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エレメント・メメント  作者: 廣瀨 玄武
第三章【汝自身を知れ】
33/44

32.超然的ベトレイヤー

第三章、完。

「Mr.クーロン…」

「始めよう。」

Mr.クーロンが取り出したのは、ドラムセット型の元素プレイヤーだった。

「何!?」

「ただの支給品だ。」

『元素プレイヤー!』

『ネオン!』

「どうして…ネオンのスティックで、?」

象徴化(シンボライズ)!』

その姿は、メメントだった。

「待てよ、なんで!」

メメントの拳が宇宙へ近づく。

避ける。

「まずい!このままじゃ!」

『エレメント・ショット!』

宇宙が撃つ。

「ここは俺が!大地はガイネンの方に行って!」

「お前の元素プレイヤーを力ずくで奪う!」

メメントに蹴りを入れる宇宙。

「ほう...。」

『セメント・ブレンド!』

地が揺れる。

「!」

樹林が追ってやってきた。

「そうはさせない。」

「くそっ、」

大地は走る。

「奥の方にガイネンが居る...。」

『エレメント・ショット!』

バケモノを撃って進んで行く。

立ち塞がるは、バス。

「樹林が取り逃したか…まあいい、ここから先は通させない。そして後にも戻らせない。」

バスの回し蹴りから、大地は道を戻らざるを得なくなる。

「ああっ、邪魔だ…!」

走る。

「逃げるな!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「あとはシューターのデータを入れ込むだけだ。」

テノールがドライバーでネジを回す。

「凄まじい技術力だ。」

「これでもずっとアルトの横にいたからな。」

テノールがコマを回す。

「…嫌な予感がする。央駆!」

「どうした」

「今すぐにラボアジェ神殿に行くぞ。」

「どうやって」

「電話は」

「...繋がった。」

「大地!内側からラボアジェ神殿の扉を開けられるか?」

どこか荒れている大地の声が不穏さを増幅させる。

「…よし、行くぞ!」

新たなガジェットを握りしめてテノールが向かおうとすると、


対面。


「ソプラノ…。」

「えっとー、何をするって?」

「お前に話している暇は無い。」

「そっ…、くるみ!」

日香くるみが前に出る。

「くるみ…。」

「やっちゃって。」

くるみはドブニウムのバケモノ、スティックハンターに成り下がる。

「スティックはもう全てそっちにある筈。何故スティックハンターとして戦う意味がある?」

「黙れ...。黙れ黙れ黙れ!」

スティックハンターが荒れ狂う。

「仕方がない...、」

テノールは造ったばかりの新たな元素プレイヤーを構える。

『元素プレイヤー!』

それは、タンバリン型であった。

親指を面につけ、擦るように円周をスライドする。

サムロール奏法である。

『象徴化(シンボライズ!)』


『ラメント!!』


テノールはスティックを使わずして、素朴な戦士ラメントに姿を変えた。

「はっ!」

『ラメント・ショット!』

手のひらにある銃口から弾丸が発射される。

「うわあっ!」

スティックハンターは筒から弾丸を発射する。

銃撃戦が始まった。

「行け!スティックハンター!!」

「テノール、無理はするな!」

「今ドブニウムのスティックを手に入れるだけでも違う!必ず仕留める。」

「えっ、」


銃声。


弾丸のぶつかり合う音が、ダンボールの置かれた誰も居ない小さな空間で呼吸をするように響き合う。

「死ね!死ね!!」

くるみからは出されるはずの無い声。

「必ず潰す!!」

仲間が仲間を殺めようとする声。

それを達観する者。

央駆には、我慢が出来なかった。


「待て!!!!」


スティックハンターの前で、央駆が両手を広げる。

「どういうつもりだ…?ドブニウムのスティックがあれば」

「それでも…居なくなっちゃダメなんだ!」

「日香くるみに同情の余地は無い!」

「まだやり直せる!」

央駆は、くるみの両肩を持つ。

「なあ、これがお前の見たかった正義か?」

「…っ、」

腕を振り払う。

「おいおい、ウチのくるみに何語りかけてんの。」

「騙されるな。裏切り者はどこまでも裏切り者だ。」

テノールが央駆に訴えかける。

「期待をすれば傷つくだけだぞ。」

「それでも…」

「それでも信じたい!俺はくるみを仲間だと思ってる!」

央駆の目は赤い。

スティックハンターは、姿を解いた。

「ちょ、なに。クラックに戻るとか言うつもり?」

くるみはラメントに近づく。

ラメントは構える。

「これ、ドブニウムのスティック…。」

「何のつもりだ。」

「これ、元素シューター…。」

元素シューターをラメントに渡す。

「あらあらあらあら...?裏切っちゃったか?」

ソプラノに背中を向けたくるみが泣き笑う。

「ごめんなさい、やっぱり私には信じきれない。」

「何を。」

「メメントを。」

「そうだよな?」

「でも、もっと信じきれない存在がある。」

「何?」

「新生アイソトープ。」

「はっ、バカ?ここまで優しくしてやってんのに!今まで何の不利益もなかったじゃない!」

「あったよ。」

「ちっ、」

「私はもうちょっとだけ、」


「不信なものにでも愛されていたい。」


「どこまでも自己中な奴が...!世界が滅びるかも知れないんだぞ!?」

「結局何も信じれないよ!正義も悪も、どっちだって酷い過ちがあるもの!その中で私が寄り添っていたいのは…温かい場所よ!!」

ソプラノは怒りが湧いてきた。

「…」

「...」

「...ほんッ当にいいいいいいイイィッ!!!」

注射器を取り出す。

「それは!」


「...ッ、あぁ。」


ソプラノは限界突破した。

巨大な体を手にし、元の形を失った。

名付けるならば、"笛人間"。

【ソプラノ・フォルテシモ】が、簡素なこの地で荒れ狂う。

「そこまで堕ちたか...ソプラノ!!」

テノールは元素プレイヤーとスティックを央駆に預けた。

「先に行け。」

「でも...!」

「俺の持ってきた悪だ、始末は俺がつける。」

『元素シューター!』

扉が開く。

「行こう、くるみ。」

「うん…ありがとう。」

央駆とくるみはラボアジェ神殿へ向かった。


「ソプラノ、お前は俺が倒す。」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「これは...、」

這い蹲る宇宙と大地。

目の前にはセメントとバスと、メメント。

「メメント...!?どういうことだ??」

「あいつは...Mr.クーロンだ...っ。」

「Mr.クーロンだと!」

「お前が奈良 央駆。今のクラックの司令官か。」

「ああ、まさか諸悪の根源にこんな所で会うとはな。」

「諸悪の根源?笑わせるな。この世に悪など存在しない。」


「総て、正義だ。」


『元素プレイヤー!』

「大地、これを。」

「新たな元素プレイヤー…?って、日香くるみ!?」

「話は後だ、頼む。」

「分かった。」

『元素プレイヤー!』

象徴化(シンボライズ)!ラメント!』

「ラメントか。あの元素プレイヤーを取り返す。」

『ラメント・ショット!』

銃口から弾丸が放たれる。

『元素シューター!』

「宇宙、!」

「ありがとう!」

『ドブニウム!エレメント・ショット!』

くるみは、宇宙の姿を見た。

(たくま)しかった。(いさ)ましかった。

「はっ!はっ!」

「おっと。日香くるみ、裏切りか?」

バスはくるみに目を付けた。

セメントは構える。

「あんな冷たい場所...私は居られない!」

樹林はそのくるみの姿を、しっかりと目に焼き付ける。

「ほーう…なら、」

フラスコをくるみにぶつける。

「あっ!!」

くるみに異変。

「え...?うっ、うわああああああ!!」

くるみはスティックハンターでも普通の化け物でもない、"何か邪悪な怪人"にさせられようと煙に覆われる。

「うっ...ううっ、!!」

「ふっふっふ...、裏切りの先にあるのは死。」

苦しむくるみ。眼が光を失っていくのを感じる。

「...くっ!」

メメントと戦う大地と宇宙もそのオーラに顔を向ける。

「何をよそ見している!」

『ネオン!メメント・インパクト!!』

宇宙に向かって指がさされる。

「この一撃で、お前は"死ぬ"。」

「は...ッ!」

「宇宙!」


爆発。


煙の幕が披露したもの。

それは、闇に覆われているくるみだった。

メメント・インパクトがくるみの周りを覆い隠す邪悪な煙に直撃している。

「私は...、」

メメント・インパクトにより闇が解ける。


「私はクラック!!」


くるみの眼は光を取り戻す。

「宇宙、スティックを貸して!」

「え?、...」

「ああ!」

ドブニウムのスティックがくるみに渡る。

くるみはスティックハンターに成り上がる。

「貴様...ッ!どうして!どうして私の魔術が!」

「私知った。知るのが遅かった…メメントはヒーローだって。皆、未来があってもいいんだって!」

スティックハンターは、Mr.クーロンのスティックを狩る為走り出す。

「戦える!私まだまだ、戦える!!」

「何!?このっ!」

スティックハンターの筒から発される弾丸。

液状化(ディソリューション)!』

溶けていく弾丸の滝をくぐって駆けるラメント。

『ラメント・ショット!』

ヒーロー・水上 宇宙のアシスト。

『エレメント・ショット!』

「うわあああっ!」

メメントに大ダメージであった。

「おい!何を見ている!行け、セメント!!」

「スティックならなんでもくれてやる!!」

カリホルニウムのスティックを適当に渡される。

セメントが動き出す。

『ヴィブラフォンドライバー!』

『カリホルニウム!アルミニウム!ニホニウム!』

「くるみ!宇宙!避けろ…ッ!」

「えっ!?」

「ふははっ!どこまで行っても逃げられやしない!裏切り者がァっ!!」

セメントはエンプティスティックを叩いた。


銅鑼。


バスは、爆発を受けた。

「…ッ!?」

「ずっと、ずっとずっと宇宙が頑張っているのを見てた。」

バスの右脚がちぎれている。

「え...?」

「もうこれ以上宇宙に大変な思い、して欲しくない!」

『セメント・ブレンド!』

回復しようと右足が胴体に戻る瞬間に放たれたセメント・ブレンドは、バスの身動きを取れなくした。

「嘘...嘘ッ!」

復活のフラスコを投げまくるバスだが、胴体は応えない。

「私...このまま...?」

「水上 宇宙!」

必殺を放とうと、同時攻撃によろついたメメントが元素プレイヤーを取り出す。

その隙を突き、スティックハンターがメメントの手に向けて弾丸を放つ。

「あっ!!」

元素プレイヤーが宙に舞う。

「今だ!」

「はああああっ!」

宇宙は確かに、元素プレイヤーをその手で掴んだ。

すると、スティックは宇宙の方へ引き寄せられる。

『元素プレイヤー!』

「やった!!」

「...バス。終わりだ!お前はここから動けない。」

「やめろ、やめてくれ!命だけは...!」

「沢山の命を奪ってきたお前が...!」

「なんでだ!どいつもこいつも裏切りやがって!おい樹林!貴様もしかして初めから!!」

樹林は答えない。

「聞こえていない...ッ!!くっそおおおッ!」

宇宙は樹林の肩をそっと叩く。

少しだけ頬が赤らむ。

「あの頃の大会の曲、弾いてくれたよな。」

「...うん。」

聞こえていない。ただ、確かに伝わっている。

「くっ!ああっ!あああっ!!」

バスに痛みが走る。

かろうじて残る両手を使い、進んで行く。

「貴様らァ!覚えていろォッ!」

「忘れるわけないだろ!」

哀れなバスはどこかへ消えていった。

「やはり、スティックは引き寄せられたか。」

Mr.クーロンの一言は宇宙を注目させるものであった。

「そろそろ教えてくれよ、ずっと気になってるんだ。」

「俺の心臓が動き続けてるって。」

「...。」

Mr.クーロンは答えない。

「俺は未来で、アルトという医術師になっていたらしい。何か関係があるんじゃないのか?一時的に水上素流になった事も、転生も。どうしてあんたが俺の事を知ってるんだ?全部。」

「それは...。」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「どうして神に忠誠を誓おうと思った、」

テノールはソプラノに問う。

「お前らがちっぽけだからだ!人は余裕が無くなると弱くなる!弱くなると余裕が無くなる!余裕でいたかったんだよ!神の方が強いからだよッ!!」

ソプラノ・フォルテシモ。怪人は答える。

「お前は今余裕か!?」

「...ッ、」

生身のテノールは冷静に怪人の心に問い続ける。

「うるさい、うるさい!」

「お前もアルトと一緒に、クラックとして世界を守れたんじゃないのか!俺たちの何人の仲間が神に殺された!?」

血だらけの腕でソプラノに訴え続ける。

「んんっ!んんんんッ!!!」

布団に顔を埋める子供のように泣き崩れる。

「いつまで平然なフリをしている?」

「私だって怖かったよ!皆死んでくのが...でも、でもさ!?バスが神の所いってさ!?凄い、楽しそうでさ...、」

「私も、バスみたいに、余裕でいられるかな、ってさ…」

テノールはソプラノを蹴り飛ばす。

ソプラノは反抗しなかった。

「もうやめよう。こんな争い、意味が無い。」

「ある!私の中で決着がついてない!」

「つくべき決着だったか?」

「...私が、...皆を裏切ったから。裏切り者だから...。」

ソプラノは元の姿に戻り、テノールの足にしがみつく。

「なんで、こうなっちゃったのかな…?」

ソプラノは長い髪を(ちぎ)る。

「お願い...。」

「そんな事はしない。」

呼吸の荒い2人。

「して!この世から…消して...。」

テノールはソプラノの胸ぐらを掴む。

「償うんだよッ...!誰にも迷惑をかけるな。」

沈黙の果て。

バケモノが扉から大量に現れる。

「かなり侵略が進んでいる...!はっ!」

テノールはバケモノを倒していく。

「テノール!」

「なんだ!」

「どうすれば…つぐなえる?」


「自分で、考えるしかない。」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ラボアジェ神殿の入口付近。

宇宙、大地、樹林の3人と央駆、そしてくるみ。

テノールを除くクラック一同は"アイソトープの創始者"Mr.クーロンと対峙していた。

宇宙は自身の転生の秘密を聞き出す。

「なあ、教えてくれよ。」

いよいよ、Mr.クーロンは口を開いた。

「君をこんな事に巻き込みたくは無かった...だが、どう足掻いても巻き込んでしまう。ショックだけは受けないでくれ。これは私が仕組んだ事では無い。」

「いいか。」

Mr.クーロンの言葉は、水上宇宙の存在意義を確かめた。



「私は、君だ。」

【所持スティック】

〈クラック〉

ネオン、アルミニウム、カルシウム、カリホルニウム、ドブニウム、ニホニウム


〈新生アイソトープ〉

ダイナミックタム(調律済)、Tbチューニングキー、

水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウム、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、ナトリウム、マグネシウム、リン、硫黄、塩素、アルゴン、カリウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、セレン、臭素、クリプトン、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、テルル、ヨウ素、キセノン、セシウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、タリウム、鉛、ビスマス、ポロニウム、アスタチン、ラドン、フランシウム、ラジウム、アクチニウム、トリウム、プロトアクチニウム、ウラン、ネプツニウム、プルトニウム、アメリシウム、キュリウム、バークリウム、アインスタイニウム、フェルミウム、メンデレビウム、ノーベリウム、ローレンシウム、ラザホージウム、シーボーギウム、ボーリウム、ハッシウム、マイトネリウム、ダームスタチウム、レントゲニウム、コペルニシウム、フレロビウム、モスコビウム、リバモリウム、テネシン



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