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Ⅳ その場所は


『招かざる者』は群像たちの攻撃を気にせずに、ただ前に進む。どんな動作も見せずに、ただ歩き、ひたすら村を破壊していく。

 その行動は、破壊するのが目的ではなく、自分が進む先にある障害を排除しているように見えた。

 直線に、一直線に、何一つ迷いを見せず、目的地へと歩く。

 目的地――おそらく、岩地獄。

 行かせてはならない――それ以上にこの村を壊させてはならない。

 群像は『招かざる者』に近づくために《機動銃》を駆使して家と家の屋根を跳ぶ。

 こおりは助けた青年をできるだけ遠くに避難させ(といっても100メートルほどだが)すぐに『招かざる者』のところに戻る。

『招かざる者』の正面に白く見える力の固まりが出来上がり、前方に向けて射出、もしくは噴出される。

 もくもくとした雲を引いて、爆発の力を一方向に固めたように飛び、そしていつの間にか同じようなものを周囲に6つ表して、家をまた一つ、破壊した。

「く、うっ」

 白美が顔を歪めて、『招かざる者』の懐に入り、下から斬り上げる。

「一せっ――うっ」

 が、その攻撃はやはり通じず、通じる前に吹き飛ばされる。先ほどまで人が住んでいた家だったがれきの山にたたきつけられるが、転がって直ぐに起きあがり、攻撃の機会をあきらめずに伺う。

 そして舞子。

 銃の自動照準が利く、ぎりぎりの範囲を見つけ、攻撃を開始する。

 バン、ババン、ババン。

 リズムよく、正確に打ち出された銃弾は、しかし『招かざる者』には届かず、跳ね返される。

 舞子はその攻撃を、反射で避けなかった。否、避けられなかった。しばらくの硬直――その硬直が隙となる。

 だが銃弾は、舞子にも到達しなかった。

 それは爆発の力に巻き込まれて消滅する。

「こおりっ」

 舞子はこおりと思い、つい声を出すが、こおりは舞子の近くにいない。それどころか直前に動いた気配はなく、『招かざる者』と退治している。

 白美も同様だ。

 なら必然的に――

「群像!?」

 群像は銃を構えていた。

 一丁の銃――《爆撃銃》

 すでに照準は『招かざる者』だ。

 その動きをわかっているかのように、白美は――つっこむ。こおりは白美の表情と行動から何かを読みとったようだ。近くの木に《機動銃》の先端を刺し、空に移動する。

《疾風・一閃》を白美は振るった。

 ハナから直接攻撃するつもりはなく、『招かざる者』からの反撃を軽く避けて、それを斬った。そしてそのまま横に飛び、『招かざる者』と群像を結ぶ線の間に入り、視界を防ぐ。

 群像はその瞬間、引き金を引いた。

 舞子も同時に動き、銃を構える。引き金はまだ引かない。

 群像の銃から発射された一発の銃弾はまっすぐと、ねらい違わず進んでいき、白美の背中に突き刺さる――ことはない。

 こおりの転がした手榴弾により、白美の体は飛び、キャッチしたこおりは直ぐに《機動銃》を操作、一度足を地面につけ、『招かざる者』から去っていた。

 そして、爆発。

 一発の銃弾から発される規模ではないと思われるほどの爆発が周囲を包む。

 爆風が吹き荒れる――その間に、舞子は引き金を引いた。

 発射された5発の弾丸は、吹き荒れる爆風に影響を全く受けずに、『招かざる者』に吸い込まれるように突き進んだ。

 静寂が、漂った。

 無風で、自然と煙がなくなるにはだいぶと時間がかかった、と群像は思う。

 群像はその間に次の行動に移っていたから、正確にはわからない。

《爆撃銃》――連続で発射できる数は、安全を期しても2発まで。

《機動銃》と《爆撃銃》を左手と右手に握っていた。

 左手を木に向けて引き金を引いて、体を引っ張りあげる。ある程度加速すれば、もう《機動銃》をしまっていた。

 木を蹴って、速度をそのまま、方向転換する。

 同時に、右手で《爆撃銃》の引き金を引いた。

 発射された弾丸は、木の根本付近で、爆発する。

 その爆風に巻き込まれるように、群像は空に浮かび上がった。

 上に、飛ぶ。

 群像は、両手が開いた状態で、『招かざる者』を真上から見下ろしていた。

 やがて、やっとのことで、煙が晴れる。

『招かざる者』は、健在だった。

 だが、顔に「いかにもいやそうな表情宿し、群像側に、空に手を向けていた。

 その手のひらが光り、力が発射される。

 が、群像は《風叩き》で、その爆発のような力を、横にはね飛ばしていた。

 誰も驚くまもなく、群像は《飛刃剣》を取り出して、下に向けて横に凪いだ。


 赤い筋が、『招かざる者』のうなじに引かれる――否。


 茶色い溝が、『招かざる者』のうなじに掘られた。


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