Ⅳ その場所は
刺された。
そう群像は思った。
事実、《加速剣》は彼の心臓を貫いていた。
殺された。
そう群像は思った。
事実、《加速剣》は彼の心臓を貫いていた。
が、誤認がある。
もし本当に殺されたのなら。
殺された、と。
刺された後に、殺されたと、当たり前のことを思うはずがないのだ。
群像は刺されはしたものの、死んではいない。
先ほどの者は首を跳ねられたが、死んではいない。
そういう能力を《加速剣》は持っている。
そういう能力の『そういう』とは、もちろん人を殺さない能力という意味ではない。
《加速剣》は人から操られている時は人の肉体強化を行い、力を使う。経験値を得る。
そして、人を操るときは、自らの力を強化する。力をため、力を上げる。
今のように、人から血を、血だけを奪って。
《加速剣》の力の代償。
それは決して体を乗っ取られる、ということではない。
《加速剣》はただどん欲に強くなろうとする。
《加速剣》が強くなりすぎると、所持者の体が保たなくなり、死んでしまう。
それだけで、力の代償が支払われたらいい。
だが、それだけではない。
死んでしまったその所持者はしかし立ち続ける。
そして今度は《加速剣》がすべてを斬ることを考え初めて、暴れ出す。
無意識に、無計画に、ただし最強の力に勝つものはいない。
そう、されている。
真実はもちろん、知られているわけではないが、そうされているのだ。
だからその行動は理解していた。
『招かざる者』に対する組織のメンバーは。
白美は群像さえ無事だったということで、ほかのことはどうでもよくなっていた。舞子、こおりも同じ様に思っていた。
対飛竜組織アズ・ハン・セルはその攻撃と行動に、二の句が継げられなかった。
そしてローズは。
《加速剣》の9回目の能力が解かれ、草原の中へと崩れ落ちた。
《加速剣》は今度こそローズとの融合を経ち、そして。
もともと長かったその剣が、さらに長くなった。
もう一度長くなれば、横幅が太くても耐えられなくなるだろう、というほどの伸びだった。
やっと舞い降りた平穏の陰。
再会できた群像たち。
しかし。
問題はまだ残っている。
彼らは混沌の区域へと、運命のように誘われていく。
ヘリに乗り込み、激戦があった丘から離れていく。
全機で向かう先はアズ・ハン・セル第二訓練上。
静かにヘリの後ろ姿を観察している者がいたことには、誰にも気づく術がなかった。




