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怠惰魔王と兄姉勇者  作者: saltcandy
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「ふふふっ!絶景、絶景!私の力でこんな光景が見られるとはな」


周りは私の氷で実に幻想的になっている。此処はイギリスだと誰が思うことだか。

私は、近くにある店に入り美味しそうなお菓子を探す。巷で噂の菓子屋、中々に美味しそうな物ばかりである。


「あーん」


私は、取り敢えず近くのチョコを口に入れる。ほろ苦く、しっとりとした感触。無銭飲食?私は、強欲だ欲しければ力で奪えばよかろう。

いつもそうだ、強欲な者は力があるから平然としているのだ。つまり、力が強い者はその強さに比例して欲深くて良いのだ。


「フン」


私は、氷という概念を全てその剣に叩きつけた様な水色の大剣を見やる。持ち手の部分には全てを支配するドラゴンにこれでもかと大量の宝石が散りばめれる。


「さて、他の皆も終わったかな?」






『ひっ、人食い!』

「黙れ」


俺は、今食べている者を口に離し怯えているもの心臓を槍で突き刺す。

槍は、全体的には植物を思い浮かべるかの様に緑色で石付き、端の部分には三頭猟戌(ケルベロス)の絵柄がある翠色の水晶。


「殺した者は食べなければな」


人は、生物は死ぬ。それは、覆る事がない不可逆的な事象だ。

生物は死ぬと大地に飲まれ消えていく。若しくは、他の生物に喰われていく。

俺は、ただそれをしているだけだ。殺した者の後始末位しなければならない。


別に俺は殺人が好きな訳では無いで。ただ、頼まれたから殺すだけだ。その殺した者を喰らうのは普通であろう。


「これでは、暴食ではなく悪食だな」


自傷気味に俺は笑う。そして、何かに食い荒らされた様な建物や道、生物の間を通り他の魔王と合流する。






「美しいわ。貴方達、とても美しいわよ」

『おっ、お前等何故・・・』

『はい! プヒィルズィヒ様』


私の魅力に気付いた者達から次々と人を殺していく。私は、か弱い乙女だものみんな守ってくれる。えっ、乙女っていう年じゃない?気のせいよ。


「ふふ、邪魔よ」


私は、身の丈程の紫色の大槌を振るう。それによって全ての物が砕け散る。柄には巨大な蠍が巻きついていた。宝石の破片が槌に散りばめれている。


みんな幸せそうに行進する。私は誑かしてなんていない。みんなが勝手に魅了されただけだから。

私は思うに色欲って生存本能なんだと思う。子孫を増やす為に人は欲情する。

私はただ欲情されやすい体型なだけ。でも、それは別に私のしている事を私が否定してる訳じゃない。だって私は悪い奴だもの。


私は、皆に認められればそれでいい。そんな安直な思考が占められている。


「あともう少しで終わりかしら?」


私は、そのまま他の魔王のもとへと向かう。







「ふぅ、暇ね」


私は辺りを見回す。そこには、大量の溺死体が置かれている。私は、それをただ無情に俗にローングソードと言われる剣を突き刺す。

その剣は、海のようにただ深い青でうねりうねった宝石で出来た蛇が巻かれている。その宝石の目には赤い宝石が付いている。


『こっ、この化け物めがぁ』

「あら、私の力に嫉妬してるの?」

『ぐへっ』


化け物、私の力に嫉妬してるから言えるもの。人間は、あんまり大きく力に差があり過ぎると嫉妬のあまり恐怖を感じ、数の暴力で迫害する。

気色悪い、異端、迫害、恐怖それら全ては自身にない者を妬んで妬み過ぎた結果起こる。


私は、その妬みを素晴らしいと思える。妬まれる対象しかり、妬む者しかり。だから、私は他者を羨む。他の魔王達を私は妬んでいる。

全員が何か芯がある。しかし、私は他者を妬むだけで何も芯がない。

この人間達だってそうだ。魔王達の様な芯がない。だから、他者を妬む。


「あぁ、彼等が羨ましいわ」


私は、水の上を歩きながら他の魔王所へと行く。






「さてさて、ゼウスさん。

イギリスの世界の全てを欲する事を当たり前と考えた世界史上最大の若き強盗犯。

アフリカの村に大飢饉が起こり自身以外が全員亡くなり、生きる為に人さえ喰らった人食者の青年。

ドイツの愛する人を生き返らせるために多くの男を騙し殺した哀しき殺人鬼。

イタリアの貧乏な家に生まれ富豪や心が強い者に嫉妬し多くの富豪達を残虐に殺しその人の誇れる者を尽く奪ってきた女。

どうですかね?」

「何故貴女はそんな哀しき者達を見つけて来たのだ?」

「見つけたのでありません。

この管理者スキルが選んだのですよ。

さて、ゼウスさん出番ですよ」







遥か上空、古き良き建造物が跋扈するローマの夜空。そこに、僕と六人の魔王、サマエルさん計八人がいた。

眼下では、大量の軍人達があちらこちら見回っている。


「そういや、サマエルさん。

他の国は良かったのか?ほっておいて」

「えぇ、他の魔王達に行かせてますから」

「成程、後は無様に負ければいいだけか。

取り敢えず、僕が一番手とするか。【攻撃魔法・十頭夜龍】」


僕の手からモヤモヤした夜よりも暗い黒色の塊が現れる。それは、一度球状になると夜空の星の光を吸収していく。

完全な暗闇。その中になお黒いと認識できる球状の物。それは、龍の形へと変わる。


この龍に喰われれば最期、黒色の塵へと変わる。その塵は、やがて僕の力で新たな星にへと変わる。


「ふむ、それでは儂等も行くかの」


それぞれが各所へと散らばる。僕もそれに付いていく。






『おぉ、神よ我らを救って下され』


私を呼ぶ声がする。それは一つではない、人間では数えきれない程の声である。

それに私は遂に応える時がきた。


「よかろう

我が子らよ聞こえるか?私の、神の声を」


世界中の人間の頭に直接唱える。神の声は、全ての生物が本能的に自覚する。


そして、私はイタリアの上空に現れる。私の姿は、金色のオーラに包まれた少年に見えるだろう。私は、右手に握られた雷霆を空に掲げ、龍の形をした闇に振るう。

それだけで、稲妻が轟き龍は死んでいく。これを作った魔王の魔法の力量は既に私と同等レベルだろう。


「こい、魔王達よ!」


すると、私に目掛けて様々な龍が襲う。百はくだらないだろう。それを私は、雷霆を横に振るうだけで消していく。


左右から大槌と槍が迫るのを感じる。それを只の蹴りで吹き飛ばす。その隙を突き老人の魔王と女の魔王が私の首と足を狙いにくる。


「【防御魔法・電磁防御膜】【反転】【攻撃魔法・雷鞭】」


「っ!」

「キャッ!」


私は、防御魔法でそれを止めそこからそのバリアを使い攻撃を行う。

二人もまたどこかへと吹き飛ばされる。


残るは三人。すると、私に向かって氷の魔法と銃弾が飛ぶ。

黒髪の仮面を被った魔王が二人の魔王に魔力を与えていた。


雷霆を振るうだけで三人はどこかへ消えていったが。神に成った日数を考えれば彼等は恐ろしい者だ。殆どの者が管理者スキルを使えている。

普通は、数十年、下手したら百年以上かかるのに。


「残りは、お前だけか」

「そうですね、私は撤退させて貰います」


サマエルは、そう言うと魔王を連れて転移の魔法で逃げていった。

「我が子達よ、聞くが良い!

私の他の神は、全員邪神サマエルにより封印された!

その力の一部を自身の配下たる魔王、その中でも最も力が強い七大魔王に与え、この世界を欲さんとす。

その為に、私は多くの勇者を人の中から見つけ力を開花させた。他にも、お主らに大きな力を与えた!


この世界の為にどうか力を合わせ魔王を討ち取って欲しい! 」


私は、人類に我々の尻拭いをさせ更に嘘を付いた。これは、許されざる事だ。しかし、人に真実を無闇矢鱈に教えてはいけない。


「どうか頼んだぞ!」


私は、そう言いサマエル達の下へと転移した。






「はい、それでは終わった事ですし飲み会としますか。

はい、乾杯!」

「「「「「「「「乾杯」」」」」」」」


現在、円卓には椅子がなく代わりに上に料理が所狭しと置かれていた。料理は全てゼウスさんが作ってくれたらしい。

あれ?ゼウスさん、神話では浮気とか色々やってたのに何故こんなにも料理が上手いのだろうか?


まぁ、僕はそれを美味しく食べているのだが。因みに、僕とズィルバア、オールはビールではなくコーラであるが。


「皆さん、それにゼウスさんお疲れ様です。

他の魔王達も多くの国を攻撃して現在世界はゼウスさんが創ったコロニーと言われる隔離された安全圏を確保して隔離されて暮らしています。

さて、皆さん魔王としても神としてもこれから頑張っていきましょう!」

「サマエル、飲み過ぎだ」


サマエルさんとゼウスさんは、ビールを樽で飲みながら話している。ちょっと引くレベルである。









荒廃した世界。魔物が闊歩する事になった世界では、殆どの場所が隔離されていた。

コロニーと言う現在一番信仰されている神が創った魔法の壁で囲まれた空間を僕は歩く。


此処は、五年前は東京と言われていた。今では、日本第一コロニーと言われる。

日本には、一から十のコロニーがある。コロニーとコロニーの間は行き来出来る。空間魔法の転移と言うらしいがそれを出来る者は少ない。


「止まれ!」


そんな事を考えていると俺の目の前に巨大なビルがあった。世界統一意思組織日本本部である。

世界統一意思組織、多くはゼウス機関と言われるがそこは、ゼウス様が巫女に神託で指示して作り上げた機関である。

主に、軍隊を解体し、軍人達は魔物と戦い、素質がある人間を引き抜き魔物と戦わせる、また最近解禁されるダンジョンを攻略させ魔王を討ち滅ぼさせる道具である。


「名前、およびカードをお見せ下さい」

「僕は、廣樹 有文。

勤勉の勇者廣樹 有文だ」


そう言い、僕は自身の情報が入ったカードを渡す。警備員は、それをゆっくりと見て機械に通す。


「確認しました。

どうぞ、お入り下さい」


僕は、そくさくと中に入りエレベーターに乗る。エレベーターには大量の書類を持った職員が何人かいるくらいだ。


ウィーン


僕以外全員が降り、最上階に着く。僕は、そこで降り長い廊下の奥にある扉に向かいそこを開ける。


「やっと来たか。

これで、勇者及び主要人物は揃ったな」


大量の椅子が扇状に並び、一番奥の台には一人の白髪交じりの男が立つ。

ゼウス機関、機関長 エドワード・オルタがいた。


「兄さん遅いよ」

「すまん、恵夢。

ゴブリン共がしつこくてな」


僕は、妹にして救恤の勇者恵夢の横の席に僕は座る。


「それでは、これより一月後解放されるダンジョンについての会議を話そう!

これより、全勇者、兵士を使い怠惰の魔王ヴァイスを手始めに滅ぼす!

これは、確定事項である!」


怠惰の魔王ヴァイス。僕達が住んでいた県の山にダンジョンを創った七大魔王の一人。その力は、悪夢の四日時色々な属性の龍を出現させた事から恐ろしい力の持ち主と考えられる。

七大魔王の中で唯一顔が割れておらず、積極的に人類に攻撃しない為魔物も不明。


「そんな不明尽くしの奴になんで挑むのだか」

「さぁ?」

「その疑問もよぉおく分かるぞ!」


聞こえないだろうと思いボソリと言うが機関長にはそれが聞こえていたようだ。

どんだけ地獄耳なんだ。


「不明である。しかし、それに有り余る程の有利な点がある!

一つ、悪夢の四日では接近戦を行わなかった事から接近戦が苦手であると分かる!よって、近づきさえすれば勝ち目がある可能性!

一つ、外から見たダンジョン内は城以外に変わった物がなく、魔物も確認されない為魔王のもとへ行きやすいと思われる!

一つ、七大魔王を討つとなれば人類に希望が生まれる!」


僕は、それを聞き眉をひそめる。それが全て演技ならば此奴はどうするつもりなのだ?魔王は、普段殺す魔物と違うのだぞ?


しかし、それを言ったところで止まらない。どうせ異端者として扱われるだけだ。

それに僕にはやらねばならない事がある。弟を殺した魔王達を殺す事だ。

弟は、悪夢の四日の時に行方不明となっている。以前から、外に何日も一人で出かける事はあったがあれから五年、もう死んでいるだろう。


それは、妹の恵夢も同じだ。


「待ってろよ夢星」


周りは興奮し、熱気に包まれる。







「人間って本当に馬鹿ね〜。

はやく、ヴァイス様にお伝えしなきゃ!」


そのせいだろう、一人会議室から足早に出ていくのを誰も気が付かなかったのは。

兄姉勇者やっと出てきましたね。

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