Ⅲ 丘で彼らは ~アズ・ハン・セル第二訓練場~
「俺が、悪いんです……俺があんなところにいたから……皆さんが……」
群像は、罪を認めた。
自ら、罪を認めた。
アズ・ハン・セルのリーダー、五條凌はその言葉をしっかりと聞いてから、否定を塗り重ねる。
「お前が悪いわけではない」
そしてさらに自分の言葉を否定した。
「だが。死んだ私たちの仲間のことをしっかりと覚えておくのだ。死んだ私たちの仲間を」
「訳が――訳が分かんねえんすけど、リーダー!」
騒ぐブルに、凌は。
「ブル……君は静かにしておいてくれ」
私達は話をしているんだ、そう言って、群像を見る。
「でもっ……」
「はぁ。……まず、君が悪くない、という事実についてだ。……ブル、私達が今生活できているのは、何故だ?」
凌はブルを静かにさせることをあきらめ、話に参加させることにした。
虻蜂捕らず、となりそうな来もするが、そこは対飛竜組織のリーダーだ。一石二鳥にする力を持っている。
「国から……金を貰えるから」
「ではその金の対価として、私達はなにを国に払っている?」
「飛竜と戦い、人々の安全を護ること」
「飛竜と戦う必要が一ヶ月無いなら金が貰えるわけがないだろう?」
「ん? ……あ……」
ブルはようやく気づいた、というような顔をした。
「そうだ、私達は国に、命を払っているのだよ」
「…………」
「命を払い、国からお金を貰う。私達はいざというときに国に貢献し人々を救うために、命を投げ出さなければならない。だから」
凌は群像の目をのぞき込んで、言った。
「だから、今回死んで逝った4人は、君のせいで死んだのではない、自分たちのせいで死んだんだ。自分たちが今まで生きてきた対価を、彼らは払った、それだけなのだ。ただし」
話を繋げる。
「ただし、だ。彼らは彼らのせいで死んだとは言っても、死にたくは無かったはずだ。――君を庇って死んだとも言える。ブルや私を、私達を庇って死んだとも言える」
いきなり名前を呼ばれたブルは、疑問符を浮かべる他無かった。
「飛竜と人の間には、圧倒的な力の差が存在する。無干渉を決め込めば人が死ぬことはないが、残念ながらそんなことは出来ない。必ず戦う場面が在り――誰かが死ぬ」
ブルにも、ブルに説明された群像にも、そのことが分かっていた。そのことは分かっていた。
話のつながりが、全く見えてこなかった。
凌は決して結論を急がなかったが、説得している二人から答えを受け取ろうとも思っていなく、自分の口から言った。
「今回は、私達――当然君も含まれている――私達の中で、彼ら4人が死んだおかげで私達は生き残ることが出来たのだ。だから私達は謝るのではなく、感謝しなければならない、そして……」
群像に懺悔を促したのはこのためであった。
凌は群像に、4人死んだという事実を、しっかりと刻み込んでほしかったのだ。もちろん、自分のせいで、という部分は余計だったので、先に取り払った。
おそらく、これまでに何回も、あるいわ何十回もやってきたであろうこの説得の、最後の言葉を凌は口にした。
自分にも言い聞かせる様な口調で。
「私達は彼ら4人の分まで、生きなければならない――」
風が吹いた。
群像は一瞬目を閉じて腕で庇い、薄く目を開ける。
そこには。
すでに振り向いていた凌の後ろ姿があった。
それは、やけに格好良く見えた。
まだよく分かっていなかった。
この先も分からないままかもしれない。
けど。
それでも。
僕は4人の分までしっかり生きる。
ごめんなさい、と、ありがとう。
真逆のその2つの言葉を、群像は胸の中で呟いた。
背後で気配がして、群像は振り向いた。そこには……ブルがいた。
「スマン、な。当たってしまって…………」
自分はなにも気づけなかった、自分は未熟者すぎる、と自分を攻めるように唇を噛んで。
それに対する答えを群像は持っていない。
代わりに凌がブルの肩を叩いた。
「新人は誰でもそんな経験をする。私もしたし、他の皆も、全員した。だからそんな顔をするな。胸を張ってピンとしろ」
それから群像の方を向いて、口を開く。
「まだ意味が分からなくてもいい、ただ、しっかりと生きてくれよ。――というわけで君には今から色々とやって貰わないといけないことがある。君の名前と出身地は?」
「平群群像で、日本? です」
日本、で凌には通じた。
太陽系第3惑星・地球出身であることを。
そして次に言うべきせりふをすでに作り終えていた。
「では群像。付いてこい。この世界について、この世界での生き残り方について、説明するから」
その背中は大きいのに、遠くにあって、一生追いつけないような気がした。
それは、背負ったモノが、背負った者が、多いから、それを目標にしてはいけないことを、群像はこのとき気づかなかった。
今日は調子が悪いというか 眠たかったので
ちょっと適当になっちゃったかんじですが、勘弁してください……
これからもお願いしますm(_ _)m




