25.乖離的リレーションシップ
第二章、完
ハウリング・ヨウ素。
巨大化した化け物は、生身の人間達を襲った。
腕を振る。
風圧に吹き飛ばされそうになる一同。
「…!こいつ、何かおかしい…!」
奇声を発する異形の化け物。
その言葉を聞き取れる者は居なかった。
「とりあえず倒すしかない!」
『ネオン!象徴化!』
『象徴化!モメント・アクチノイド!』
戦士たちが立ち向かう。
「あらゆる器官機能がブーストされている…?」
央駆がハウリング・ヨウ素の様子を見ている。
「気をつけろ!あの謎の注射器がヨウのエレメントスティックとしての能力の制御を阻止している!」
「まずはある程度動きを鈍くするしかない、キセノンだ!」
「よし…!」
メメントがキセノンのスティックを構える。
『キセノン!象徴化!』
『キセノブレード!』
時間が経過したとはいえ、先程も使用したので若干の麻痺感がある。
「…っ、これくらいなら速攻で斬れば!」
巨体にむかって走るメメント・キセノン。
変わらず奇声を発しながら、バケモノは毒素をばらまく。
地面に落ちる液体が目に入る。
「これは…当たったらやばいやつだ!」
『屈折』
「そのまま進め宇宙!」
液体がメメントの外側へ弾かれていく。
「助かる!うおおっ!」
足元を斬る。
奇声は少し高い音になった。
「効いてる…?」
飛ばされる液体が乱れていく。
「効いてる…!」
『酸素!エレメント・ショット!』
央駆も元素シューターで援護する。
ハウリング・ヨウ素は痺れ痺れに反撃をしようとする。
『トリウム・クラッシュ!』
青白い閃光がバケモノの腕にダメージを与え、反撃を阻止するが屈折の効力が切れ、液体がメメントを襲う。
『アルゴン!象徴化!』
メメント・アルゴンが金属製の盾を作成、防いだ。
「あぶねえ…ああっ!」
斬られていない側の拳が頭上に迫る。
白銀の壁がメメントを守る。
『オスミウム・スマッシュ!』
『加速』
壁が耐えている合間に高速でモメントが救助する。
「ありがとう!」
奇声が更に大きくなり、戦場を揺らす。
「うわあっ、」
バケモノはスティックを模した矢を生成、降り注ぐ。
「わああっ!」
足元が揺らいだタイミングで矢に触れ、トライアングルが一時的に腐敗する。
「しまった、」
「あー!それ腐敗長いんだよ…」
「そうなのか」
「でも何とかするしかない!」
Tbチューニングキーを、ダイナミックタムのアタッチメントパーツと連結させる。
『テンションボルト!』
チューニングキーを右に回す。
『調律!』
『メメント・モリ!』
メメント・モリの調律が完了した。
『象徴化!モメント・ランタノイド!』
設置されたシリーズインジケーターが【L】を指す。
青白かった光を銀白色の金属が塞ぐ。
輝きを纏いし戦士モメント・ランタノイド。
「麻酔が切れ始めている…行け!」
2人は見つめ合う。
「この一撃で…」
「「お前を倒す!」」
『ダイナミック・チャージ!』
モメント・ランタノイドが走り出す。
『C』
左肩から金属の錆びが始まる。
『D』
「司令官、元素シューターを!」
『E』
央駆が元素シューターを投げ、モメントが受け取る。
『F』
スティックを装填『ウラン!』
『G』
身体の殆どが錆に変わっていくモメント・ランタノイド。
『A』
トリガーを引く『エレメント・ショット!』
『B』
凄まじい威力のエネルギー弾が銃口から発せられる。
『C』
メメント・モリがチューニングキーをプッシュする。
『チューンメメント・インパクト!!』
巨大なバケモノがボルトで固定され、チューニングキーが異物の胴体に設置されたボルトに刺さる。
ウランのエネルギー弾がバケモノに直撃すると、チューニングキーは回転した。
「「「これで終わりだ、ヨウ!!」」」
爆発。
地球が膨れ上がる程の爆風が全員を襲った。
一同は思わず眼を瞑る。
木々が折れ、岩は砕け、砂埃が舞う。
静寂が訪れた。
ゆっくりと、目を開ける。
そこには先程までいた巨人では無く、赤茶の子であった。
宇宙の体が勝手に走っていく。
「おい、危険だ!」
そんな央駆の忠告を無視して子の方へ走る。
「ヨウ!」
ヨウは今まで見せたことの無い、心から鋭い目つきで宇宙を睨みつける。
「メメント…」
指をさす。
「俺たちの神がお前をぶっ潰す…。」
「そんなこと、させない。」
「ふ…っ」
身体が腐敗していく。
「だったら俺が潰してやる…」
「いつか、必ず。」
それが最期の言葉だった。
小さな砂のピラミッドが出来る。
風に砂が吹き飛ばされると、ヨウ素のスティックが埋まっていた。当然、何も喋ることは無い。
「ヨウ。」
膝を曲げ、スティックを拾おうとしたその時。
「宇宙!」
「?」
宇宙は誰かに蹴られた事が、頬の痛みを感じてやっと理解した。
「え…?」
斜め上を向く。
逆光で顔がよく見えなかったが、誰だか分かった。
だが、何故か言葉に出せなかった。
「殺人鬼にスティックは渡さない。」
央駆が驚愕のあまり足元が震える。
「お前は…」
「くるみ…?」
紛うことなき本物の日香くるみはヨウ素のスティックを奪取する。
「おい…そのスティックを返せ!」
「返せ?何で自分のものだと思っているの。」
そこにくるみの持つ優しさは、どこにも無かった。
「人を殺すような人間に世界を守れる筈が無い。」
「それは、」
大地がくるみを説得しようとする。
「貴方もそうよ。下方 大地。強引な手段で導いた結果が、結局は人の命を奪うことだった。何がヒーローなの?」
鎮圧され何も返せなかった大地。
「そーだそーだー!」
ソプラノが現れた。
「ソプラノ…ッ!!」
「大地〜、私気変わっちゃった〜、やっぱりこっちにスティック渡してくんない?遅いから!」
央駆が元素シューターを撃つ。
「お前に渡すスティックなど無い!」
『炭素!エレメント・ショット!』
謎の女がソプラノとくるみの前に現れる。
女の手の平により、弾丸は止められた。
「!?」
「あのさァ、大人しくして貰えるかな。」
女は注射器を持つ。
「それは!」
「ヨウ素が使ってくれたおかげで貴重なデータが手に入った、やっぱり良い素材を使って正解だった。」
「流石だね!バス!!」
聞き馴染みのない名前。
「バス…?」
「あァ、私だ…神に仕えし最善の魔術師。」
「以後、お見知り置きを。」
「ヨウを利用して…?ふざけんな!!!」
『調律!メメント・モリ!』
拳を振りかざす
「おぉお、何だ結局アルトと同じか。」
「え…?」
「はっ!」
調律が崩れる。
耳障りな音色が採石場に鳴り響く。
「すぐにチューニングが崩れた…!?」
「まあまあ、焦らないで。人類は守るから。」
宇宙は苦し紛れに腹を押さえる。
「う…っ、」
「どういうつもりだ、くるみ…!!」
「人類を守るのよ!!私の組織した新たなクラックで…いや、クラックの名前は捨てよう。」
「何…!?」
「【新生アイソトープ】で…!!」
「アイソトープだと!?という事はまさか…!」
央駆を無視して背中を向ける。
「さあ、戻ろう。チューが待っている。」
「チュー?まだ生きていたのか…!?」
フラスコを地面へ投げて割るバス。
怪しい煙が彼女たちの姿を掻き消し、新たな脅威は何処かへ消えてしまった。
「待て!…くそッ!!」
日香くるみ。
ソプラノ。
バス。
チュー。
そして、──
神に染まった女たちの逆襲が始まる。
【所持スティック】
〈クラック〉
ダイナミックタム(調律済)、Tbチューニングキー、
水素、ヘリウム、炭素、酸素、フッ素、ネオン、リン、アルゴン、カリウム、カルシウム、スカンジウム、ガリウム、セレン、イットリウム、ニオブ、モリブデン、ロジウム、カドミウム、アンチモン、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、タンタル、タングステン、オスミウム、水銀、鉛、ラドン、アクチニウム、トリウム、ウラン、ネプツニウム、プルトニウム、アメリシウム、キュリウム、バークリウム、カリホルニウム、アインスタイニウム、フェルミウム、メンデレビウム、ノーベリウム、ローレンシウム、コペルニシウム、フレロビウム
〈新生アイソトープ〉
ヨウ素、ドブニウム
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