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エレメント・メメント  作者: 廣瀨 玄武
第二章【同じ川に二度入ることはできない】
22/44

21.自責的プログレス

ヘリウムとフレロビウムの手により、絶体絶命のピンチに晒された央駆と大地。

次の電車が自らを轢くまで残り数秒。

このままではメイプルに紡がれた命を切られてしまう。人々がヒーローを助ける筈もなく、死を待つのみと思われた瞬間。


水上 宇宙が現れた。

水上 宇宙がバケモノに迫る。

「ヘリウムと、フレロビウムか。」


『元素プレイヤー!!』


「スティックを持っていないだろ!」

『ダイナミクス オブ ジ エンド』

「それは…!」

水上宇宙の握っていたものは、内部の破壊されたダイナミックタムであった。

象徴化(シンボライズ)!!』


悪魔が復活した。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「Mr.クーロン…」

闇と言うには明るすぎる空間。

「ようこそ、私の部屋へ。」

Mr.クーロンの意思と会話をする。

「どうやらメイプルの記憶を継承したようだね。」

「ああ、そうみたいだ。」

「なぜ君は水上 素流では無い?」

「俺の教え子が、俺に教えてくれたんだ。」

「何を。」

「"奏でるということ"だ。俺はあの音を忘れられないんだ。大地と、樹林と、最後に演奏したあの音が…それを光太郎が魅せてくれた、思い出せたんだ。」

「そんな事、ありえない。」

「素流に成り立てだったのが幸いだ。」

「素流の記憶も…?」

「何でか分かんないけどそうみたいだ。だが、俺は1度死んだ筈じゃないのか?」

「ああ、お前は1度…1度、死んでいる。」

「じゃあなんで俺は今」


「君の心臓は、動き続けている。」


「え?」

そっと、会話が閉ざされた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

元素シューターで大地と央駆をバケモノから解放する。

「馬鹿な!ダイナミックタムは損傷したはず…」

スティックを持ち合わせていない今の宇宙にはそれしか手段が無いことを理解したが、余りにも凄惨な戦歴に怯える央駆。

ソプラノとテノールが駆けつける。

「あれは…!」

「…あっ、奈良央駆!」

テノールは央駆へ呼びかけると、央駆はテノールの言いたいことが分かった。

「何でメメントが復活すんのよ!!早くフレロビウムとヘリウム回収して大地!」

モメントはメメント・モリに問う。

「お前は、人を殺すのか」

「…」

それに言葉は通じない。

メメント・モリはテノールへ向かって走る。

「何…!」

『加速』

襲われそうになるテノールの前に出て助けるモメント。

火花が散る。

「殺すのか。」

『モメント・ランタノイド!』

設置されたシリーズインジケーターが【L】を指す。

「この声も聞こえていないんだろうか!?」

『展延』

いよいよダイナミックタムの外部が変型する。

「!?」

「おいおい、俺様を忘れるなよ!」

ヘリウムが攻撃を仕掛けると、メメント・モリの標的はヘリウムのバケモノへと変わる。

「…ッ。」

バケモノは息を飲む。

「おい、アレなんかやべえよ、フレロビウム逃げるぞ!」

「あっ、逃がすか!」

『モメント・アクチノイド!』

『屈折』

逃げようとした2体のバケモノが逆に戻される。

『アクチニウム・スマッシュ!』

「はああっ!」

「やっべ」

気体となり、かわされた。

モメントの必殺は自販機を破壊した。

「くっ、」

「俺様を怒らせた罰だ。」

モメントが宙に浮く。

「!?」

「おい、メメント。こいつは貰っていく、解放したければ葉朝小学校のグラウンドへ来い。明日の朝までにな。」

「何…!?」

大地が呼吸を荒くして驚く。

「まあ、聞こえちゃいねえだろうがよ。」


そして、2体のバケモノはモメントと共に姿を消した。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

クラック。

もはや何も機能していない箱の中で、央駆は悩んでいた。

「一体俺は何をして。」

宇宙が入ってきた。

「水上、宇宙…。」

「下方大地がバケモノに攫われた。」

「何!?」

やはり、メメント・モリの戦いの記憶だけすっぽりと抜けている。

「奴は明日の朝までに、葉朝小学校のグラウンドへ来いと言った。」

「じゃあ今からでも」

「しかし君は、ダイナミックタムしか持っていないじゃないか。」

「それが何だ、ネオンよりも強いんじゃないのか」

「違う、違うんだ。」

符裏 蓮の姿がフラッシュバックする。

「違うんだ…」

「じゃあなにか他にスティックは」

「…無い。全部、下方大地が持っている。」

「どうして、らしくない。」

らしくない。

どこかとても響いてしまっているようだ。

「俺は行くぞ、ダイナミックタムを使って。」

宇宙は、らしかった。

らしかったのだ。


『俺は、ヒーローであれる…!』


宇宙が央駆に言わせた言葉が実感させる。

今、奈良 央駆は"らしくない"。

「それに、既にバケモノのせいで怪我人が出てるんだ、」

「俺が皆を、世界を守る。」

宇宙は言い切った。

かつて、メイプルがバケモノに立ち向かった時のように。

全然朝でもない、暗すぎない空の下を宇宙は走った。


央駆の手の中のチューニングキーは、光り輝いていた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「ねえテノール、どうするよ今頃スティック全部バケモノの方にあるかもしんないー」

「元はと言えばお前が下方大地にスティックを集めさせたからだろう」

「えーでも」

「良い。奈良央駆がきっと…」

「え、何なんかしたの。」

「少なくとも俺の目的は(ガイネン)復活の阻止だ。」

「メメント・モリをあのまま野放しにしていると未来は変わらない。その事は俺たちが分かっている筈だ。」


テノールは、その手を強く握った。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「へっ、苦しめ苦しめ。」

ヘリウムのバケモノが手を出す。

「スティックを全部渡せ。チュー様の命令だ。」

「チューだと!?」

大地はここで、チューが生きている事を知った。

「何故だ!あいつはメメント・モリに」

「知らねえよそんなことチュー様は生きてんだ、早く渡せよお前の持っているスティックを。」

「渡せば俺は何になる。」

「そう来ると思ったぜ?」

バケモノはRn=ラドンのスティックを提示する。

「コイツをくれてやる。」

「希ガスのラドン…!」

「チュー様が考えて用意して下さったんだ、お前の為にな。どうよ?コイツは希少だぜえ?」

しかし、たかだか1本のスティックに全てをかけるつもりはなかった。

「…断る。」

「へえ。」


「そうだ、良いこと思いついたぜ。」

ヘリウムが提案する。

「俺様が今お前を殺せば到着した奈良央駆とメメントはどんな顔になるのか、見たくなってきたなあ」

「話が違うぞ!」

ヘリウムは、言葉を発する度に驚く大地の滑稽さを楽しんでいた。

「それまでお前を生かす保証なんてありゃしなかった」

大地は再び首を絞められる。

「…ッ!」

「終わりだ、モメント。」


「待て!」


あの男が、来た。

「ちょ早えよ!?まだ夜だぞ!?さっき約束したばっか」

『ダイナミクス オブ ジ エンド』

「ちょおい!?」

「はああああっ!」

メメントは走ったが、RPGかのように見えぬ壁に行く先を阻まれる感覚があった。

「っ、なんだ?」

生身の宇宙は攻撃をくらった。

「くそ、いたのか。」

気体としてエリアを構築していたのはフレロビウム。

「へっ、フレロビウムが来させねえぜ。」

「黙れ」

象徴化(シンボライズ)!!』

『ダイナミックメメント・インパクト!!』

フレロビウムが囲っていた見えぬ壁が全て爆発する。

激しい地の轟音に、フレロビウムは耐えきれず実体化。

宙を舞うフレロビウムに強烈なパンチが炸裂。

粉々に散るフレロビウムのバケモノ。

メメントはスティックを手に入れた。

そして、宛先はヘリウム──

ではなく、大地へと向いた。

「まさか…!」

メメント・モリは下方大地へと走り出す。

「やめろ、やめろ!!」

「おっとこいつは面白くなってきたぁ…」

大地の鼻先数mm、メメント・モリの腕が近づく。


『ダイナミックメメント・インパクト!!』


「や゛ァめろおおおおおおおおお…ッ!!」


爆発。


爆風。


「うっ、…へっ、やったか!」

ヘリウムのバケモノは思わずガッツポーズをとった。

「これでモメントのスティックは俺様のもの…ん?」


砂埃が舞い止まぬ中。

男の影が3つ。

1つは下方大地。

2つはメメント・モリ。

そして3つ。

奈良央駆。

「俺はヒーローであれなかった、」

メメント・モリの拳を、血だらけの掌で受け止める央駆。

大地は助かった。

「思い返せば誰かに付き纏ってばっかりで、自立ができなくて、そのくせ司令官ぶって…」

震えたその手は確かに硬かった。

「何かに心を動かされるだけ動かされ、俺自身何もせず人に当たり、ただの視聴者じゃないか、」

嘲る。

「へっ、どうした。最期の言葉が長いな」

「だから変わる!!」

「これで…これで変わる!!いや、でももしかしたら変われないかもしれないと思っている自分が居る。」

「だったらその時に限り心を動かされてやる!」

Tb(ティービー)チューニングキー!』

メメント・モリの拳は輝いていた。

央駆がテノールから貰ったチューニングキーだ。

「これも結局貰い物だ、俺はそういう奴だった。」

央駆は、掴んだメメントの拳をもはや原型を留めていないダイナミックタムへと運ぶ。

Tbチューニングキーを、ダイナミックタムのアタッチメントパーツと連結させる。

『テンションボルト!』

チューニングキーを右に回す。

調律(チューニング)!』

目の色が徐々に明るくなっていく。


『メメント・モリ!!』


「へっ、なんだ目の色が変わっただけじゃねえか」

調律済のメメント・モリは、宇宙の声で喋る。



「この一撃で、お前を倒す!」

【所持スティック】

〈クラック〉

水素、炭素、酸素、ガリウム、フッ素、ネオン、リン、アルゴン、カルシウム、スカンジウム、セレン、イットリウム、ニオブ、モリブデン、ロジウム、アンチモン、タンタル、タングステン、オスミウム、水銀、鉛、コペルニシウム、ホルミウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、ジスプロシウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、アクチニウム、トリウム、ウラン、ネプツニウム、プルトニウム、アメリシウム、キュリウム、バークリウム、カリホルニウム、アインスタイニウム、フェルミウム、メンデレビウム、ノーベリウム、ローレンシウム

〈水上 宇宙〉

ダイナミックタム(調律済)、Tbチューニングキー、フレロビウム


〈アイソトープ〉

ヨウ素 (ヨウ)


NEXT▶22.神秘的ラボアジェ

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