Ⅳ その場所は ~丘~
Ⅳ その場所は ~丘~
意識が吹き飛ばされ――
「――ハッ!」
覚醒した。
「ハッ、ハッ、ハッ」
思わず荒い息をついてしまう。
息を繰り返すそのたびに、わき腹が痛く感じる。
今のは、夢?
視界のぼやけが消え、はっきりと周りが見えるようになった。
群像の目には、3人の少女の顔が写っていた。
それぞれ泣きそうな顔、膨れている顔、無表情な顔だ。
それだけで3人が誰か解った。
「大丈夫! 群像!!」
「…………はぁ……はぁ……。うっ……ん…………、あ、ああ……」
とにかく息を整えて答えようとしたが、自分が今どうなっているのか解らない状況で、答えられるわけがなく曖昧に頷くことをした。
それでも、いや、それだけでも、白美は安心することができた。
「良かった、群君っ」
右側から白美が体を抱いてくる。
頬に、暖かい何かが垂れてきた。耳元で泣き声も聞こえる。群像はどうしていいのか分からない気分になった。わき腹に彼女の腹が辺り、痛みを感じる。けがをしているのかもしれない。
そのことを考えるより先に、舞子が話しかけてきた。
「全く、なにやってたのよ、今まで。白美がどれだけ心配してたと思うの? それに、なんだっけ? 『いや、そうじゃないって。僕や白美以外の人間が行ったところで、帰ってこれないだろ。まともな僕だけで良いから』だっけ? ちょーしに乗ってた割には帰ってこれなかったよねぇ?」
その言葉には怒りとともに、舞子にとってのイジるという楽しみ――いわばいつも通りの調子に戻ったという証が混じっていた。
「な、なんで覚えてんだよ、そんなこと!」
「さっあね~!」
「あーもうムカつく。殴って良いか?」
舞子がいつも通りに戻れば、群像も戻る。こおりも無言を押し通し、いつも通りだった。
ただ、白美だけが喚き泣く。
そこは完全に4人だけの世界だった。
「あれ? 大地は?」
「知らん」
「そうか」
1人欠けていることに、特になにも感じていなかった群像だった。
「……そこのリア充、こっちを向け」
いきなり聞いたことのある声が背後から聞こえる。
リア充ってどこにいるの? とついつい群像は周囲を見渡し、「おまえのことだ、群像」といわれるまで気づかなかった。
振り返ってみると、ブルだった。
「俺にはリア充があーだこーだいうつもりはないが、場所を考えてそういうことはやってくれ。俺の目に写らな――もとい今飛竜が近くにいる状態で、緊迫感のないことをするな」
思いっ切り、せりふに本音が含まれていた。
それはともかく、群像は驚く。
「生きてた、んですか?」
「生きてた、とは失礼だな。おまえのせいだぞ、俺たちが乗っているヘリが撃墜されたのは。それに俺が生き残らなければおまえも生き残っていなかった」
「すいません……」
「謝るな、おまえが悪いのは明白だが、先に言っておかなかったこちら側にも責任がある。それに今回はまだ死人は
出ていない。それよりも」
と、ブルは一度話を止める。
それは「それよりも」に続けるためにある方向を指さすための時間ではなく、群像の周りの少女3人に尋ねる意味を込めたタメだった。
その意図をくみ取ったのか、たまたまか、はたまた何となくか、どちらにしろブルが指さす方向へと、皆の視線は集まる。
「飛竜が近くにいるのにも関わらず、なぜか地上でほかの人と戦っているのはなぜだ? そして誰だ? この緊急事態に、なぜ彼は、君たちは、ここを訪れたのだ?」
「あの人はローズさんです。私たちはローズさんが所属する組織についてきた形で、その組織とは『招かざる者』によるこの世界の侵略を阻止すること……っていうのは大げさかもしれませんが、検問員といったところです」
白美たち(もちろん群像は除く)が驚いたのは、これに対するブルの返答だった。
「『招かざる者』って、何だ?」




