15.淋しさを埋めるもの
ウィルの家を訪問してから3日が経とうとしていた。
毎日がキラキラしているように感じた学園も、
今は静かに落ち着いているように感じる。
「……ウィル、どうしたんだろうね?」
ミーシャ達が心配している。
週明けから休んでいるウィルと元気が無いヘレナに
深く追求できずにいるミーシャ。
余計な気を使わせたくなくて、
「あ…そういえば。咳込んでた気もするし…
風邪かなぁ…」
「なんだ…。でも試験前なのにね!とうとうウィルも
上位層から転落か?!」
「そうかも!あはは」
来週から始まる総合テスト。
進学にもかかわるため、皆まじめに勉強する。
ヘレナは没頭すべきものがある事にホッとしてい
た。
図書室に行く気分になれず、まっすぐ帰宅する毎
日。
「ただいま」
「あら、おかえり。今日は早いのね」
母がいることに驚いた。
「ようやく任せられる様な良い人が来てくれる事
になって…
これからは、今までより家に居られるわ」
家でもほんの少し、気を遣う日が始まりそうだ。
「うん。わかった。試験前だから部屋で勉強する
ね…」
2階へ向かおうとしたとき…
「そうそう、手紙が届いてたわよ?差出人は不明だけ
ど…」
はい。と、渡された封筒はとても上質なものだっ
た。
何も知らない母に察知されたくなくて
ぱっと受け取って2階の私室へ駆け込んだ。
パタン。
部屋に入っても、手紙を開けるか
しばらく迷っていた。
これを読んで、勉強が手につかなくなったらどうし
よう。でも、気になって集中出来ないのも困る。
机に大切に置いた手紙をしばらく見つめていた。
ウィルは、きっと…
両親と留学延期を、話し合う為に、
アルベルト国にいる——
多分、帰国した理由も、今どうしているのかも、こ
の手紙に書かれている。 そう思うと、封を切るのが
怖かった。
たった1年しか留学が認められないほど、
大切にされてるって事は…一人息子なのかな。
アルベルト国では、有名な資産家?
いや、貴族?
——どのみち、そこは自分が生きる世界では
ない気がした。
ヘレナの兄は、両親が選んだ女性と結婚して、
両親が理想とする後継者となった。
ヘレナはまだ何も言われないが、
ある日両親が連れてきた人と、結婚しなければいけ
ないかもしれない。
その人と、ウィルの様な気持になれるだろうか?
思い描けない姿か…
想い合えない相手か…
——ううん。まだ今考えることではないわ。
「えい!」
思い切って封を開けた。




