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Ⅱ 神隠しにあった ~ローズ宅~


「……さて……なにから話したものか……」

 ローズは出してきた茶菓子を摘みながら、唸る。

「まず……あなたたちが訊きたいことに答える形にしようか……。かなり多いと思うが、大丈夫だ。何でも訊いてくれ」

 今度は白美たちが悩む番だ。

「うー、……そう言われても何を訊きたいと言われると……」

「この世界のこと、全く分からないからな。どこから疑問に手を着けたらいいのか分からない……」

 と、そこにこおりが一言。

「……取りあえず……この世界について……大まかに話して……」

「あ、ああ……了解したが……この世界についてどこから話したものかも、悩ましい……。まあ、良いか。兎に角、この世界の構成要素からでも入ろうと思う」

 お茶を啜って、ローズは瞼を静かに閉じた。



 この世界には、四つの大国と、無数小国が存在している。

 中でも四つの大国はそれぞれ北・東・南・西に分かれていた。

 四つの大国のうちの南の国――サウス・プロミネンスがここ、ナチュラ村が存在する場所である。

 ナチュラ村、その背後の丘は、南にあるサウス・プロミネンスの中でも最南端に存在し、それより向こうは、何があるかは知られていない。

 国内には無数の怪物(モンスター)が存在し、人は彼らから安全な睡眠地帯を得るために、そして彼らの討伐拠点を構築するために、国土全体に10個程の街と、30以上の砦を作っている。

 四つの国が接地する中心に首都があり、年に二度開催されるような、大きな祭典などが行われる。これに参加するために、各地の街から砦を跨いで、首都に集合する。

 ただし首都に行くためには、資格が必要である。

 資格――というと難しそうに聞こえるだろうが、実際はそこまで難しいものではない。

 いっそ簡単だ。

 首都へと赴くために必要なもの。

 それは、Lv.だ。

 最高Lv.はまだ見つかっていないが、到達した者もいないが、人が生きれる間に――それも成長期の間しか経験値が増えないので、実質20年間で――なれるLv.は最高でもLv.250が限界だ。

 人はこの到達Lv.によって住む地域が限定される。

 Lv.が低すぎると、首都どころか、首都に近い幾数の街にも砦にも入られない。

 Lv.が高すぎると、どの砦にも入れるが、首都から遠い幾数の街へ入ることができない。

 Lv.制限というものだ。

 これは今の王が5~6年前思いつきで決めたものである。

 思いつきと言っても、これができたおかげで、年間の無駄死にする人の数、高Lv.者から低Lv.者へのいじめ・一方的な攻撃の数などが減少している。つまり治安を維持するために必要な法なのだ。

 Lv.制限は基本それぞれの街がLv.50~100といった具合に提示している。

 ちなみにナチュラ村にもLv.制限があり、Lv.1~25と設定されている。

 比較的、というか誰にでも分かるだろうが、Lv.制限が低すぎるので、つまり防衛力に欠けている。

 そのために配置されるのが守護団と、その代表。

 守護団のうち5人まではLv.50まで可、代表はいくらでもOKである。

 防衛力は特に必要がない……と思われるが、そんなことはない。

 村が弱いおかげで周りに存在する怪物(モンスター)のLv.も充分低いが、それでもならず者のLv.は変わらない。

 ならず者に限らず、いや、驚異はそれだけではないという意味を込めて、そして。

 そして、招かざる者がいる。

 招かざる者……異世界より来る、参加者の中で最強であり、最凶でもある、最悪の、この世界に住む人々の最大の敵。

 異世界からこの世界へと繋がる道の出口、終点はナチュラ村の背後の丘が多く、最弱の村が最悪の敵が現れるかどうかを見張り、発見次第つぶさなければならない。

 そのためのナチュラ村守護団代表だ。

 これはナチュラ村だけにあるわけではない。

 ナチュラ村と協定、同盟を結ぶ5個の村全部にある。

 そしてその中の精鋭――Lv.50以上の者が、招かざる者の撃退に当たるのだ。

 ちなみに招かざる者と、わざわざ偽名で呼ぶのは、本当の呼び方が恐ろしいからである。

 本当の呼び方が恐ろしく、招かざる者自体が恐ろしい。

 村を潰し。

 街を叩き。

 国を潰す。

 まさに、最強であり、最凶であり、最悪である……

 ……この世界にいる、人類共通の敵。

 本当の名前ではなく、彼らをイメージした、彼らを完璧に暗示した呼び方がもう一つある。


 ――ヘルズ・メッセンジャー――



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