19.素敵なお土産
「ヘレナ!用があるから早く来て!」
ひさしぶりの、ウィルがヘレナを呼ぶ声。
クラス内は、また始まった。といった雰囲気だっ
た。
「早く!」
ヘレナが早く席を立つのを急かしている。
ヘレナは、またウィルと二人の海に入っていくのが
少し怖かった。
前よりちょっと冷静になる。
「今、行くね」
廊下に出たヘレナの腕をつかんで階段下まで
ダッシュで連れて行く。
「ヘレナ。見せたいものがあるんだ」
そう言って、ウィルがヘレナに渡したものは…
見たこともない、七色にひかる貝だった。
「わぁーキレイ」
「アルベルトの国で獲れる貝だよ。」
ヘレナは貝を、明かりに透かしてみたり
覗き込んで模様をよく見たりして、
貝に夢中になった。
「ヘレナ、子供みたい。」
「だって、リッツには海がないでしよ?」
「びっくりした?」
「うん。キレイだからびっくりした」
ヘレナの笑顔がウィルに向けられた。
ウィルは、その笑顔をまじまじと見つめて、
また二人で笑った。
——いつの間にか、以前のの2人に戻ったように感
じた。
ウィルはまた、休み時間のたびに、
ヘレナのところへやってきた。
「ホント、ウィル…何だったのかしら?」
ミーシャは、呆れている。
「ヘレナはもっと怒ったほうがいいよ!
テスト前に心配させないでって。」
ルイーザも、ヘレナを見てきたので、
一緒になって怒っていた。
「二人が怒ってくれるから、私
怒ってもいいんだ〜って今思えたよ」
ヘレナは、本当の問題は何も解決してないことを
誰にも話せないでいた。
——昼休み——
「今日は、中庭でご飯食べようよ」
学園の中庭は、美しく手入れされた
まるでデートスポットの様なところだ。
美しい花を堪能できるように、ベンチが沢山
設置されている。
気候が良ければ、中庭で食べる生徒も多いが、
今は少し寒い。
「寒いから、上着貸すよ」
ウィルは、ヘレナの肩にそっと上着をかけた。
「ウィルは寒くない?」
「僕はマフラーがある。」
そこまでして、外で食べる理由もない気がしたけれ
ど…
ウィルが提案してれたので、付き合ってみる。
少し寒い中庭。
何となく二人の距離が近くなる。
「何でここにしたかわかる?」
ウィルは、ヘレナに質問した。
「うーん。この季節に咲く花を二人でみるため??」
「あー、それもあるけど…
ヘレナとくっつきたかったから!」
ウィルは、全く変わってない。
あの、半月が無かったかのようだ。
そこで、さっきミーシャ達に言われたことを
思い出す。
「ウィル!そんな事言っても、テスト前に
何も言わずにいなくなったこと、怒って、るん
だから…」
軽い冗談のつもりが、涙が流れた。
やっぱり平気ではなかったみたいだ。
「ヘレナ!」
まだ明るい学園の誰もいない中庭で、ウィルはヘレ
ナを抱きしめていた。
「ヘレナ。不安にさせてごめん。話すことは沢山ある
んだ。少しずつ全部話すからね。なにも隠したりし
ない。約束する」
ウィルは覗き込むように、ヘレナの瞳の輝きを
確認した。
美しく輝くヘレナの瞳。
ウィルは、その輝きをずっと見つめられるように
と、思わず手に力が入った。




