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ヘレナとウィル〜隣国の王子と交わした約束〜  作者: シャルru


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18/79

18.君に逢いたい


「スレイド、ウィルブラント。これから話す事を心し

 て今後について考えるように…」


 スレイドとウィルは、跪き頭を下げたまま、

 王の言葉を聞く。


 帰国後、再び戻る許可がなかなか降りず、

 ウィルは落ち着かない日を送っていた。


「スレイド。休みながらも与えられた公務に取り組ん

 で来た事を評価している。これから妃を迎えて、今

 後どの様に国を導いていけるかが、王になるものと

 して大切な事だ。よって妃の選定に入る。」


「——はい。」

 スレイドは、驚くこともなく淡々と受け入れた。

 

「そしてウィル。先日の約束はスレイドの結婚までの

 期限とする。スレイドの結婚が済み次第ウィルの婚

 約者選定と結婚の準備に取り掛かる。よいな?」


 ——早くて1年、いや2年だろうか…

 

 ウィルはスレイドの婚約者が既に決まっているかも

 しれないと思いながら、正確に告げられなかった残

 りの時間についてすぐに考えた。


「——はい」


 王からの言葉をうけたあと、ウィルはすぐにリッツ

 国へと向かった。

 

 数日のつもりが、半月も過ぎていた事に少しの後悔

 とそれでも前進したと、自分を納得させていた。


 ヘレナに会ったら、まず何と言おう。

 彼女に会ったら、まず抱きしめて、

 …離れられないかもしれない。

 

 一日中一緒にいて、僕のことをすこしづつ話して、

 ヘレナがどんな毎日を過ごしたかを聞いて…。


 また今までのように過ごしながら、

 彼女の心配を取り除いていきたい。


 リッツまでの車の中で、

 ウィルはずっとヘレナの事を思った。


「おかえりなさいませ。殿下」

 執事から留守中のヘレナの報告を受ける。


 ひさしぶりのリッツの邸宅。

 明日はヘレナに会える。


※※


 朝早くから学園の校門でヘレナを待ち伏せして

 驚かせようと思った。


 喜んでくれるかな。

 泣いてしまうかな。

 でも、

 ——無視されるかもしれない。


 それでもヘレナに会いたい。


 ウィルを見て、驚く同級生や

 ひそひそと話す子もして、それなりにウィルの

 不在は、認知されていた様だ。


 見慣れたブラウンの長い髪が見えた。

 ——ヘレナだ!


 うつむき加減に歩いている。

 隣に誰かがいるように見えた。


 ヘレナは、控えめな様子だ。


「へ…!」

 呼ぼうとして、声が出なくなった。

 見たこともない教師らしき人物と

 ヘレナが歩いていた。


 急いでヘレナの元へ駆け寄る。

「ヘレナ!おはよう。ひさしぶり…」


 思っても見なかったウィルの登場に


「え?ウィルなの?」


 ヘレナはその場で立ち止まり、上から下まで

 確認している。

「友人かな?では、私は先に…」

 カイ先生は、少しウィルを見てから離れていった。

 

「あ、はい先生」

 カイ先生は、他の生徒にも声をかけながら

 学園へと入っていった。


 ウィルは、ヘレナの隣に並んで歩いた。

 手が触れそうな二人の距離は、

 以前と変わらなかった。

 

 しかし、ヘレナから言葉が出てこない。

 

「ヘレナ、試験どうだった?数学大丈夫だった?」

「あ、うん。いつもと同じくらいできたよ」

「そっか。頑張ったね……」


 手が触れそうなほど隣を歩いているのに、

 あんなに会いたくてたまらなかったのに、

 会うと、とてつもなく長い時間が過ぎたように

 感じた二人。



 それぞれの教室の前で別れる頃になって

「ヘレナ、また休み時間にいくね!」

 ウィルはそう言って教室へ入った。

 


 

 

 



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