24.革命的バトル
メメントvsモメント、決着─
採石場。
対峙する宇宙と大地。
「本当に、やるんだな。」
央駆が再び意志を問う。
「ああ、俺が勝ったらクラックに戻ってこい。そのまま突き進むと、いつか今以上に大罪を犯すぞ。」
「分かった。じゃあ俺が勝ったら。」
「望み通り俺を殺して、神に全てを委ねてみろ。」
対等に勝負するためか、メメントのフォームチェンジに必要な希ガスのスティックを床にばらまく大地。
「神は正しい者に味方する…この勝負、俺が勝つ。」
宇宙はそれらを拾う。
「あってはならない。メイプルさんの意志を…俺が継ぐ。」
『元素プレイヤー!』
2人はスティックを取り出した。
『テンションボルト!調律!』
『象徴化!』
『メメント・モリ!』
『モメント・ランタノイド!』
「…いくぞ。」
双方が走り出す。
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「殺人鬼…そう、殺人鬼。あのままじゃ世界を滅ぼしかねないし、私の命だっていつ…」
ボソボソと呟きながら薄暗いトンネルの下を歩いているのは、くるみ。
信用の預け先であった1人の戦士の存在が禍々しい気を放ったあの瞬間に、くるみはひとりぼっちになったような気がした。
「私はこれから何を頼りに…」
待てよ。何故私は何かに頼らなければならないかのようにこの道を歩いているのだ?一体何に対する悩みなのだ?私か?否、私では無い筈。もしかしたら1人でも出来る事は…無い。私は何かに頼らなければならない。私だけでは無い、誰だってそうに違いない。
「君、クラックだね。」
えっ、と後ろを向く。
ゼロ距離に女が居た。
「わあっ!」
くるみは大きく尻餅をつくと、驚きの余韻だけが彼女を虚しくした。
「クラック…」
「メメントに畏怖しているね。」
「なんでその名を、!」
「私が未来人だからさ。」
訳の分からない事を言う女が提示したのは、Db=ドブニウムのエレメントスティックだった。
「スティック…!?」
「さあ、お使い?」
「使うって…私が?」
「じゃなきゃ何ってのよォ、それで君の心を晴らすんだ。」
くるみの手は、自身でも驚く程に女の掌へ向かっていく。
「…、っ、…ッ!!」
「勝たせてあげる。」
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「はあっ!」
モメントの右ストレートはメメント・モリに響く。
「ふっ!」
メメント・モリが手を広げると、チューニングキーが矢のようにモメントを追尾する。
「しつこい事を…!」
『ネオジム・スマッシュ!』
チューニングキーが引っ付く。
トライアングルを叩く。
『展延』
引っ付いたチューニングキーは引き伸ばされる。
ギロを擦る。
『ガドリニウム・スマッシュ!』
メメント・モリは磁力を与えられ、引き伸ばされ特大となった無数のチューニングキーの塊が超高速で磁力によりメメント・モリに迫っていく。
勢いで吹き飛ぶメメント・モリ。
「ぐわあああっ!…この、!」
『ダイナミック・チャージ!』
ダイナミックタムに連結されたチューニングキーをひねる。
『C』
「まずい…!」
『オスミウム・クラッシュ!』
咄嗟にオスミウム製の金属壁を作る。
『G』
『A』
『B』
チューニングキーをプッシュする。
『チューンメメント・バニッシュ!』
メメント・モリが指で三角形を作ると、モメントの両肩と頭にボルトが設置される。
メメント・モリは手をグーに握る。
ボルトの方向へチューニングキーが刺さりに向かう。
「させるか!」
『モメント・アクチノイド!』
『屈折』
チューニングキーを金属壁の方へ向かわせるモメント。
三角が消え、必殺を免れた。
『モメント・ランタノイド!』
「これで決める。」
『プロメチウム・クラッシュ!』
火の玉が出現する。
『ダイナミック・チャージ!』
『C』
『D』
『チューンメメント・ドレイン!』
火の玉が吸収され、メメント・モリが再び火の玉をぶつける。
『カルシウム・スマッシュ!』
火の玉は酸化カルシウムへと姿を変え、白がボロボロと砕け落ちていく。
「!?」
「今だ!」
『モメント・アクチノイド!』
『加速』
『トリウム・クラッシュ!』
青白い閃光がメメント・モリを貫通する。
「くっ…!」
激しいダメージを受け調律が崩れる危機を感じたメメント・モリはダイナミックタムの使用をやめ、キセノンのスティックを取り出す。
『キセノン!象徴化!』
メメントはその身を蒼く変え、よりヒロイックな姿となる。
『キセノブレード!!』
どこからか蒼の剣が飛んできた。
「なるほど、これがキセノンの武器って訳か!」
新たな姿、メメント・キセノンが走り出す。
メメント・キセノンはキセノブレードを振りかざす。
「何だこの感触…!」
キセノブレードの斬撃を受けたモメントは、斬られた箇所の感覚がおかしくなった。
「キセノンの麻酔作用か、流石希ガス!」
「くっ、動きづらい…!」
動きが拙くなるモメントだが、10秒が経過し麻酔が切れた。
「ぐああっ!」
食らったダメージの分痛みが押し寄せる。
「最大10秒ってとこか、」
メメント・キセノンは再びモメントに向かうが、強制的にスティックがプレイヤーから抜けた。
「!?」
「麻酔の打ち過ぎはやっぱり良くないのか。」
自分もキセノンの成分を含んでいる以上、長時間の使用は出来ないようだ。使用者の命を守る為、自動でスティックが外れるらしい。
「ならこれだ!」
『ヘリウム!象徴化!』
メメントの体がピンク色になる。
メメント・ヘリウムだ。
「ヘリウムか、はっ!」
元素シューターにスティックを装填する。
『フレロビウム!エレメント・ショット!』
自分に撃ち込む事で、己を揮発させる。
気体となったモメントは自由に身を動かし、メメント・ヘリウムを攻撃する。
「うわあっ、ちょこまかと!」
『ヘリウム!メメント・インパクト!』
メメント・ヘリウムは風船のように膨らむ。
宙を浮遊するメメント・ヘリウム。
「フレロビウム、常温で気体になるほどの揮発性…」
いよいよメメント・ヘリウムは気体のモメントよりも上にまで上がった。
「俺より上に!?そこまでは昇れない…そうだ!」
『水素・クラッシュ!』
「水をかけて落とすまで!」
「だったら、」
『溶液化!』
「望み通り落ちてやる!」
急激な水の付着によりモメントの予想を遥かに上回るスピードでメメント・ヘリウムが落ちてくる。
「くそっ!」
『加速』
モメントはフレロビウムの能力を切り、当たらないようにと横へ逃げた。
『加速』
そして再び着地したメメント・ヘリウムの方へ猛スピードで駆ける。
「今度こそ…!」
『アクチニウム・クラッシュ!』
「あ…ッ!」
着陸の油断を突かれたメメント・ヘリウムは破裂した。
風船上のアーマーがエアバッグのような働きとなり大きなダメージは無かったが、風船が割れた事でメメント・ヘリウムの効果が無くなってしまった。
『アルゴン!象徴化!』
金属パイプを加工し剣を作る。
「はああっ!」
「甘い!」
『ネオン・スマッシュ!』
剣はモメントの手元に引き寄せられる。
「あっ、!」
走るメメントはその剣で斬られる。
「ぐあああ…ッ!」
転がる宇宙。
「はあ、はあ。」
「はぁ、はぁ。」
両者共疲れ切った。
モメントは大地の姿に戻る。
「お前の負けだ、水上 宇宙。」
「まだ…まだ負けてない…っ」
麻酔の入っていない、落ちたキセノブレードを拾い上げて大地に立ち向かう宇宙。
「うおおおおおっ!」
メメント・アルゴンの作り出した剣で防ぐ大地。
「どうして!お前は本当に神には勝てないと思っているのか!」
「ああ、思ってるさ!あれは人間の戦う相手じゃない!」
「お前は昔からそうだ!誰よりもずっと自分に自信がなくて!金賞だった大会でさえ不満げな顔して!何だったらお前はお前を認めてやれるんだよ!」
大地が、剣を振りかざす。
宇宙が、それを避ける。
「無理だ!俺は毎回決意だけは一人前なんだよ!でも結局後悔するような事ばっかで!俺が居なければ皆今よりも笑顔だったかなって!そういう事ばっか考えてんだよ!」
宇宙が剣を振る。
大地は受け止めた。
「クラックなんて…入らなきゃ良かった。俺が命を狙われるのも、俺が戦いに身を投じるのも、俺が人を殺したのも、全部…全部っ、」
「全部、メメントとかいう奴のせいだ!!」
大地の剣は折れた。
「…!」
宇宙はその場で泣き崩れた。
「宇宙…」
横から大きな声で言の葉が投げかけられた。
「すまなかった!!!」
奈良 央駆の声だ。
央駆は宇宙の方へ歩み寄る。
「全て私の責任だ。私が隠していたのだ、辛かったに決まっている。結局は全部、私のエゴで…」
「どうして蓮の事を隠したの…?」
うるうると、震えた声で問う。
「それは…」
「それは、君に笑顔で居て欲しかったからだ。」
「人を守る戦士が人を殺めたなんて、そんな事はあってはならないし、それが自分だと分かったら底知れない罪悪感に狩られるだけでなく、一生自分が恐怖と悪例の対象となってしまう未来に耐えられないだろう…。だから、だから隠したのだ。正直に事実を伝える事が、怖かった。」
「このような結果を招いてしまった事、本当に申し訳ない。それ以上の謝罪が出来ない事を恨む事しか私に償える事は無い…。」
「やはり、私は愚かだ。」
央駆も涙を零す。
沈黙。
「…分かった。下がっていてください。」
宇宙と大地が距離をとる。
『ネオン!』
『象徴化!』
『モメント・アクチノイド!!』
「これで終わりにしよう。」
宇宙は剣を投げ捨てた。
「はああああっ!!!!」
拳と拳がぶつかり合う。
大地は、生身となり床に血を吐いた。
「うおおおおおおおおおおおおおおッ!!」
宇宙の拳が大地に近づく。
大地は思わず目を閉じた。
「…ッ!」
「やめてっす!!!」
宇宙の手が、止まった。
「!?」
蓮の声が聞こえた気がした。
「誰もそんなの望んじゃいないっす。宇宙さんだって…本望じゃないっすよね?そうっすよね…?」
それでも神には…逆らえないんだ、
「僕は宇宙さんに殺されてなんかいないっす。」
どうして。殺したのは俺のこの手だ。
「殺したのは、神。そうでしょ?」
いや、違う。俺がやったんだ、全部。
「またそうやって。勝手に責任奪わないで下さいよ!宇宙さんは、どこまで行ってもヒーローっす。」
なんでそんなに俺を庇うんだ?
俺は、こんなにもどうしようも無い人間なのに。
「庇ったつもりは無いすけど…あははっ!確かにそうっすね、貴方は恨まれるべきだ。今だって僕はこの抜け出せない神殿で戦いを繰り返す運命に踊らされてる。でも宇宙さんのせいだと思ったことは無いっすよ。」
「自分のせいだと思ってるのは、案外自分だけなんじゃないすか?」
え…?
「あははっ!馬鹿みたいすね僕も!どうしても宇宙さんが好きだ。本当に僕ったら、」
「ヒーローのヒーローっすね!!」
戦うのを辞めた。
大地は目を開く。
「…どうした、望み通り殺さないのか…?神に」
「俺は勝つ。」
宇宙はその一言だけを呟いた。
大地はその言葉の全てを理解した。
「…そうか。」
宇宙は央駆へ手を差し伸べる。
「…、?」
央駆は手を取る。
「俺たちはクラック、」
「世界を守るぞ。」
かたい約束を交わした。
「おい、待てよ…、」
宇宙、大地、央駆が声の方を向く。
ヨウだ。
「お前らのせいで、俺たちの人生はボロボロだ!」
これまで以上に怒りに満ちたことが分かるようなその顔は、今にも爆発しそうであった。
「ヨウ…」
「ここで!クラックを終わらせてやる!神は必ず蘇る!俺は【モリ】だ!!!」
あの場所で謎の女に渡された注射器を出す。
「何だそれは!」
「うおおおおおッ!」
腕に針先を刺す。
「!?」
「なんか…力が湧いてくる…!」
ヨウの腕の筋肉は強化され、明らかにガタイが良くなっていく。髪は針のように刺々しく、目元はカッターナイフのように鋭い。
「この力で、お前たちをぶっ殺してやる!!」
その姿はもはや、ヨウのそれでは無かった。
ハウリング・ヨウ素が、荒れたこの地に火をつける。
【所持スティック】
〈クラック〉
ダイナミックタム(調律済)、Tbチューニングキー、
水素、ヘリウム、炭素、酸素、フッ素、ネオン、リン、アルゴン、カリウム、カルシウム、スカンジウム、ガリウム、セレン、イットリウム、ニオブ、モリブデン、ロジウム、カドミウム、アンチモン、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、タンタル、タングステン、オスミウム、水銀、鉛、ラドン、アクチニウム、トリウム、ウラン、ネプツニウム、プルトニウム、アメリシウム、キュリウム、バークリウム、カリホルニウム、アインスタイニウム、フェルミウム、メンデレビウム、ノーベリウム、ローレンシウム、コペルニシウム、フレロビウム
〈アイソトープ〉
ヨウ素 (ヨウ)
〈???&日香くるみ〉
ドブニウム
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