Ⅳ その場所は ~?~
あれ……ここはどこだ?
丘……じゃない。飛竜は?
いない……。どうなってる?
音がしない。
眼が見えない。
声がでない。
においがない。
ここがどこなのか、自分がどうなっているのか、全く分からない。
確か、飛竜に口を向けられて火の玉を吐かれて……そして――どうなった?
しだいに、耳が戻ってくる。
しだいに、視界が晴れてくる。
しだいに、喉が響く。
しだいに、嗅覚が何かを捉える。
そこは岩山だった。
ごつごつとした、横幅10メートルは下らないであろう岩がごろごろと転がっている。
少なくともヘリから見渡したときに、こんな場所はなかったはずだ。緑の丘しか。
ここは山だ。
灰色の山だ。
決してそんなものはなかった。
だれか説明してくれ。
反応はなかった。
だれもいない。
当たり前だった。
鼻が焦げ臭いにおいを感知した。
誰かいるのかと反射的に顔をそちらへ向けてみた。
煙が見える。
黒く、立ち上る煙が見えた。
手足を動かしてみると、何の違和感もなく、歩けた。
自分の目で確かめてみると、体に傷はなかった。
ここがどこなのか分からないが、まあ良いか、と諦める。
どうせ考えても仕方がない、と。
あそこまでいけばどうにか為る、と。
諦め、ではない。現実逃避をしていた。
そのうち、そこにたどり着いた。
正確な時間や、どうやって歩いたかは覚えていない。
意識が朦朧としている。
そこには人がいた。
1人の少女だ。
彼女は白美たちと同じ学校の制服を着ていた。
顔は見えない。
ただ目の前にあるたき火に、手を翳している。
君は、だれ? ここは、どこ?
そう尋ねても、声は返ってこない。
代わりに彼女はある方向を指さした。
のろのろと歩いていく。
ついたところは岩が平らになってる所だった。
顔を上げると――緑の丘が、広がっていた。
振り返る、だが、そこにはもう誰もいなかった。たき火も、消えていた。
目を見開いて、左右を見渡す。
そしてもう一度、緑の丘を仰ぎ見ようとしたそのとき、目の前に少女の体があった。
彼女は枝を取り上げ、しゃがみ込んだ。
いつの間にか足下は岩ではなく、じめっとした地面に変わっていた。
そこに少女は文字を掘る。
『早く、来て。手遅れに、なる。』
驚いて、その文字から顔を離した。
少女はもう、いなくなっていた。
振り向く。
背は170センチほどの高さで、フードを被った何かがいた。
――誰!?
思うと同時に、体が浮いていた。浮かされていた。
正確には吹き飛ばされていた。
目の前の空間にいきなり爆発の力が生まれ、それがこちらだけにその力を押し出してきたような感じだった。
驚いて何かの顔を見る。
フードの中にある何かの顔を拝む暇もなく、再び攻撃を食らっていた。
やはり、爆発。
目の前の空間が破裂し、そのときに発生した力を凝縮させ、一点集中で放出するようだ。
白い雲のようなものが一気に膨張して、こちらに襲ってきていた。
先ほどと違って範囲が大きかった。もちろん威力も大きかった。
全身を、その力が包み込んだ。
僕はその場から、姿を消された。




