36.絶対的ファクト
悪の親玉であったその心臓は。
今、悪を倒すために生きている。
メメント・三重奏。
謎に包まれた紅白の元素プレイヤーの生み出したその姿は戦いの最中、水上 宇宙の真実を語っていた。
『メメント・三重奏!!!』
紅白のメメントは、頭を回転させる。
「いくぞクルックス、おらぁっ!」
ガイスラーは再びプロトモメントとなり立ち向かう。
クルックスはバズーカを作成。
「どけ。」
トリガーを引き、バズーカの弾がメメント・三重奏を襲う。
「おっとぉ!」
ガイスラーが寝転びバズーカを避ける。
メメント・三重奏は手のひらを前に出すと、バズーカは火力を失い鉄塊と化す。
「何っ。」
ネオンに輝く指先は、クルックスを怯ませた。
「ちっ、!」
クルックスは二丁拳銃を生成する。
放たれる弾丸もエネルギーを失い失速して落ちていく。
後ろからガイスラーがかかる。
『ラドン!エレメン 』
元素シューターの機能が停止した。
途中までチャージされたラドンのエネルギーはその場で爆発し、ガイスラーのモメントを襲った。
「ぐわあっ!」
「はっ!」
メメント・三重奏が手を広げると、遠い所からアルミニウムスティックが引き寄せられるように飛んできた。
『アルミニウム!溶液化!』
牢屋の鍵穴に向けて放たれる。
「回してください!」
央駆は液状化した後固まったアルミニウムを回した。
「なるほど。こうすれば鍵のスペアが作れるのか…!」
「ありがとう、宇宙!」
大地と樹林は開放された。
ガイスラーとメメントが戦う間、央駆らの前に立ちはだかるクルックス。
「逃がすか!」
銃口は樹林と大地に向く。
「はっ!」
遠い所からセメントの元素プレイヤーが引き寄せられる。
「樹林、使って!」
聞こえずとも理解ができる。
『元素プレイヤー!』
『アルミニウム!ニホニウム!セメント・ブレンド!』
光線が銃の1つを手放させる。
「あっ!」
メメント・三重奏はガイスラーを銃の方へ投げ飛ばした。
『メメント・メモライズ!!』
メメントはガイスラーの"記憶"を読み取った。
どうしてガイネンの側近になったのか。
その理由を。
ガイスラーはかつて、暴力団の副団長だった。
団員から慕われ界隈の中でも一目おかれる存在だった。
しかし自身の暴力団が注目されるたび団長だけ名が知れていくのに不満を感じたガイスラーは、団長と取っ組み合いになり、その時に死んだ。
偶々転移したラボアジェ神殿ではよりガイネンに近い存在になろうとゴマをする事で昇りつめたのだ。
「…慈悲は要らない。」
「なんだよ!」
ガイスラーはクルックスに乞う。
「アレくれ!あの…斧!!」
しかし、クルックスは必死にセメントらと戦っている。
「クソが…っ!」
突進するガイスラーの頭を掴む。
「…ッ!」
「お前は暴力団の組織内で喧嘩になり死んだ。」
「なんで知ってんだよ…!?」
「力を手に入れるために側近になったみたいだな。」
「何が悪いんだ!ズルでもなんでも努力の賜物だ!」
殴ろうと右手を振りかざすガイスラー。
その右手は既にメメントに掴まれていた。
「!?」
「世界を滅ぼす程の力を手に入れれば団長に復讐できる。そう思ったんだろ…?」
「だったら…何だよ!」
「その力で何を守れる?」
「俺様の…身分だッ!!」
メメントを蹴り飛ばす。
「宇宙!」
クルックスは気を散らした大地の首目掛けて銃の引き金を引こうとしたが、銃が央駆に掴まれ身体ごと投げ飛ばされた。
「危なかったな大地…!」
「悪い。」
ガイスラーはメメントを指さす。
「正義のヒーロー様は良いなァ。戦う為に力が貰えて。」
メメント・三重奏はガイスラーに指をさす。
「ヒーローだから戦うんじゃない…戦うからヒーローなんだ!」
「それに、」
「俺は正義なんかじゃない。」
胸の太鼓を叩く。
『三重奏!メメント・ノヴァ!』
「この一撃で、お前は変わる。」
太鼓の膜が破れ、大砲が出現。
高エネルギーのビームが浴びせられるガイスラー。
「あっ、ガイスラー…!」
ビームが明け、ガイスラーは膝から崩れ落ちた。
元々死人でラボアジェ神殿の者であったため、身体が溶け始めていた。
「ああっ…!」
怯えるガイスラー。
「悪かった、悪かったよ!!」
メメント・三重奏に泣きつく男。
「"次の世界"ではきっとそんな涙を流さないで済む。」
ガイスラーの身に宿っていた魂は、次の時代へと歩み始めた。
「貴様らの仲間がガイネン様に近づいている。冷静に考えればこの新人が死んだことよりもそっちの方が危機だ…覚えていろ、!」
クルックスは逃げる。
樹林がセメントの力を解いた瞬間。
「なんてなッ!!」
クルックスが銃を拾い上げ樹林に発砲
出来なかった。
メメント・三重奏が弾丸を無力化したのである。
「…覚えていろ。」
「はっ!」
牢獄出口の金属扉が棘に変形する。
「ッ!」
クルックスは楽譜を盾にし、自衛した。
クルックスが完全に走り去るのを確認すると、メメント・三重奏はその身を解いた。
「信じてたよ、宇宙。」
樹林が笑顔で宇宙に寄りかかる。
「ありがとう!」
大地はガイスラーが溶けた際に残った元素プレイヤーとスティックを回収する。
「おかえり。」
央駆の足は、治っていた。
「これもメメント・三重奏の…?」
気を取り直す。
「向こうでくるみ達がガイネンの所に向かっているはずだ、クルックスが追いつく前に急ごう。」
「ああ。」
央駆を先頭に、大地と樹林が着いていく。
「宇宙?」
「…あぁ、ごめんごめん。」
このとき宇宙は、自身の全てを知っていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「赤い元素プレイヤーがガイスラーを吹き飛ばした。」
「大丈夫かな。」
「あれがガイネンを倒す鍵だとしたら…」
アルトの様子が、おかしいように見えた。
「アルト。」
「…あぁ、すまない。」
「いや良いんだが、何故あの時メメント・二重奏に?」
「それでリム・ストローク博士も…」
「まるでメイプルの時と同じだ。」
「私も理由は分からない。だが…私とストローク博士の元素プレイヤーが同時に動き出したのは、ストローク博士があの言葉を発した時だった…。」
「あの言葉?」
【πανσπερμία(Panspermia)】
「パン、ス、ペルミア…。」
聞き慣れない言葉だった。
「私とテノールはストローク博士から"宇宙のはじまり"の話を聞いた。」
「宇宙の?」
「ああ、その説のひとつがパンスペルミア説。」
「でもなんでそんな」
「誰も分からない。だが」
爆発。
「何ッ!」
「そこから先へ進むな。」
クルックスだ。
「く…っ、間に合わなかったか。」
「間に合う?間に合ったとて死にゆく運命。死にたくなければこの場を離れろ。」
「断る。」
くるみはスティックハンターになった。
「ふん。元スティック回収班風情に何の攻撃ができる?使われていた者に何を変える力がある?」
「この能力に意味は無い…私自身に意味がある!」
「それを俗に戯言と言う。はっ!!」
クルックスが楽譜を出した。
「貴様らの組織が開発した元素シューターで、貴様らの組織を終わらせてみせよう。」
元素シューターを生成しようとクルックスは楽譜を開く。
何も起こらなかった。
「何!?どうしてだ!はっ!はっ!」
焦るクルックスの耳はあの声を捉えた。
「そこまでだ!」
央駆と宇宙、大地と樹林。
「ストローク博士が居ない…?」
「こっちのセリフだ!そこまでにしてくれ、ガイネン様に手を出すな!…21時。どれだけ足掻いても我々の救済に頷く以外の術は無い!」
「ここで倒す。」
紅白の元素プレイヤー。
「…げっ。」
「何あれ!?」
「新しい元素プレイヤー…まさかあの赤い元素プレイヤーから生まれたのか!?」
『ネオン!』
宇宙の目の前にバスドラムが出現する。
目を瞑る。
深呼吸。
「はっ!」
『象徴化!』
一発。大きな音を鳴らし響かせる。
するとバスドラムが胸部に合体し、背中にはマントが出現。ところどころがネオンに輝く。
『メメント・三重奏!!!』
「お前の楽譜はお前が盾にして機能しなくなった!」
「何…ッ!うおおおお!!」
逃げ場もなく殴るしかないと走るクルックス。
「おおおおおっ!」
『プロトアクチニウム・クラッシュ!』
「っ!?」
大地だ。
「久しぶりだが、俺も行くぞ!」
『元素プレイヤー!』
「私も!」
『元素プレイヤー!』
樹林と大地が、宇宙の隣に並ぶ。
『象徴化!』
メメント、モメント、セメントがクルックスに立ち向かう。
「作成能力の無い奴にもはや勝ち目はない!」
『象徴化!ラメント!』
テノールはラメントとして参戦する。
「行け、宇宙!」
アルトは前を向いた宇宙の背中を押す。
身体の何処かがゆっくりと流れて行くのを感じた。
くるみもスティックハンターとなり援護する。
追い詰められるクルックス。
「このッ!誰にも神の邪魔はさせない!」
「はああああっ!」
迫り来るメメント達。
『カルシウム!ニホニウム!セメント・ブレンド!』
『カリホルニウム!エレメント・ショット!』
『プロトアクチニウム・クラッシュ!』
『加速』
ビームと同等の猛スピードで突き抜けるモメント。
セメント・ブレンド、エレメント・ショットと同時に必殺技が貫かれる。
一瞬、世界が真っ白になった。
「このッ!誰にも神の邪魔はさせない!」
「はああ…っ、ん?」
宇宙達は、違和感を覚えた。
「あっ、今のだ!やはり時間が巻き戻っている…。」
「ここは僕が死ぬ方が危機だ…ふんっ!」
先程まで手にしていた二丁拳銃の最後の弾を地面にうち、煙で覆い隠すことでクルックスは逃げた。
ヒーロー達はその姿を解く。
「一旦はクルックスが襲ってくる心配は少ない。」
右手を抑えるアルトに目を向けるテノール。
「…さあ、教えてくれアルト。メメント・二重奏の意識の中で何を見た。」
慌てて右手を腰にやる。
「え?」
「メイプルの一件で分かっている。メメント・二重奏はリンクした2人の記憶が引き継がれる事くらい。」
メイプルが元素プレイヤーの使用に失敗した記憶は、確かに宇宙の頭の中に引き継がれていた。
メイプルが親から聞いたクラックの過去も、確かに宇宙の頭の中に引き継がれていた。
「リム・ストローク博士の記憶は今、アルト。」
「そして、」
テノールの指は宇宙をさす。
「その記憶を継承した元素プレイヤーを使用した宇宙、お前のアタマにあるんじゃないのか。」
「…。」
アルトは決意した。
黙ればまた人を苦しめるだけだと。
隠せば隠すほど未来の光が隠されていくのだと。
「全て話そう。」
アルトは宇宙を見て、継がれた記憶の全てを話す。
宇宙は、自身の全てを知っていた。
「私も水上 宇宙も、Mr.クーロンだった。」
これは既に周知の事実である。
「それと同時に。」
アルトの口からは、あの男の名前が語られる。
「私は…」
「水上 宇宙は、リム・ストローク博士だ。」
【所持スティック】
〈クラック〉
ヘリウム、ネオン×3、アルミニウム、カルシウム、ラドン、プロトアクチニウム、ウラン、ネプツニウム、プルトニウム、アメリシウム、キュリウム、バークリウム、カリホルニウム、ドブニウム、ニホニウム
〈ラボアジェ神殿〉
ダイナミックタム(調律済)、Tbチューニングキー、
水素、リチウム、ベリリウム、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、ナトリウム、マグネシウム、リン、硫黄、塩素、アルゴン、カリウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、セレン、臭素、クリプトン、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、テルル、ヨウ素、キセノン、セシウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、タリウム、鉛、ビスマス、ポロニウム、アスタチン、フランシウム、ラジウム、アクチニウム、トリウム、アインスタイニウム、フェルミウム、メンデレビウム、ノーベリウム、ローレンシウム、ラザホージウム、シーボーギウム、ボーリウム、ハッシウム、マイトネリウム、ダームスタチウム、レントゲニウム、コペルニシウム、フレロビウム、モスコビウム、リバモリウム、テネシン
NEXT▶37.始祖的パンスペルミア




