23.想い合う気持ち
あまりに壮大な話で…
頭がの中がふわふわしている。
重い気持ちと、なにかに包まれたような、
二つの感覚。
今のヘレナは聞きたいこともあまり
思い浮かばなかった。聞くのが怖かったのかも
しれない。
ずっと頭をぐるぐる回るのは、ウィルが王子である
事と…それでも一緒にいられる可能性があるという
こと。
「ウィル。今は頭がいっぱいで…」
か弱くて小さな声だけれど、
ようやく、気持ちの一部が言葉に出来た。
いろいろな不安があるけれど、今、この時も、
ウィルを好きだという気持ちが、胸を掴んで離さな
い。
「うん、わかってるよ。まだ時間はあるんだ
いつでも話し合おう」
ウィルは少しホッとしたように、いつもの
休み時間の声に戻った。
どんなときもヘレナの様子をみて、合わせてくれ
る。
でも、時々ちょっとだけ強引なところが大好き
だ。
ウィルは、広々とした館内をしっかりとした意思を
持った瞳で見渡している。
一方のヘレナは、ぼんやりとその空間を
眺めながら、頭の中は忙しく動いていた。
王族の毎日の生活は想像もつかない。
一人で出かけることはないだろうし、
カフェで友達と会うことも無いだろう
会社勤めもしないだろうし…
貴族の人が友達になるのかな?
ヘレナが想像出来る範囲は限られていたし、
生涯、国内で過ごすことが当たり前の考えで
生きて来たヘレナには、
まさに雲の上の話だった。
——でも、ウィルが好き。
それはスッキリと晴れた渡った空のように、
はっきりとしていた。
突然居なくなった時、毎日が薄暗感じて
元気が出なかった。
なにか体の一部をなくしたかのような
違和感…
でも…
好きな気持は変わらなかった。
とても淋しさに弱いヘレナが、少しずつ
前向きに…
信じて待つことが出来た。
何より、ウィルがそばにいた日々が、
いままでの自分とは違う気持ちにしてくれていた。
——まだ何も分からない。 それでも、ウィルとなら歩
いてみたい。 そう思う気持ちが少し芽生え始めてい
た。




