24.素敵な贈り物
文化博物館を出て、少し歩いて賑やかな
商店街へと向かう。
遅れた昼食を簡単に済ませ、まだ夕暮れには早い
時間。
並んで歩いていた2人の手はどちらともなく
手を繋いでいた。
通りの中ほどに、小さなお店を見つける。
いつも学校帰りに寄る店とは違った
ハイセンスな雰囲気。
「ヘレナ、こういうお店好きでしょ?」
ウィルは、一件のアクセサリーショップを指さし
た。
「…ウィル、ホントによく分かるね」
その店は、落ち着いた雰囲気で、
安価過ぎない、質とデザイン性のある
アクセサリーを上品に並べていた。
「わぁー。キレイ」
手に取って、自分に当ててみる。
薄いブルーの石がついたシルバーのブレスレット
が、肌にとても似合う。
今は学校につけていけないし…
また、ここに来る機会があるかもしれない。
そう思って、ヘレナはブレスレットを棚に戻した。
その後も、ブルーの色合いがキレイで、
ずっと眺めていた。
「今日の服装なら、こっちも似合いそうだよ」
少し離れた所から声か聞こえる。
ウィルは、カットが美しく光を反射す
るイヤリングを選んで見せてくれた。
わぁ。ホントだ。
自分では選ばなかったけど、
こちらは今日のヘレナに似合った。
「よく似合ってるから、プレゼントしたい」
「いいの?」
「待ってて」
ウィルはプレゼント仕様に包んでもらっていた。
「はい。ヘレナ。今日の思い出に…」
ウィルが選んでくれたイヤリング。
白い小箱は今日という空気もその中に
閉じ込められていて開けるのが惜しいくらい
特別な宝物になった。
「そろそろ帰ろうか、遅くないうちに…」
夕日の強いオレンジ色がやがて紫がかってきた。
二人はまた自転車を漕いで帰宅する事にした。
——ただいま。
リビングを抜けて、キッチンに居る母に帰宅
を知らせる。
「あら、夕飯を食べて帰るのかと思ったわ」
「準備してるかと思って…」
これからお皿によそう所だったようで、
ちょうど良かったようた。
「じゃ、ご飯にしましょう」
以前は、外で済ませることもあった夕食。
手作りの夕食が並ぶようになって、
食欲が増えた。
やっぱり、誰かと食べるご飯は美味しい。
「そういえば、お父さんがヘレナの成績は
どれくらいだ?って聞いてきたから、
外国語が優秀よって話したら、将来は他国とやりと
りする仕事も良いなって言ってたわよ?ホント
気が早いわよね〜」
この頃は、父の事も母とよく話すようになった。
「そうだね。お父さんの会社にもあるの?」
「ヘレナがやりたければ、作るかもしれないわね?」
母は笑っていた。
相変わらず父と話す機会は少なく、いつもこんなや
りとりだ。 しかし、食事中に父の話題が出ることが
多くなり、気にかけてくれている事は伝わってきた
そろそろ学園に進路の希望を出さなければ
いけないし。
ヘレナは、今日ウィルと話した規模の大きな
話から、目の前にある自分の進路の話。
考える事の落差に戸惑っていた。




