45.夢と現実
もっと新生活の話を聞きたい。 でも、今度は男性
の個人名が出てくるかもしれないと思うと…
そんな感情の波に付き合うのが大変だった。
そうやって二人で過ごしていると、時間が経
つのも忘れてずっと一緒に居られた。
しかし、そろそろ終わり近づく——。
コンコン。
「失礼いたします。殿下、そろそろ次の執務のお時間
が迫っております…」
すっと、王子の顔に戻る。
「……わかった。もうすぐ行く」
夕方、陛下と共に要人を迎える予定になっていた。
「ヘレナ。今日は疲れただろうから、ゆっくり過ごし
て。ニナに王城を案内させてもいいし…。
明日は家族に紹介したいと思ってる」
そういって、離れがたいけれど、優しくヘレナ
を抱きしめて、
「また、明日ね」
と言って執務に戻ることにした。
せっかくアルベルトに来たのに、ずっと一緒に、
居られないのは残念だが……。
ウィルに手を振って、部屋に残されたヘレナ
はゆっくりとソファーに座りなおした。
ウィルはすごく素敵だった。
大人びた衣装を着こなして、少し男らしさも
増していた。
少し気にしていた短い髪型も褒めてくれたし、
ヘレナの話を沢山聞いてくれた。
こんな毎日が永遠に続けば良いのに。
そんな願いはすぐには叶わないと分かっていても、
そう思わずにはいられなかった。
ニナさんとともに客室へ戻り、
少し話をする。
「ヘレナ様。素敵な時間が過ごせましたでしょう
か?」
今日までのヘレナを見てきたニナさんは
ヘレナと共に喜びを、分かち合ってくれた。
——そう。あの時間は王城の皆さんの協力が
あってこその時間だ。
「会えなかった1年が埋まるほど幸せでした」
「その言葉が、聞けて私共も嬉しいです」
ニナさんに出会えた事も感謝でいっぱいだ。
「それと、明日のご予定ですが…
短い時間ではありますが、陛下と皇后様、それから
スレイド様とご挨拶程度にお茶会を
予定しております。」




