3.靴は幸せを運んでくる
ヘレナは不思議に思った。
釣られる要素ってなんだろう?
「ウィルが私を釣る要素はなんですか?」
などと本人に聞くわけにもいかず…
今日の放課後もウィルと待ち合わせていた。
「ヘレナ、誕生日おめでとう」
今日は私の誕生日。
ウィルは、まだ学生にも関わらず、
薔薇の花束と
素敵な靴をプレゼントしてくれた。
「とうして?靴なの?」
ヘレナはサイズを知っていることも驚いたが
学生らしからぬ、ヒールのパンプスという贈り物に
違和感を覚えた。
「大切なレディへの最初の贈り物は、素敵なパンプス
と、僕の中で決まってる。」
「そ、そうなの?とても素敵ね。履いてみてもい
い?」
ウィルが選んでくれたパンプスは、ヘレナには少しだけオトナっぽいけれど、とても素敵だった。
「ヘレナ、とても似合うよ」
「ありがとう。大切にするわ」
……靴は幸せを運んで来る。そう言う意味かしら?
ヘレナは家について、自分の部屋で先程の靴を履いてみる。パンプスは履き慣れないけれど、上質な靴は彼女の足を柔らかくつつみ込んでくれる。
「どこへでも歩いていけそう!」
ヘレナはウィルが選んだこの靴の色もデザインも
とても気に入った。
週末はこの靴に似合う少しオトナっぽい服を買いに
出かけよう。
誕生日だというのに、ヘレナの家族は
少し無関心だった。
兄は、誕生日など12歳までのお祝いだ。という。
忙しい両親は「17歳おめでとう」の一言で終わっ
た。
別にプレゼントが欲しいとか、パーティをやりたい
わけではないけれど…。
——なんとなく…少し寂しかった。
ウィルに貰った花束を部屋に飾って、前から準備し
ていた干しブドウのケーキを、一口食べる。
うん…おいしい。
17歳はきっと、この靴が幸せを運んでくれるわ!
ヘレナは明るく笑った。
そういえば、ウィルへの返事をまだしていない。
ウィルの事は好き。
だけど、友達なのか恋してるのか…?
それがわからない。
明日ミーシャに相談してみようかな…




