47.お茶会
「初めてお目にかかります。
リッツ国から参りました、ヘレナ·ウォズリーと
申します——。今はフェルラー外国語大学の学生
です」
緊張しつつも、しっかりとした印象の挨拶が
で来たように思う。
「まぁ……あなたがヘレナさんなのね。」
優しく微笑んでくれる王妃。
「可愛らしい方ね」
王妃の反応は、とても柔らかだった。
「フェルラーの学生とは。大したものだ。」
兄のスレイドは、少し驚いた様子だった。
「さぁヘレナ、僕の隣に」
自然とヘレナを席へ促す。
皆が揃ったところでお茶が運ばれてきた。
——始まった——。
ヘレナにしてみると、試験が始まったような
気持ちだった。
運ばれたティーカップ。お茶菓子。
最初に王族の皆さんが召し上がってから——。
「——それで大学ではどの国の語学を?」
「は、はい。目標は3カ国を習得しようと思っておりまして、フェルラーと、アルベルトとリッツです。」
「わが国の言語も学ぶ姿勢は、嬉しいね」
「何かやりたいお仕事でも?」
——これは王族にとって、重要な質問だった。
真剣に学ぶほど、その力を活かしたいと
思うからだ。
「学ぶきっかけは、学園のころ出会った先生の
影響です。先生の様に立派な大人になりたいという
漠然とした目標しか、まだ……有りません…」
「そう…。良い先生との出会いがあって、良かったわ
ね」
失礼なく話すことと、マナーを守ること、
笑顔を絶やさないこと。
緊張の中、それらを同時にこなすのは、今のヘレナ
には至難の技だった。
「お茶が進んでないわ、楽しんでちょうだい」
王妃はヘレナに気遣ってくれた。
出されたお茶に口をつけないのも良くない。
「母上、そんなに質問攻めにしては、落ち着いて
お茶など飲めない。ヘレナ、自分のペースで
大丈夫だ」
「——あ、ありがとうございます。殿下」
少し驚いた様子のウィル。
しかしにっこりと微笑んだ。
それからは、この国の美しい場所や、
おいしい食べ物。
若者の文化などの話が中心になり、
ヘレナは、笑顔で聞いていた。
ニナに教わった通り、静かにカップを
持ち上げて、お茶を頂く。
王妃様ほどではないが、ほんの少し優雅に
嗜む事がで来たように思う。
「……今日は素敵な令嬢と話せてよかった
素晴らしい女性だな、ウィル」
陛下は満足な様子だった。
お茶会もお開きになりそうな頃
会話を見守ることが多かった
スレイドが口を開いた。
「——ヘレナ令嬢。今度、王家主催の夜会があるのた
がリッツからの客人として参加してみてはどうか
な?」
——その一言が全ての始まりだった。




