表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/46

Ⅳ その場所は ~丘~

「嘶け、《加速剣(アクセル・ソード)》」


 融合していた。

 先ほどまでの融合とは、かなり違う。

 両腕に《加速剣》を分割させて融合しているのではない。

《加速剣》の大きさ、長さはそのままだった。

 ローズ側から、融合していたのだ。

《加速剣》は自ら所持者と融合する。

 そういう特性が与えられているからであって、特段《加速剣》から融合しなければならないとは限らない。

 そして《加速剣》から融合していない場合、つまり所有者から融合した場合、《加速剣》の力が融合に分けられず、すべての力を肉体の加速や思考の共有など、戦闘に必要な力に回すことが出来る。

 問題は、どうやって融合するのか。

 この時点では、まだ誰も分かっていなかった。

 ローズもまた、分かっていない。

 この融合によって力が増すという、利益が出るのなら、損も出てくるのが当然だ。

 より大きな力には、より大きな代償がある、ということだ。

 それでもローズは、融合を果たした。

『招かざる者』を殺すために。

 それほどの覚悟が、たとえローズに上記のようなことを考える思考が、そのとき消えていたとしても、それほどの覚悟が、ローズの中にあった。


 ――浚われた、神隠しに遭った少女。

 ――この、『招かざる者』その原因。


 それ以上に、


 ――自分が住んでいた村の壊滅。

 ――『招かざる者』が村人の仇。


 コロシテヤル。


 思考回路が、吹っ飛んでいた。

 彼女は理性を保っていなかった。

 それでも《加速剣》はそれを止めようともせず、むしろ喜ぶように、彼女から思考を奪っていく。


 ほんの少しの力を使って前に歩くつもりで、右足を前に出す。

 そのとき、左足に必然的に前に倒れながら体重を支えることになり、力が掛かる。

 力が方向を地面と水平と等しくした時、ローズの視界はなくなっていた。否、ローズが前に目にも留まらぬ速さで飛んでいるせいで、周りの風景が高速で後ろへと流れていった。

 両腕が煌めく。

 剣の塚を握る両腕から灰色の管のような何かが伸び、剣に巻き付いていた。

 一度腰の位置に剣を戻し――一閃。

《加速剣》からによる融合状態より遙かに早く、光と同じほどのスピードに、ローズの体が一時、到達していた。

 にもかかわらず、『招かざる者』は。

 しゃがむだけで、その一閃をよける。

 が、ローズは、正確にはローズと《加速剣》は簡単には倒せないことを先ほどまでの経験から、理解していた。

 いつの間にか口に、丸い金属の物体が在った。さらにそこに何かが付いている。それは――手榴弾の安全ピン。

 一瞬にして、抜き、投げていた。

 放射線を描いて手榴弾は『招かざる者』の足下へ。

 特別性なのか、それらはピンを抜かれてから1秒足らず爆発した。

 中身も改造されているのか、爆発力が格段に強い。

 一度収縮した力が一気に爆発、放射し、周りの草や土を空中にばらまきながら手榴弾は消えた。

 煙が立ちこめる。

 いつもならここでローズは立ち止まっていたであろう。

 必ず殺った、と思っていただろう。

 だが、現実はそこまで甘くないことを知っている、さっき知った。

 それでも少しくらいは動いているだろう。

 再び、突撃を敢行、まだ煙で見えない『招かざる者』のシルエットが見える。それだけでローズは、『まねざる者』が一歩たりとも動いていないのを理解した。

 心の中で舌打ち。

 この間にも距離は縮まり、加速するローズ以外から見たその光景は一瞬の者だったが、ローズにとってはそれが最後であると分かっていた。

 だから、失敗しない。

 一斬り目。

 突進する力をそのまま貰って、さらに体を180度ほど捻って、深く深く、斬りかかる。

 当然の用に避けられる攻撃。

 二斬り目。

 180度回転させた体を《加速剣》の力を借りて、無理矢理さらに360度――1回転し、斬る。

 攻撃の感覚が速すぎるため、一斬り目を避けた『招かざる者』には当然当たらない。

 三斬り目。

 ローズはなにが起こったのか、本人にしか分からないような不可解な行動を取った。

 右手を開いて、立ちこめる煙を意識して押しただけ。それ以外なにもしていない。

 にもかかわらず。

 ローズの体は見事に空中で軌道を真下に変えていた。

《加速剣》との融合による肉体の強化で、光よりも早く、そして力強く、あたりに舞い上がる煙の粒子を押し、慣性の法則によりその粒子とローズの手との間に発生する反発する力を発生させ、自分の体重を一瞬だけ無くすことで、その反発する力にローズ自身の体を飛ばしたのだ。

 予想外のその攻撃は当たると思われたが、『招かざる者』の反応がぎりぎり速かった。

『招かざる者』の力、爆発のようなものを発生させ、ローズの剣を真っ正面から押し上げた。

《加速剣》のアシストを受け、ローズは爆発の力を耐えきり、叩き、弾き返した。

 そのとき、弾き返した力のせいでたたらを踏み、一瞬の隙が生まれる。

 その隙間を使って『招かざる者』は横に動き回避行動をとっていた。

 ――惜しい。

 ではなく、

 ――やっと一歩。

 そして、


 ――このまま殺る!!


 四斬り目。

 絶妙なパワーバランスと、重力を無視するような力を体の中に展開、剣を振りおろした力を使って、自分の体の中心である臀部から胸部にかけての場所を回転の支点――軸として、クルリと、クルリと、一周回っていた。

 助走もなにもない、高さもなにもない。

 ただ、回った。

 回転する力をそのまま、使って、斬りつける。

 もちろん、体を捻って、『招かざる者』がいる方向に剣が振り落とされるように調整している。

 これも避けた。

 今度は無理矢理。

 自身の能力を自分自身に向けて使用。

 爆発のような勢いで、『招かざる者』の体は後ろに倒れた。

『招かざる者』ば結果的に剣に斬られずに済んだものの、次の動きを封じ込められていた。

 ローズの頭の中は、そんなことを考えていなかった。

 ただ、痛い。

 体中の節々が折れそうになるほど痛く、細胞一つ一つが限界と泣き叫ぶような感覚がする。

 それでも体は動かせた。

 コロス。

 そのために。

 コロス。

 復讐の為に。

 コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス

 

 五斬り目。

 空中を2回転したローズはそのまま着地はしなかった。

 両足で空気をたたき、『招かざる者』の背後へと回り込む。

 そのままでは通り過ぎてしまうので、しかしすでに煙がたちこむ範囲から抜け出していたローズは、煙の代わりに一瞬前(・・・)に使った手榴弾のピンを空中に投げ出して、それを踏み台にして、方向転換。


 ――ッッッ、ネェェエエエエェェェェェェエエェエエエエエエエエッッッッッ!!!!



 ローズの《加速剣》による攻撃は、『招かざる者』の背中から頭部にかけてを、斬った。


 この間、0.1秒。



『招かざる者』は斬られた部分から鮮血を――吹くことはなかった。






一昨日とその先日の分も取り返すつもりで書いたので

今日は少し長くなりました。

といっても3000文字。

これからもっと書く時間を増やして

書く文字も増やしていこうと思っています。


今はまぁ、とりあえず一日2000文字を目標にやってますが

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ