35.奮起的ミステリアス
リム・ストローク博士とアルト、テノールの都心へ向かう車内では、ストローク博士がかつて入手した「宇宙のはじまり」についての情報が語られた。
その途中、2人のメメントの元素プレイヤーが反応して…
教え子の手紙。
司令官の決意。
悲鳴に溺れる人々たちを救えるのは誰か。
宇宙は手紙が開けずに居た。
読むと、希望の見えたあの頃に向けた光が虚構であると認めさせてしまうような予感が漂っていたからである。
光太郎の勇気を裏切ってしまうような。
「…。」
でもやはり他にすることが無いので、手紙を開けようと光太郎からの手紙に触れた瞬間。
テレビがつく。
「え?」
ガイネンの映像だ。
「何だこれ…」
『我が救済に対抗するのなら、幾らでも来い。それ相応の対応はしよう。』
「ここは…首相の、?」
『但し、明日の24時までとする。世界を動かしたくて仕方がないのだ。』
「明日中…」
現在時刻は17時。外が夜中の様に暗いのは雨のせいだ。
宇宙は元素プレイヤーを見た。何度目だろうか。
「でも、俺は…」
そうこうしている間に、数時間が経った。
着信。
迷ったが、出た。
『宇宙。』
央駆の声だった。
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「おらァっ!!」
ガイスラーは画面に意識を持っていかれたセメントを殴る。
余りのパワーでスティックが散らばる程にセメントの力を強制解除された樹林。
「きゃっ!!」
転がる樹林の方を向いた大地はクルックスに蹴り飛ばされてしまう。
スティックハンターは攻撃を準備しようとするが、
『ラドン!エレメント・ショット!』
ガイスラーの攻撃をかわした先、クルックスの蹴り技によって力が強制解除されてしまった。
樹林と大地は意識が飛んでいた。
銃撃。
央駆は元素シューターを撃ち威嚇する。
楽譜で弾かれる銃弾。
震える手はガイスラーを笑わせた。
「ふははははっ!完全勝利というやつだ。」
央駆の攻撃などあっても変わらないと言わんばかりにガイスラーは樹林を、クルックスは大地を担いだ。
「待て…!!」
クルックスはしっかりと立ち止まり、央駆を見る。
「断る。」
ガイスラーが央駆の足元を撃つ。
「ぐ…ぁッ!」
2人は、どこかへ去っていった。
「クソっ!!」
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メメント・二重奏がテノールを襲う。
「なんなんだ…ッ!?」
『象徴化!ラメント!』
テノールは咄嗟にラメントを使用した。
『ラメント・ショット!』
「アルト…!聞こえていないのか!?」
援護を求める。
「央駆!至急こっちに来てくれ!まずい!」
『こっちも大地と樹林が奴らに攫われた!』
「何!?」
メメント・二重奏の攻撃は、とても強いと言えるものでは無かった。不確かな動きが多すぎる。
「うおあおああああっ!」
アルトの叫び声が聞こえる。
「混乱して感情をコントロール出来ていない…!?」
『くるみが向かう、俺は奴らを追う…!状況は』
「メメント・二重奏だ!」
『何!?』
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「祝・ガイネン様、地球侵略成功!!」
拍手。
「いやあ流石ですねガイネン様。その圧倒的統率力!未だに対応しようと現れた者はおりません!」
持ち上げるガイスラー。
ガイネンの前に寿司が置いてある。
「これは…」
「お寿司ですよお寿司!ラボアジェ神殿に無い、最高に美味しいと言われている日本伝統の料理です。」
「ガイスラー。貴様、ガイネン様への言葉の慎み方を知らないのか…?」
「構わん。貴様らの手によって対抗勢力は壊滅したと言っても過言では無い。それはガイスラーの強き力があったからだ。勿論、クルックスの武器提供が無ければなし得なかったがな。」
「いえ。この楽譜…ガイネン様が与えてくださった能力のお陰です。書けばそれが出現する…学問を超越した唯一無二の次元ではありませんか。」
「然らば良かった。」
タコを見つめるガイネン。
「…ガイネン様?」
「これ、美味いのか。」
「ええ!是非1度お口に入れてみるといいですよ。」
1度お口に入れてみる。
「どうです?美味しいでしょう。」
ガイスラーの副音声付きのようだ。
「オホーツク海に生息する北海道産絶品のタコですよ!」
「黙れ。」
「失礼しましたぁ…。」
「ガイネン様の配信は国民はおろか世界中を震撼させております。地球制覇も時間の問題かと。」
「奴らは」
「下方大地と上方樹林は牢獄へ収容致しました。」
「殺さねえの?」
「まだ情報が出てくる筈だ…。」
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くるみが到着した。
コンビニの前だったが、その中は誰も居ない。
「テノール!…え?」
メメント・二重奏の姿を認識した。
「アルトは?博士は!?」
ラメントはメメントに指をさす。
「"アレ"だ…。」
「そんな、どうしてこんなことに!?」
襲いかかるメメント・二重奏。
くるみはスティックハンターとして対抗した。
「はっ!」
スティックの弾丸がメメントに直撃。
その姿は、リム・ストローク博士とアルトに戻った。
咳き込む2人。
「え…?」
2人の間には、見知らぬ赤い元素プレイヤーが落ちた。
「ちょっと、大丈夫ですか!?」
くるみはストローク博士の方へ、テノールはアルトの方へ駆け寄る。
「す、すまないテノール…私よりっ、」
アルトはリム・ストローク博士の方を見ていた。
「宇宙くん、に…アレを…。」
リム・ストローク博士が、死んだ。
「嘘…」
赤い元素プレイヤーがストローク博士の死を診た。
博士の身体が溶けていく。
「ラボアジェ神殿から来た者の寿命…。」
呼吸が落ち着いたアルトは今まで以上に"死"を意識した。
ラボアジェ神殿からやって来た者は、元々死人である。
アルトは急に怖くなった。
この場で死んでもおかしくなかった。
「博士…。」
両手を合わせ赤いプレイヤーを拾い、その場を後にした。
温かい毛布は掛けられなかった。
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「リム・ストロークの位置情報が消えた。」
クルックスが察した。
「所詮地球に来れば1週間も無い命。その中でも奴は高齢だったからな、これが運命だ。」
「さて、アルトがこちらに近づいてきている。」
「馬鹿め。開放されているとでも思ったのか。」
ガイスラーが向かう。
「いって参ります。」
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牢獄。
目が覚める大地。
「…!おい!」
響き渡る自身の声。手は縛られていた。
「最悪だ…。おい、樹林…!」
樹林の肩を揺らし、起こした。
「ん…、ん!?」
「こりゃ不味いぞ。収容されてる。」
「ヴっ…ッ゛!!」
大地はものすごい勢いで頭を床にぶつけた。
「何してるの!?!?」
大地が頭を上げると、歯が1本抜けていた。
「歯、抜いたの…?」
口から血が垂れる。
"せめるぞ"
血文字だった。
「あっ…、でもどうやって。」
結構長文になる気がして、マジかよと言わんばかりに樹林を2度見する大地。
血文字を書こうと頭を伏せた瞬間、ドアの開く音が聞こえた。
大地はすぐに顔を上げ、樹林に訴えかけた。
央駆が助けに来てくれたかと思った。
クルックスだ。
すぐに足で血文字を擦り消した。
「牢獄の居心地はどうだ?」
「ああ、最悪だ…。」
銃口が向けられる。
「…ッ、」
「何を企んでも無駄だ。」
歯を食いしばる。
クルックスを横から央駆がタックルで攻撃した。
「…っ!」
クルックスの腕を掴み、銃口を上に向けさせ発砲させる。
弾丸が仰向けになったクルックスの耳横に落ちる。
その音は、クルックスの鼓膜を苛立たせた。
「…貴様、ふざけるのもそこまでにしろよ?」
「こっちのセリフだ!」
銃を取り上げクルックスに向ける。
足は既に真っ赤であった。
「これ…ガイスラー機能してないんじゃないのか。心配になってしまったなあ。」
央駆の腹を蹴る。
「ぐはっ!」
吹き飛ばされる。
「まあいい、」
央駆は背中に何かが当たるのを感じた。
恐る恐る後ろを振り向く央駆。
大量のバケモノの軍が央駆の後ろに並んでいた。
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「はっ!」
モメントを攻撃するスティックハンター。
「貴様は…無価値だッ!!」
『ラドン!エレメント・ショット!!』
『ラメント・ショット!』
「大丈夫か、くるみ!」
「うん、ありがとう。」
『ネオン!メメント・インパクト!』
バケモノには特大ダメージである技も、プロトアクチニウムのモメントにはかすり傷程度だった。
「ふっ、おらあっ!」
降りかかるエネルギー弾。
「避けろ!」
『ヘリウム!エレメント・ショット!』
風船を緩衝材として弾の衝撃を和らげる。
「流石だ、アルト。」
「これでもガイネンと戦った身なんでね…!」
『アルミニウム!溶液化!』
液体になったアルミニウムは固まり、武器となる。
「はっ!!」
「させるか…ッ!」
『プロトアクチニウム!エレメント・ショット!』
「ここでお前を倒す!!」
『ラメント・ショット!』
スティックハンターも、ドブニウムのエネルギー弾をチャージする。
「はあああああっ!!!」
「ちょちょちょっ、1vs3はズルい!」
チューブラーベルを叩く。
立ち位置が逆になった。
3人分の必殺技が、スティックハンター、メメント、ラメントを襲った。
衝撃。
くるみ、アルト、テノールは転がる。
「くっ…、!」
「あれ?あー、こんな使い方が…。」
落ちる赤のプレイヤー。
「ん?なんだコレ…。」
ガイスラーが拾おうとすると、抵抗を示すように電撃が走る。
「痛ッ!!」
アルトが出血に耐えながら回収し、ガイネンの元へ行こうとする。
立ち位置が逆になった事でダメージは与えられたものの、3人が入口と近くなってしまったのだ。
「しまった!おい待てっ!!」
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央駆からの着信。
『宇宙…大地と樹林が攫われた。俺は今から助けに行く、だが足の出血は止まらない。今にも倒れそうだ。もし…。もし俺が死んでしまったら、』
『君にクラックの司令官をやって欲しい。』
「えっ、でも俺は…」
『無理にとは言わない、君が苦しんでいるのも悩んでいるのも半分以上は解れているつもりだ。』
『これは君の人生だ。君は水上 宇宙だ。Mr.クーロンじゃない、水上 宇宙なんだ。』
机に置かれた元素プレイヤーを見つめる。
『君は、"君ならどうするか"で選択をしてくれ。』
そして通話は切れた。
「水上 宇宙は、ドラム教室の先生で…。」
手紙を手に取る。
"ソラ兄ちゃんへ。"
それは割と単純なもので、本文は1行で終わっていた。
"いつもありがとう!"
いつも。
メメントになってから、まともにレッスンが出来ずに光太郎と啓太に会う回数も減って。
保護者の方にも迷惑を掛けて。
それなのにクラックの皆にも今まさに迷惑を掛けてる。
でもこのありふれた1行が、到底軽いものに思えなかった。
コンクールのあの日、
光太郎が啓太に言った言葉を思い出した。
『ソラ兄ちゃんは皆を守るヒーローなんだ!』
なんだ。あの時から幸せだったんじゃないか。
やっぱり「ありがとう」は聞き馴染みが無い。
元素プレイヤーを持ち、ドアを開けた。
空は暗く雲は多くて星が微かに見える程度だが、
既に雨が止んでることは確かだった。
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「…!」
バケモノを数体倒したが弾が切れてしまった。
「終わりだ。奈良 央駆。」
「央駆!!」
檻から人間の鳴き声が聞こえる。
「力のない割に声の大きい貴様らに相応しいエンドだ。」
クルックスは楽譜から鎌を生成した。
「終わりだッ!!」
「「ちょっと何ぃぃぃぃっ!?」」
それまでの緊張感を一気に解くような間抜けな声が牢獄中に響いた。
「少年!逃げ…っ、ん?」
司令官が発した言葉は、彼の右手に塞がれた。
その右手には、ドラムセットのような見た目をした、だがドラムセットと言うには明らかにコンパクトなサイズの機械があった。
『元素プレイヤー!』
そう。
「宇宙!!!」
水上 宇宙が、帰ってきた。
「行くぞ!」
そして。宇宙の頭上をガイスラーが突き抜ける。
あまりの勢いで飛んできたガイスラーは壁に頭が刺さっていた。
「ガイスラー!?なぜ貴様ここに!奴らはどうした!」
スポッ、と壁から頭を抜き冷静に話すガイスラー。
「それが…」
アルトの手元にあった赤い元素プレイヤーがガイスラーの腹部へタックルするように、ものすごいスピードで突撃して水上宇宙の元まで飛ばしてきたのだという。
「何を言っているんだ…?」
「こっちが聞きたい!」
そのため、水上宇宙の左手には赤い元素プレイヤーが。
「何だ、これ…。わっ!」
右手の元素プレイヤーと左手の元素プレイヤーが引き寄せられ、紅白の新たな元素プレイヤーが生まれた。
「これは…」
ネオンエレメントスティックをセット。
『ネオン!』
宇宙の目の前にバスドラムが出現する。
目を瞑る。
深呼吸。
「はっ!」
『象徴化!』
一発。大きな音を鳴らし響かせる。
するとバスドラムが胸部に合体し、背中にはマントが出現する。
ところどころがネオンに輝き、暗い空間に光を刺す。
その名も─
『メメント・三重奏!!!』
【所持スティック】
〈クラック〉
ヘリウム、ネオン×3、アルミニウム、カルシウム、カリホルニウム、ドブニウム、ニホニウム
〈ラボアジェ神殿〉
ダイナミックタム(調律済)、Tbチューニングキー、
水素、リチウム、ベリリウム、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、ナトリウム、マグネシウム、リン、硫黄、塩素、アルゴン、カリウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、セレン、臭素、クリプトン、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、テルル、ヨウ素、キセノン、セシウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、タリウム、鉛、ビスマス、ポロニウム、アスタチン、ラドン、フランシウム、ラジウム、アクチニウム、トリウム、プロトアクチニウム、ウラン、ネプツニウム、プルトニウム、アメリシウム、キュリウム、バークリウム、アインスタイニウム、フェルミウム、メンデレビウム、ノーベリウム、ローレンシウム、ラザホージウム、シーボーギウム、ボーリウム、ハッシウム、マイトネリウム、ダームスタチウム、レントゲニウム、コペルニシウム、フレロビウム、モスコビウム、リバモリウム、テネシン
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