Ⅲ 丘で彼らは ~丘~
「群像! どこ、群像!!」
白美は叫ぶ。
飛竜が放った火の玉によって燃えた雑草の中を、悲鳴に近い声を出して。
白美たちの背後に、何かが飛んでいく。
舞子は眉をひそめた。すぐに振り返った、そして見た。
飛竜が火の玉を吐くところを。
「ローズさん――ッ!」
思わず叫んだが、杞憂だった。
ローズは壁のようなものを作り、自分や仲間を守っていた。
が、舞子はため息を吐けなかった。
吐く暇がなかった。
ローズが、飛竜を無視するように――否、無視して、いきなり走り出したからだ。その体が飛竜の力ではない、何かの力に吹き飛ばされる。
やっぱり、というような雰囲気がローズの背中から感じ取れた。
何かを叫んで、また戦い始める。
――まさかッ!
そこで、舞子が持たされた無線機から音声が聞こえる。
「『招かざる者』だッ! 対飛竜組織に撤退を指示して! ローズさんから指示が行く予定だったけど……予定は未定、ってことだから。――総員、各自訓練通りに好きに戦え! 死ぬことは許されない!」
後半は、白美やこおり、その他大勢にも向けられたものだった。
「といわれても……生きている人っているのか?」
舞子は思わずつぶやいた。
目の前には、焦げて黒くなり、大破したヘリの一部があった。それだけ見た者には、何か分からないぐらいに壊れていた。
と、そこでヘリの音が多くなっていることに気づく。
顔を上げると空には3台のヘリが。
……群像が乗っているのはあっちかも……。
そう考えるも、それがあり得ないことを、そう信じることが出来ないことを、自分が一番分かってた。
地面に自然と眼が戻る。
そのとき、いきなり白美が立ち止まった。
「どうしたの?」
問いかけるも、返答はない。ただ、その立ち止まった姿が答えだった。
立ち止まったということは、何かを発見した、ということだろう。立ち止まって、自分に言い聞かせねばならないような、何かを。
舞子はそれ以上喋らず、こおりはそもそも喋らず、白美の横に立って視線を追った。
そこには、数人分の黒い陰があった。
舞子とこおりがそれを視認した瞬間、白美は走り出す。
「群像、群像!」
声を、そう、消え入りそうな声をあげながら。彼の名前を連呼しながら。
背後でまたしても爆発が起こる。
そのときにはもう、背後で何が起きているのか、などと彼女たち3人は考えていなかった。
ただ、友の無事を祈っていた。
その祈りは――
「――群像ッ!!」
――残酷にも、通じなかった。
数人に囲まれる中で群像はぐったりとしていた。
心臓は動いているのだろう、胸は上下している。ただしその速度が異常に速い。1秒で5往復していた。
眼はきつく結ばれ、歯ががちがちと言っている。
呼びかけられても、何の反応も示さない。
ふと、3人の視線は、顔と胸から、腹の位置に移動した。
そこには、布が巻き付けられていた。
その布が赤く染まっている。
手当はされているようだが、時間が経つにつれ、その赤は広まっていった。
3人はもう、対飛竜組織に逃げろと言うことを忘れていた。
舞子もこおりは、立ちすくむしかなかった。
白美は、群像に駆け寄った。
無事に再会を果たしたが。
当初の想像とは違ったて。
目の前で群像は……死にかけていた。
丘で彼らは再会した。
だが。
現実は残酷だった。
主人公が……主人公が……




