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エレメント・メメント  作者: 廣瀨 玄武
第三章【汝自身を知れ】
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28.慈悲的セメント

新生アイソトープの勢いが止まぬ中、バケモノによる一般人の被害も大きくなってきた。

ドラム教室のレッスン生である光太郎は、戦いに出るばかりの宇宙の助けになるため、ある行動に出ようとするが...。

テノールは、ソプラノを追いかけていた。

「待てっ!」

テノールの前に急に現れたのは、バケモノだ。

「!」

即座に元素シューターを撃つ。

バケモノには効いているようには思えなかった。

「なに…っ?」

「残念。まだ神に抗うなんて。」


テノールはバケモノに捕らえられ、連れ去られた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「ソラ兄ちゃん、」

啓太は寂しそうな顔だった。

「…ごめんな!遠足中止になっちゃって。」

「ううん、悪いのは怪物だよ。」

「それは、そうだけど。」

光太郎は悔しそうだった。

「光太郎。」

「おれ、また逃げちゃった!」

「それが一番だ光太郎。俺を信じてくれて、ありがとうな!また今度行こう、お母さんお父さんには何とか言っておくからさ。」

「お母さん…」

光太郎の母は、未だに姿を現さない。

「もしかして、お母さんっ」

「光太郎、大丈夫だ。」

光太郎は嫌な予感に酔わされる。

「だって!今まで何回もあのバケモノのせいで色んな人が行方不明になってるって聞いたよ!!」

「光太郎!」

「俺だって戦いたい!いつまでも守られてちゃ」

宇宙に連絡が入る。バケモノの出現だ。

「…また戦うの?」

「、、うん。」

「今度は俺も」

「ダメだ。」

宇宙は強く反対した。

「どうして!俺だって戦いたいよ」

「お前はダメだ!」

声を震わせ、宇宙は叱った。


「─おいらが子供だから…?」


光太郎の目の周りは少し赤い。

宇宙は言い切った。

「ああ、そうだ。」

ただ宇宙は悔しそうに、教室の引き出しを引いた。

「…」

沈黙するしかない子供に、宇宙は1枚の紙を渡す。


「楽譜…?」


「曲作ってみようと思って頑張ってるんだけど、まだパッとしなくて。啓太も一緒に自由に書いてくれ、これなら力になる。」

「なんだよそれ、そんなんじゃ誰も助けれないよ」

「助けられる。俺は、君たちの音楽のおかげで俺を取り戻したんだ。」

そう言って宇宙は外へ駆け出した。

「光太郎くん、」

啓太が目を合わせ、頷く。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『アクチニウム・スマッシュ!』

技が弾き返された。

「くそ…っ!バスか。」

象徴化(シンボライズ)!』

メメント・キセノンが後ろに下がったモメントを横切って現れ、バケモノに斬撃を与える。

『キセノブレード!』

「どうした、遅いな宇宙。」

「ごめんごめん。まあ色々あって。」

「色々ってなんだ」

「色々だよ、色々。」

「色々か。」

「色々。うん色々。」

「奴はおそらくバスの魔術によって強化されている。」

急に本題に入り始めた。

「気をつけろ、最近現れたバケモノの言語能力の進化とは何かが違う…人工的なものを感じる。」

「大丈夫だ。この一撃で、あいつを倒─」


爆発。


「!?」

バケモノが爆発した。

「用済み。」

Ru=ルテニウム

Pd=パラジウム

Ba=バリウム

Ts=テネシン のスティックが、そして。


人が倒れる。


「大丈夫ですか!!」

すぐに駆けつけて人を抱える宇宙。

「まだ息はある、良かった…。」

「4本でも意外と混ざるものね、これで効率よくスティックを"生産"できる。」

「内部に、爆破装置を…?」

「おー、鋭いなァ。」

「どうして何も関係ない人が。」

「インの使っていたヨウ素が結構粘ってたみたいじゃない。私はそれを人間態があったからだと考えたのさ…つまり人間を素体にすればより強固で利用価値のあるバケモノが作れるって訳ねェ。」

「お前…ッ!」

スティックを拾い上げたバス。

「さァ、スティック狩りよ。」

バスの後ろを、スティックハンターが飛ぶ。

「くるみ…ッ!」

「テノールは我々が捕らえた。」

「何!?」

モメントは必死にスティックハンターの対応をする。

『モメント・ランタノイド!』

『アルゴン!象徴化(シンボライズ)!』

「はい、パイプ!」

『展延』

『アルゴン!メメント・インパクト!』

パイプを溶接・変形して作成した槍を降らす。

スティックハンターは押される。

「そろそろ回収してもいいんじゃァない?」

フラスコをスティックハンターにぶつけると、スティックハンターは力が漲る。

「何…!」

「魔術師を舐めるな、力がなければ作ればいい。私の調合が神をこの地に降り立たせるのよッ!!」

「お前は元々テノールと仲間じゃなかったのか!」

「ソプラノはそうだったかもね。でも、頭の良い私は始めから神を崇めていたわよ!」


「だって、強いんだもの。」


「この調合能力だってきっと神が私に授けてくださったんだわああああああっ!!」

フラスコをスティックハンターに何度もぶつける。

力だけでなくスピードやテクニック、防御力さえもパワーアップし続け、He(ヘリウム)Ca(カルシウム)のスティックが奪われた。

「スティックが、!」

「良いわねスティックハンター。さァもっと!」

スティックハンターは止まらない。

「圧倒的な力で押さえ付けるしかない…宇宙。」

「なんだ」

「チューニングキー無しでダイナミックタムを使え。」

「それはまずいって!だって、俺…」

「俺を信じろ。」

宇宙は大地を信じていた。

『ダイナミクス オブ ジ エンド』

「…今の俺なら、やれる。」


象徴化(シンボライズ)


割れるネオン管。


宇宙の意識が辿り着いたのは、もう闇では無かった。

「ようこそ私の部屋へ。」

ここが"ラボアジェ神殿"と呼ばれる場所である事も宇宙は解っている。

「Mr.クーロン…。今お前は何をしている。」

「先程まで戦っていたよ、降臨する日に」

「降臨する日?」

「神はそちらへやって来る、必ず。」

「そんな事、させないよ。」

「何故だ。神が世界を保護して下さるのだぞ。」

「その保護は侵略でしか無いんだよ。」

「ふん…」

ネオンのバケモノが目の前に現れた。

「己の転生を知ったか。驚いていなかったな。」

「だって、俺は俺だからね…。」

宇宙はバケモノを前に、拳を構える。

「そうか。何にせよ、お前は"死にたくなる"日が来る。」

「それが人生なんでしょ、きっと。」

ネオンのバケモノが宇宙を襲う。

「はああああ…ッ!」


その腹を貫いた。


「俺はもう、誰も傷付けたくは無いんだ。」


メメント・モリはスティックハンターの腹を突く。

「…ッ、!」

『モメント・アクチノイド!』『加速』

モメントは走ってTbチューニングキーを差し込む。

調律(チューニング)!メメント・モリ!』

無になりそうであった意識が返る宇宙。

「ありがとう、大地。」

「死なない程度に最大のダメージは与えられた筈だ。」

スティックハンターはよろけ、苦しむ。

咳き込む音が漏れている。

「くるみ…今、助ける。」

「助ける?日香くるみは神を望んでいるのに、エゴなヒーロー共ね。さ、スティックハンター!」

吠えながらメメントへ向けて走るスティックハンター。

「宇宙!」

モメントがメメントの前に立ち塞がる。

『トリウム・クラッシュ!』

スティックハンターを前に、ギロを構える。

「…あぁっ!、くるみさん…ッ!」


爆発。


大地はあまりの爆風に吹き飛ばされた。

「…!」

宇宙も転がり、這い蹲る。

央駆の姿が現れた。

「遅いぞ、何していた!?」

大地が央駆の胸ぐらを掴むと、その顔はソプラノへと変貌した。

『アメリシウム・スマッシュ!』

瞬時に技を発動する大地だが、何かに技を弾かれた。

「!?」

驚愕の余韻を残す間もなく、聞き馴染みのない、それでいてどこか懐かしいような足音が響く。

先程爆風が起こった方向を向く。

そこにあるのは、工業的なアーマーにロボットの様な巨体の姿だった。

「おっ、ようやく完成したんだァ…」

央駆の姿に化けていたソプラノは笑顔で応える。

「そうそう!名前はそうだなあ…メメント、モメント、」


「【セメント】!」


セメントは鉄琴鍵盤楽器ヴィブラフォン型の元素プレイヤーを置き、重々しいその手で機械を持つ。

『ヴィブラフォンドライバー!!』

ヴィブラフォンのドライブユニットを鍵盤横にセットすると、ドライバーのスイッチを押した。

『セメント・フレーズ!』

ヴィブラフォンのファンが自動回転しながらヴィブラートの効いたアルペジオが響き渡る。

2本のスティックを取り出し、なぞる。

『アルミニウム!』

『金!』


『セメント・ブレンド!!』


どこからか力強い風が吹き付け、クラックを追い込む。

「合わせ技だと!?なんだこの強風は…ッ!!」

「万事休すか…一度本部に戻るぞ!」

『加速』

大地は、宇宙とバケモノにされていた人を抱えて風を切りその場を去った。


「素晴らしい、セメント。」

巨大な金属戦士は喋らない。

「おっと?聞こえていないのかな。」

バスはヴィブラフォン型元素プレイヤーに接続されたドライバーを外す。

セメントの姿は解けた。

「これが、私の…(ちから)?」

手を眺め惑う彼女を止める様にバスが手を叩き合図する。

「さァ戻ろう。セメントこと…、」



上方(カミカタ) 樹林(ジュリン)。」

【所持スティック】

〈クラック〉

ダイナミックタム(調律済)、Tbチューニングキー、

水素、炭素、酸素、フッ素、ネオン、リン、アルゴン、カリウム、スカンジウム、ガリウム、セレン、イットリウム、ニオブ、モリブデン、ロジウム、カドミウム、アンチモン、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、タンタル、タングステン、オスミウム、水銀、鉛、ラドン、アクチニウム、トリウム、ウラン、ネプツニウム、プルトニウム、アメリシウム、キュリウム、バークリウム、カリホルニウム、アインスタイニウム、フェルミウム、メンデレビウム、ノーベリウム、ローレンシウム、コペルニシウム、フレロビウム


〈新生アイソトープ〉

ヘリウム、アルミニウム、カルシウム、臭素、ルテニウム、パラジウム、ヨウ素、バリウム、金、ポロニウム、ドブニウム、シーボーギウム、マイトネリウム、ニホニウム、テネシン


NEXT▶29.自衛的ディセイブ

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