Ⅳ その場所は
「これは…………冗談、若しくは渡す紙を間違えた……ということか?」
凌が唖然としながら、ローズに問う。
不明ばかりの情報が、本当に集計した結果なのかと疑った。
だが。
「違う」
ローズは言う。
それが真実だと。
「だから今現在、否、未来永劫、『招かざる者』について知ることはできないと思われる。――そして、勝てないと」
「勝てない? いや、でも『招かざる者』を斬り殺して…………」
「分身を、だ。あのとき手応えは全くと言っていいほど感じなかったし、死体も残らなかった。――『招かざる者』はそういうものなのかも知れないが」
そこまでローズが言ったとき、部屋がコンコンとノックされる。凌が指示出し、ノックした人が部屋に姿を見せた。
「凌さん、飛竜回収班並びに飛竜の死体の搬送が終わり、到着しました。リーダーとしての全体への挨拶並びに飛竜研究班への指示を至急、お願い致します」
扉は直ぐに閉じられ、凌は考える。
皆の前でなにを言うか。
真実を隠すか。
真実を公にするか。
決まっている、な。
自分に言い聞かせるように自問自答を行い、そして決める。
凌はそのために、ローズとシムに確認する
「先に言う。今ここでの会話を、皆に言って良いか? 良くなくても、『招かざる者』だけでも言うだけだが」
「いいよ」
ローズの短い返事。
「では纏めさせてもらうが、ローズさんが持っていたのは《加速剣》という剣で、所有者と融合することで戦闘効率を格段にあげる力を秘めている。ローズさんが突然人をおそったのは《加速剣》の裏の能力。――そしてあの場にいた救出対象であった『招かざる者』とやらは不明な点しかないが、とにかく敵である、とこんなものだな」
「いや」
短い遮りが入った。ローズからだ。
「『招かざる者』についてだが、よくよく考えたら1つだけ分かっていることがある。――それは、いつもある方向を向いているのだ」
「ある方向……とは東を見ている――というようなものですか?」
「いや、方角じゃない、方向だ。それもある一点の方向。…………今まで『招かざる者』が見てきた方角を、記録できるだけ記録した結果、そしてすべての線を引いた結果、10本にも満たない数だが、それでも、ある一点で集結する」
「それは、どこだ?」
「岩山――南の国で最も踏破が困難と言われる、岩地獄だ」
岩地獄――名前の通り、岩しかない。
もう誰も登ろうとはしない、過酷で、過酷すぎる、地獄と言うだけあるような岩山だ。
人類未到の地、とも言われる岩地獄は、空を飛ぶ飛竜ですら近づかないと言う(理由は分からない)代物で、当然対飛竜組織として、飛竜について知っているブルは思わず身震いする。
「今回の『招かざる者』も岩地獄を見ていた。それで確信した」
一泊おいて、ローズは言った。
「『招かざる者』の巣は、岩地獄にある」




