17.自分の未来
ウィルから貰った手紙を、
一日に何度も見返す。
少し感情が昂ぶっていたのか。と思えるような
文字。書くのに時間がかかったと思われるほど、
文字の太さが揃っていない文——
また、そおっと手紙を開く。
折りたたんでいた部分が、ちぎれて来そうだ。
もう、手紙の文字の一つ一つが
思い浮かべられるほど、頭にきざまれていた。
あれから——半月が過ぎていた。
「ヘレナ·ウォズリー。いつもよく手にしている
紙は何かな? 授業のメモ?」
休み時間に、カイ先生に聞かれた。
「いえ…。大切な事が書いてあるので、何度も確認し
ています。勉強とは関係無いですが…」
「そうか、余りに真剣なので真面目な生徒だと
思ってね」
「……。」
「そういえば、君は外国語が優秀だが、将来はそれを
活かしたいと考えているのかな?」
——将来。
まだ、何も思い浮かべられなかった。
ウィルと話した未来を、自分はまだ信じているの
か。 それともただ、あの時間を失いたくないだけな
のか。
「……まだ、何も考えていません。」
「そうか…。もっと学びたければ、他国へしばらく
行くという選択もあるが…。もし、望むなら相談し
てほしい」
ヘレナが勉強に、打ち込むのは
時間を忘れられるから。余計なことを考えずに
済むから。
それでも、ヘレナの外国語の成績は
かなり優秀だった。
「ヘレナ。そろそろ進学について学園の先生と面談が
あるんじゃない?少しは自分で考えてるの?それと
も…
特に希望がないなら、良い相手と婚約して
時期が来たら決するのも悪くないわ」
兄の結婚生活が思ったほど悪くなく、母は
「息子の事をよくわかった上で相手を探したから…」
と満足していた。
母はどんな人が私に合うと思っているのだろう?
いつも誰もいない家に一人いた娘の
何を知っているのだろう。
「多分、語学が勉強できる大学に進学すると思う」
とだけ答えた。




