族の中で、彼女を傷つけるようなこ
とが起こる状況は作りたくなかった。
一方で、ヘレナを王に認めさせる良い機会
でもある。
一般人であっても、少しずつ王族に馴染むことは
可能なはずだ。
その二つの考えでウィルは揺れていた。
まず、ニナに確認する事にしよう。
「ニナ、これまでヘレナの指導とフォロー助かった。
ありがとう」
ニナは穏やかに頷いた。
「ところで…先日、ヘレナを次の夜会に招待する事が
決まった。婚約者としてではなく、客人としてだ」
それを聞いたニナの表情が、僅かに曇った。
——やはり。まだ難しいのか?
「殿下あと、一月もありませんが…。」
「わかっている。しかし…婚約者としてなら
止めたが、客人としてなら…招待客の興味も
反れるだろう」
初めは、婚約者としてなら公でフォローできると
考えていたが、それは貴族の興味を引くことにな
る。
他国から来た客人としてなら…控え目にその
場になじんでいれば、時間が過ぎるだろうと
考えたのだった。
「昨日の茶会は、ニナの指導もあって、他国の
客人としてなら十分な振る舞いだったと思う」
ウィルはまだ知らなかった。
ヘレナにとってあの日の所作が、王族の振る舞いに
繋がると思っていたことを。
ニナは少し考えて、
「急な事ですので、立ち居振る舞いまででしたら
既に心得ておられますので大丈夫かと…」
ニナの内心は少しの焦りがあった。
これまでの数日で、ヘレナの疲れはピークに
達しているだろう。
しかしニナは…二人に新しい王族の姿を見ていた。
なんとか力になりたいと思っていたのだった。




