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エレメント・メメント  作者: 廣瀨 玄武
第三章【汝自身を知れ】
32/44

31.内罰的ティップ

神が、復活した。

全てのスティックはアイソトープの元へ渡った。

絶望的な状況に置かれ、くるみに対して必死に訴えかける央駆。

対策がないまま、押し寄せるバケモノ。

それでも戦う決意をする戦士たち。

時間は、無い。

「神は、復活した。」

くるみの一言で、跪く央駆。

「何故だ...」

胸ぐらを掴む。

「何故アイソトープに加担したあッ!」

アイソトープ本部にいるのは2人だけだった。

「何故宇宙を気絶させてまで神を復活させる!?」

「メメントに世界は守れないからよ!言ったでしょう!?あいつは人殺しだって...、」

「水上宇宙は人間だ!過ちを犯すことはある!」

「その過ちが取り返しのつかないものだとしたら!」

「それは...っ!」

「それは...」

「そうよ。符裏蓮は帰ってこない。いくら加害者が反省したって、被害者の心が癒えるわけじゃない。」


『貴方たちの事は信じられない。』


蓮の師匠は、確かにそう言った。

「それでも、それでも未来はあるべきだ!」

両肩を掴み、くるみを揺らす。

「過ちを犯した者の未来は閉ざされるのか...?」

央駆の手をそっと、放す。

「そんなこと...」


「私達は、メイプルさんを助けられたのかな。」


くるみは央駆に問いかける。

「え?」

「あの時元素プレイヤーの使用を止めていればメイプルさんは死ななかったのかな。」

「...だが、俺たちが生きているのも宇宙のメメントが誕生したのも全部!メイプルさんのお陰だ...。」

「それに、」

「メイプルさんならそうしていた。」

「私達はそういう意味で、バケモノなのかもしれないね。」

央駆は黙って、くるみを背にして走った。

「央駆...!」

「俺は(ガイネン)に立ち向かう。」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「ラスボスのお出ましか...」

大地が立ち上がる。

「ふん。」

急な重力を感じる大地。

「何!?体が...重いっ、」

再び膝をつく。

「森羅万象は我が身に還る。」

再び扉が開く。

「あの扉は...!?」

「地球よ、待っていろ。(じき)に支配してやる。」

「支配って...ふざけんな...っ!」

身体が動かない。

「大人しく従えばいいものを...。」

バスが呟き、扉の先─ラボアジェ神殿へ向かう。

扉が閉じる。

体が解ける。

「!」

閉じた扉を視界に入れた瞬間、強風で砂埃が舞う。

「なんだ...ッ!」

楽譜を持った男が一人。

「お前は...」

宇宙の目が覚める。

目の前に居る楽譜の男に驚く。

「わああっ!?」

「おや?君とは久々だね。僕はクルックス。神の…」

「側近だ。」

「ラボアジェ神殿の...!」

「覚えていてくれて大変嬉しいよ。ところで何故僕がこの地球に居るか、解るかい?」

「まさか、(ガイネン)が復活して...!?」

「そうそう。僕達の神がこの地球を支配する下準備を開始なさった。下見といってはなんだけど、"民度"が知りたくてね。」

「民度...?」

「そうそう。神に忠誠を誓ってくれる人がどれくらいいるかの、ね。ただこう見た感じだとあまりみたいだ。」

「反乱なんて起こったりしたら面倒だ。次のページに進めやしなくなる。」

「何言ってるんだ?」

「そこで、試練だ。」

「え?」

大量のバケモノが扉から出現する。

「バケモノ!」

宇宙と大地が元素プレイヤーを構えようとする。

「...無い、」

元素プレイヤーが、無い。

「エレメントスティックも...」

バケモノが襲いかかる。

「わあああっ!」

「全ては神の復活材料。いつから自分のものだと勘違いしていた?」

『エレメント・ショット!』

央駆が駆けつける。

「アイツは...!?」

「クルックス、神の側近だって。」

「なぜ戦わない?」

「戦えない。」

「戦えない?」

「戦えない。」

「あ…っ!そういうことか。元素シューターで応戦するぞ」

『エレメント・ショット!』

バケモノを撃っていく。

「バケモノも元素の力がない、比較的簡単に倒せる。」

「待って。ラボアジェ神殿に居た人達っていう可能性は…」

「…無いでは無い。」

「撃っていいのかな、」

「逃げよう。」

「逃げ先が無い。」

「逃げるのかい?」

クルックスが聞く。

「君達、抗うならもっと徹底して抗わなきゃ。」

宇宙の背後に人影。

「隙を、突かれるよ。」

何者かに背中を蹴られる。

「わあっ!誰だ!?」

振り返ると、宇宙は銃口を向けられていた。


─上方樹林に。


「じゅ、樹林...。」

「宇宙、今は神に従って。お願い。」

「え…?」

「もう私、宇宙に苦しんで欲しくないんだ。」

「だったら神に支配を任せちゃダメだ...!」

樹林は完全に耳が聞こえなくなっていた。

セメントとして戦う内に聴力が著しく下がっていた。

「聞こえて、無い…。」

「ええっと、君は神に従う正しい子だ。セメントとして戦ってくれていたね。」

ニホニウムとカルシウム、アルミニウムのスティックを樹林へ投げる。

「協力、ありがとう。」

1度、音を鳴らす。

『ニホニウム!』

『セメント・象徴化(シンボライズ)!』

合金戦士セメントが宇宙達を襲う。

「宇宙!宇宙!」

『ヴィブラフォンドライバー!』

叩く。

宇宙と大地は、どこか懐かしい気持ちになった。

「この音は...。」

樹林が、何かを伝えようとしている気がした。

『カルシウム!アルミニウム!セメント・ブレンド!』

地面を叩く。

衝撃波で吹き飛ばされる3人とバケモノ達。

爆風を受け感激するクルックス。

「ほうほう。素晴らしいものを作ったなアイソトープは…さすが、Mr.クーロンの意志を継いでいるだけある。」

「上方樹林。行こうか。」

「ああ、聞こえていないのか。」

クルックスは楽譜を見せる。

"上方樹林がラボアジェ神殿に向かう"

「次の小節にはこう書いてある、神がリアルタイムで僕に指示をしてくださっている。」

「えっ、あっ、ちょっと!!」

樹林が頷き、扉の方へ歩いていく。

「樹林...!」

「またね、宇宙。」

扉が閉じた。


「支配開始ッ!!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

立ち向かうメメント。

狂い煽るように踊る炎。

死人。

地面を掻きむしるアルト。

アルト…

「アルト!!!!」

ダンボールの上。

「ここは…」

「目を覚ましたか。」

大地。

「スティックは…!」

「全部、奪われた。」

「何…まさか」

「神が、復活した…。」

「そうか...、」

「すまない!俺が中途半端にソプラノを野放しにしたせいで…。未来でバスの対策を打たなかったせいで!」

「謝らなくていいよ。逆にアルトとテノールが来なかったら、今頃もっと酷い世界になっていたかもしれないし。」

「とりあえず、生きていて良かった。」

「ありがとう。」

バケモノが一体。

『エレメント・ショット!』

「侵略が進んでいる…時間が無い。」

「誰かが被害に遭う前に行かなきゃ。」

「行くってどこに」

「ラボアジェ神殿。」

「俺たちは生きている、どうやって行くつもりだ?」

「クルックスと樹林が出てくるタイミングを見計らう。」

「だが、スティックもプレイヤーも無いようじゃ...」

大地が思いつくように言う。

「チューが俺に渡したこのプレイヤー…何とか使えないか!?損傷は大きいが…。」

「バスの元へ行かなかったということは、プレイヤーとして機能していないのでは…」

「そこをなんとか...ッ!」

「やれることはやろう。」

テノールが受け取った。

「...頼む。」

「ああ、ただ今立ち向かうと痛い目に遭うぞ。」

「でも元素プレイヤーを取り返さないとずっと勝てないままだ。」

「勝てないと分かった瞬間絶対に逃げろ。まずはダイナミックタムから取り返せ、あれがあれば少なくとも宇宙はMr.クーロンを通してラボアジェ神殿へ繋がる事が出来る筈だ。」

「いいのか?」

「他に策が無いのは事実だ。」

「ありがとう。危なかったら絶対に戻るね。」

宇宙と大地が本部を出る。

「テノール。博士の遺した過去資料はもう、」

「大丈夫だ。央駆、元素シューターを貸してくれ。」

「え?」

「分解する。」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

"下方 大地を殺せ"

紙に書かれたその文字に、樹林は抵抗する。

「できるだろう?」

バスが嘲る。

"下方 大地はチューの壊れたプレイヤーを所持している。いつ戦えてもおかしくはない。"

樹林は、はっとした。

「分かった。」

手を出す。

「じゃあ、何かもっと強い力が欲しいかな。セメント・ブレンドで多重技を出せたとしても、メメント・モリの力を宇宙に取り返されたりしたら困るでしょう?」

「よく考えている、良いだろう。」

バスは笑む。

"試作段階だが使うといい。"

「…銅鑼(ドラ)?」

"1度だけ、大きな爆発を発生させる事のできる大型元素プレイヤー。"

バスはエンプティスティックを叩き、銅鑼を収納する。

"これで持ち運ぶことが出来る。使用する時はこのスティックを叩けば銅鑼が現れる。"


「ありがとう。」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

バケモノ。

『エレメント・ショット!』

「クルックスは...」

扉が出現する。

「あっ!」

「大地…。」

扉から現れるのは、

「樹林…!!」

「バスがあなたを殺せだそう。何か持ってる?」

「…俺は何も持っていない。」

「チューの渡したプレイヤーがあるって聞いたけど」

『元素プレイヤー!』

『ニホニウム!』

『セメント・象徴化(シンボライズ)!』

「くそ…っ、」

『エレメント・ショット!!』

まだ扉は開いている。

「今のうちだ、!」

「悪ぃな樹林!今は構ってる暇は無いんだ!」

扉の先へ行く。

「あ…っ!」

樹林は追いかける。


扉が閉じた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「ここが…」

ラボアジェ神殿。

「死んだ人達がここで戦ってる。」

「ということは、」


「何も用意せずに、良くぞやって来れたものだ。」


神の声が鳴り響く。

「俺達はお前なんかの支配を受けない。」


「そうか、」


小窓が開く。

「...?」

見覚えの無い男の姿。

「誰だ?」

「そういえば、直接対面した事は無かったな。私は─」



「Mr.クーロンだ。」

【所持スティック】

〈クラック〉


〈新生アイソトープ〉

ダイナミックタム(調律済)、Tbチューニングキー、

水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウム、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、ネオン、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、リン、硫黄、塩素、アルゴン、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、セレン、臭素、クリプトン、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、テルル、ヨウ素、キセノン、セシウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、タリウム、鉛、ビスマス、ポロニウム、アスタチン、ラドン、フランシウム、ラジウム、アクチニウム、トリウム、プロトアクチニウム、ウラン、ネプツニウム、プルトニウム、アメリシウム、キュリウム、バークリウム、カリホルニウム、アインスタイニウム、フェルミウム、メンデレビウム、ノーベリウム、ローレンシウム、ラザホージウム、ドブニウム、シーボーギウム、ボーリウム、ハッシウム、マイトネリウム、ダームスタチウム、レントゲニウム、コペルニシウム、ニホニウム、フレロビウム、モスコビウム、リバモリウム、テネシン



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