25.君を探してる
今日は学園で進路の面談がある。
まだ2年なので、本格的なものではないが、
皆が自分の将来を意識し始める。
調査書に記入し終わったところで、
チャイムがなった。
休む時間になると、それぞれ友人の所に集まり、
急ににぎやかになる。
「ヘレナはやっぱり外国語系にいくの?」
ミーシャも夕べは親と進路の話題が出たようだ。
皆同じ授業を受けて過ごしていた日々が、
少しずつ分岐していく。
「今のところ、それが一番得意だからね」
「そっか。ルイーザは?」
自分をしっかり持っているルイーザは目標が
決まってこるだろうか。
「私は悩んでる。医療に関わりたいけど、子供も好き
だし…。そういうミーシャは?」
いつもは一番に自分の話をしたがるのに、
進路の話はいつも引き気味だった彼女。
「わたしはね〜。決められないのッ。皆何かしら希望
があるのに…私は学園生活を続けたい!」
「あはは。なにそれー」
皆、個々に自分を見つめ始めていた。
その後もクラスのあちこちで進路の話が
聞こえていた。
放課後…
ヘレナは今日も図書室でウィルと待ち合わせだ。
ミーシャ達と話し込んで、すっかりいつもの時間を
過ぎていた。
別棟にある図書室へ向かっていると、渡り廊下で
カイ先生と会った。
「ヘレナ·ウォズリー、ちょうど良かった。
君は大学で外国語を学ぶ予定はあるか?」
今日はカイ先生の授業がなかったから、
話す機会もなかったからだろう、
廊下で話すには少し個人的な話だった。
先生からの話の内容に、ヘレナは図書室へ急ぐ気持
ちが少し薄らいだ。
「え、あ、はい。今のところ得意なものなので、
進路希望に書きました」
「……そうか、それならちょうどよかった。
他国の大学はどうだ?」
——他国。
またしても、ヘレナにリッツ以外の国を選択をする
機会があるとは。
「一応、考えてみないか?詳細はまた機会があるとき
に話す」
カイ先生は、そこまで話すと、
急いでいるようでサッと手を挙げると
足早に去っていった。
リッツ国は比較的小さい国なので、
大学の数はそんなに多くない。選択肢やレベルを考
えたら他国へ行くことは、ヘレナの可能性を
広げるだろう。
今度先生から詳しく聞いてみよう。
目の前の未来が広がる感覚と明るい行方。
色んな可能性がヘレナを前向きな気持ちにした。
「遅かったね」
先に図書室のいつもの席にウィルが座っていた。
机にはノートが広げられ数行の文字が書かれてい
る。
「待たせちゃった?」
迷わずすぐ隣の椅子を選び、カバンを足元におく。
「いや、渡り廊下で先生と話してたから、
もうすぐ来るなって思ってたよ」
ペンを持った手で渡り廊下の方を指す。
ウィルはホントにいつもヘレナを探している。




