31.会えない日々
ウィルが帰国して数日後、
兄である、スレイドの婚約を新聞の記事で見つけ
た。
相手はアルベルト国の公爵家の令嬢で、
スレイドより二歳年下だった。
「ホントなんだね…」
大国であるアルベルトの王太子の婚約ニュースは
リッツでもしばらく続いた。
※※
窓の隙間から、冷たい風が入り込む。
なるべく教室の真ん中辺りに陣取って、休み時間を
過ごす。
「なんだか早いね〜もうこのクラスもあと3学期を
残すのみ…」
進路に迷っていたミーシャは、学園生活が楽しすぎ
るという理由で、教員になって母校に戻るという夢
に向かって頑張っている。
「ヘレナ、フェルラーに行ったら遊びにいってい
い?」
「もちろん大歓迎だよ」
——肌寒い季節が近づくと、ウィルからの
手紙が届く気がして、嬉しかった。
寒さは苦手なはずなのに、もっと寒くなれと
空をみていた。
しかし、この冬ウィルはリッツに
来ることはなかった。
家に帰るたび、今日こそ手紙が届いているかもと
期待したが、新しい年が明け、雪が解ける頃には
ウィルの忙しいさを思い、また勉強に打ち込んだ。
私だってこれから新しい生活がはじまる。
忙しくなるわ。
今はウィルに会えなくても、あっという間に
淋しさは過ぎていくわ。
夏の思い出と、ウィルからのあの手紙は
ヘレナをいつも支えた。
カイ先生との勉強時間を増やし
フェルラーでもしっかりと勉強についていけるよう
努力し続けた。
「君は本当に努力家だな。推薦してよかったよ」
カイ先生は、3年生の後半になって更に勉強を
加速させたヘレナに驚いていた。
「先生、私も先生のように3カ国扱えたら、
自分に誇りが持てそうな気がするんです。」
ヘレナは、今の自分が好きだった。
自分で決めた目標に向かって、
精一杯頑張る自分。
それに、逢いたい人にすぐあえなくても、
悲しむだけではなく、その人と肩を並べて
いられるよう努力する自分。
こんな私になれたのも、ウィルに出会ったから。
ヘレナ達はもうすぐ、卒業を迎えようとしていた。




