9.「情けない悲鳴デスねぇ」
地底湖に浮かぶのはスペースシャトル、正確にはその宇宙船本体部分である軌道船に、そっくりな構造物であった。先端と下部の耐熱パネルと思しき黒い部分といい、ずんぐりした船体と小さめの翼と垂直尾翼といい、日出郎の記憶にある『スペースシャトル』そのものだ。
しかしよくよく見ると、微妙に異なる部分もあった。最も大きな差異は、各所に設けられた微妙なくびれである。日出郎の知る軌道船は、翼を除けば旧型新幹線の先頭車両のような形状をしていたはずだが、湖上の構造物は直線部分が少なく若干ながら生物的なフォルムをしている。
尾翼も直線であるべき部分が波打ち、くねり、鳥の翼や魚の鰭を思わせた。またハチェトリーの指摘した色違いの部分も、軌道船であれば窓が存在するであろう箇所なのだが、見た目にはただ灰色に塗装されているようにしか見えない。
「勇者どの、勇者どのはこいつがなにか知っているのか!?」
マレッタガレッタが期待に満ちた声で問いかけてきた。
「見た感じ、俺のいた世界の乗り物にしか見えないんですけど……いやでもなあ、さすがに宇宙船はないだろう」
「うちうせん……それって、前に勇者様がおっしゃられていた、星の世界を渡る船ですか!?」
ハチェトリーが、きらきらした瞳で小女の隣に並ぶ。そう言えばまだ二人だけで旅をしていた頃そんな話もしたなあ、と思い出した。
「星の世界ッてお前、天蓋にブチ当たッて終わりだろ」
「なにを言っていますの、星海に潜ったりしたら、魂まで持っていかれますわよ」
「「え?」」
ジャベリナとチェイネがそれぞれ異なる宇宙観を披露し、互いに『なに言ってんだコイツ?』という顔で見つめ合った。なお天人種の常識では古典的な天動説が広く信じられ、星の世界はすなわち神の世界、ということになっているそうだ。
岩人種は精度の高い望遠鏡を開発しており、既に地動説が常識になりつつある。しかしわざわざその知識を他人種に敷衍させよう、という気はないらしい。知識を独占すれば、外交や貿易で優位に立てるからだろう。
ゲームの『ファイナルラストファンタジア』ではフィールドマップの端と端がループしており、たとえば北限を突き進むと南端に出てしまうなど、球とは言えない形状となっている。
しかし実際のファラスでは飛空船などによる観測によって、世界は球形であることが証明されていた。それ自体はこの世界の一般的な知識であり、たとえば虚空に浮かぶ巨人だか象だか亀だかが支える円盤の上、という世界ではないわけだ。
とは言え浮島の限界高度以上の上空に関しては未知の領域であり、大気圏の外がどうなっているかは、召術などでの観測の域を過ぎない。
「俺のいた世界じゃ、こっちの世界の単位で20旅里ほど上空まで昇ったあたりからは、宇宙空間でね。そこから先に行くための船が、こいつにそっくりなんだよ」
湖面のスペースシャトルもどきを、改めて見上げる。高さは17、8メートルほどで全長は40メートル弱。五階建てで横長なビル、たとえば学校の校舎などを思わせるサイズである。
「ただ、このタイプの船は他の部分で燃料を燃やして上昇して、衛星軌道上に荷物を運ぶためのもので、そんな遠くまでは行かないから、『星の世界を渡る船』とはちょっと違うかな」
なるほどなあ、と関心する一同であるが、百パーセント理解している者は一人もいなかった。最も把握できたマレッタガレッタでさえ、衛星軌道という概念まではあやふやなものだ。ジャベリナあたりは、言うまでもないだろう。
語っている日出郎にだって、そう深い知識があるわけでもない。最初に液体燃料ロケットを考えた人はナチスでミサイル作ったんだっけ? とツィオルコフスキーとフォン・ブラウンの区別もついていないことを考えていたりする。
「するとしかし勇者どの、これは飛空船じゃない、ってことかい?」
「いやあ、逆に可能性濃厚でしょ。ほら、いかにも飛びそうなデザインですし」
「「「「え?」」」」
γ以外の全員に聞き返された。ハチェトリーやチェイネはそこまで露骨でもないが、他二人はあからさまに『なに言ってんだコイツ?』という顔をしている。
タイプは違えど全員が美形であるため、日出郎のような社会不適応気味の人間にはなかなかキツかった。しかし彼とて今は勇者、いつまでも非リアではいられない。
「いやだって、翼があって後ろにはノズルがあって、底が平べったくて……」
そこで、先だってのチェイネの言葉を思い出し、認識の齟齬に気づいた。
ファラスで空を飛ぶ乗り物といえば、浮力源として船倉に浮島の石を積載した船舶のことだ。飛行機というのは概念ですら存在しない世界で、スペースシャトルを見てもそれが空を飛びそう、などと思うはずもない。
となればもう、実際に飛ぶところを見てもらうしかないだろう。本当に飛んだら、の話であるが。
「まあ、なんだ。とにかく調べてみようよ。マリーさんたちは今まで、あいつをどうやって調べてたんですか」
「ん? ああ、湖を渡るために材料を持ち込んで、小舟を組み立てたんだが……やいγ、αとβが来てるんじゃないのか?」
「はい、です。お姉さまがたが先行し、二台目を組み立てる手はずでした、です」
会話から察するに、γと同じような鉱奴が存在するようだ。確かに、γがいるならαとβがいてもおかしくはない。そもそも彼女の名前である『,βτμγ'』は、数字で言えば『2343』である。さすがに、二千三百体以上も彼女のような存在がいるとは思えないが。
きょろきょろと周囲を見回すγ。そこはロボらしく通信でもしないのか、と思うのだがそうした機能は備えていないらしい。
「アレじゃねェのか、あァン?」
ジャベリナが顎で示したのは船体後部、三角形に配されたエンジンノズルの陰に、細長い物が浮かんでいる。巨大な筒の傍らにあるため大きさが掴みにくいが、舟の舳先と思われた。
暗くてよくわからないので、ハチェトリーに頼んで〈蛍火〉をそちらの方へ飛ばしてもらう。金色の光が薄闇を渡って照らし出したのは、まさしく小舟とその乗員であった。
だが、様子がおかしい。凪いだ湖面に浮かんだまま小舟は微動だにせず、乗っている一つの人影もまた、自分を照らす光になんの反応も見せなかった。
「ありゃβの方だな。なんだあいつ、寝てやがんのか?」
「いいえマスター、です。βお姉さまは睡眠不要のタイプ、です」
静かな湖畔に、不吉な気配が漂い始める。ハチェトリーの操る光球が更に接近すると、γと同じような格好をした長い髪の女性が、うつむいて座っているのがわかった。
髪の色は青く、メタリックな輝きを放っている。距離があるせいか、目を凝らしても象明は浮かばない。
「どう考えても異常事態だな。チェイネ、あの舟の向こう側を狙って風の召術を使えないか?」
「ちょっと距離がありますわね……いいえ、集中すればあのくらい」
「よし、じゃあ俺が合わせるから、自分のタイミングでぶっ放して。間違っても舟に当てちゃ駄目だよ」
ハチェトリーには光球の操作に集中してもらい、ジャベリナには周囲を警戒してもらう。そうこうするうちにチェイネは術の準備を整えて、いきます、と小さく呟いてから両の腕を振り上げた。大きな胸が、ぶるんと揺れる。
そちらに視線が釘付けになりそうなのをどうにか堪え、日出郎もまた〈砂漠〉の力を突き出した手の先に喚び込む。
「「――〈大嵐〉っ!」」
水面を叩いて膨れ弾けた空気の塊が、瞬時に周囲を覆った別な風に掻き混ぜられ、渦を巻いた。水を吸い上げた竜巻が激しく小舟を揺らし、反対側へ押し出す。
βと呼ばれた青髪の女性が、姿勢を崩して船内に倒れ込んだ。少し勢いが強すぎたかな、と内心で焦るが、小舟は転覆することなく主が待ちかまえる湖畔へ進む。
(勇者様、召術を使いこなしてるなあ。あんな簡単そうにできることじゃないんだけど)
自身も数十メートル先に浮かべた実体のない球体を意思の力だけで制御する、という難しいことを易々とこなしつつ、少年は内心で感嘆した。他人の放った攻撃召術に間髪入れず自分の術を重ね、なおかつ増幅・制御してみせるなど、並みの技量でできることではない。
ともあれ風に煽られ波に押され、小舟が近づいてきた。姿の見えなくなったβを案じながらじりじりと待ちかまえるが、そのうち我慢できなくなったチェイネが得物の射程に入るやいなや、鉤爪鎖を投げて船縁を捕らえる。
日出郎とハチェトリーも鎖に手をかけて、舟を引き寄せた。意外なほど重かったが、特に荷物が乗っているわけではなく、船底に伏した青髪の女性がいるのみだ。
「ああ……」
嫌な予感はしていたが、的中してほしくなかった。日出郎の視界に浮かぶウィンドウの文字は、
【,βτμβ'Lv.18(死体)】
というものだった。同じ物を見たのだろう、ほとんどの者が沈痛な表情を浮かべる。しかしジャベリナは警戒を強めてあたりを油断なくうかがい、γは顔色を変えぬまま船縁に手をかけると、腕を伸ばしてβの体をひっくり返した。
仰向けになって力なく広がる肢体に、目立った外傷は見あたらない。目と口を虚ろに開いた表情は作り物めいて、生々しさを感じなかった。死体と言うより、人形にしか見えない。
(この人も、元は人間だったんだよな)
見た感じγより年上で、日出郎とチェイネの中間くらいの外見だ。こと造形に関しては、γの方が出来が良い。それが元々なのか用いられた技術の差によるものなのかは、わからないが。
「くそっ、なんだってこんな」
γをよじ登るようにして、マレッタガレッタが船中に踊り込む。遺体に取りつくと眼球、口腔と確認した後、帯鉄鎧の胸元を手早く外していった。
そういう場合でないとわかってはいるが、気まずくなって目を逸らす日出郎に対し、ジャベリナは周囲から半裸の遺体に視線を移動させる。
「魔物にやられたにしちゃ、死体が綺麗過ぎるな。オイ、お前の鉱奴は殺られた後でも傷が治るのか?」
「そんなわけあるか。だけど、外傷らしい外傷はない……人間ならともかく、あたいの鉱奴に突然死なんてありえん」
そうこうするうち小舟はγの手によって、地上へと引っ張り上げられた。か細く見えて、さすがに【肉体】26という数字は伊達ではない。日出郎たちより高く、宿に残してきた騎竜のインテに匹敵する値だ。
そう言えばあの傲慢な麟竜とはまだ経験値が共有されているのだろうか、戻ったらまた様変わりしていたりして……などと明後日の方を見ながら考えていたら、いつの間にか隣にその主が立っていた。
ハチェトリーは真っ赤な顔を伏せており、ちらと背後をうかがうと、βが衣服を完全に剥ぎ取られている。
「勇者様は、どう思いますか? あの方が、どうして亡くなったのか」
誤魔化す風に、尋ねてきた。どうして、とはまた曖昧な聞き方だなと思う。死因についてならば、日出郎に検討がつくはずがない。彼は医者でも鉱奴の専門家でもないのだ。
殺された理由についてと言うなら、更にわからない。スペースシャトルもどきを調査するための小舟を組み立てていて、一体なぜ死ななければならないのか。
あの乗り物になんらかの呪いめいた力があるとも思えないのだが、そこは異世界のこと、いたずらに断言もできない。だが、それよりもっと可能性があるのは、悪意を持った何者かの存在だ。
「外傷を残さない召術、なんて見当つくかい?」
「そこなんですよ。術式で仕様をいじったとしても、攻撃召術というのは結局、痛手を与えることで生命力を奪うものです」
つまりは、HPの減少だ。途中までは遺体の検分に参加していたハチェトリーだが、少なくとも彼が見た範囲では、そうした痕跡は見い出せなかった。
「理屈だけなら、“変成”を用いた毒殺か、“惑乱”を用いた精神の崩壊。でも、意志のある相手にそれが可能なほど莫大な召力があるなら、こんな回りくどいことはしないでしょうね」
それこそ、魔王でもないと出来ない芸当だという。逆に魔王なら可能ということだが、さすがにそんな可能性まで考慮してはいられない。
突然死でもなく、召術を用いた殺害という可能性もかなり低い。となるといよいよ、呪いなどのオカルトめいた話になってくるのか。この場所に未確認生物もどきが出没することも、なにか関係があるのか。
色々考え煮詰まりそうになったため、頭を振って改めて周囲を見回した。小舟の中のβの遺体を取り囲み、女性陣があれこれ言い合っている。ただ、マレッタガレッタはともかく他の面々は役に立つのか、少々疑問ではあった。
「いっそ、そんな特殊能力を持った魔物の仕業なら、すっきり……は、しないか」
苦い思いが、胸に広がる。安手の推理小説じゃあるまいに、原因の追求にばかりにかまけるのは、命の軽視が過ぎるだろう。
「すっきりするのは大事デスよぉ? ええ。人の営みに必要なのは『納得』であって、『理解』などという無味乾燥なものではないのデス」
いつかのγの台詞を引っ繰り返したような言葉が、薄闇を渡って聞こえた。思わずそちらに目をやると、湖面に浮かぶ生白い顔。
「ひっ「ぎょぇえっ!?」
ハチェトリーの上げかけた短い悲鳴を、みっともない日出郎の叫びがかき消した。確かにホラーめいたシチュエーションではあるが、そこまで驚くほどのものでもない。ではなにが、彼は怯えさせたのか。
にまにまと嫌な笑みをはりつけたまま浮かび上がったその顔が、背後の死体と同じであったからだ。βと同じ顔の女性が、ずぶ濡れのまま湖中から立ち上がる。
長い緑色の髪と、あちこち省略されて扇状的なボンデージファッションのようになっている帯鉄鎧で、白い体を縁取っていた。
露出していることで気づけたが、彼女の肘と膝は鉱物質で形もごつく、人形の球体関節のようだ。
「情けない悲鳴デスねぇ。勇者ともあろうものが、恥ずかしくないのデスか?」
「おまえ、α! この非常時に、なに遊んでやがるっ!」
マレッタガレッタが怒鳴る。同じ顔ということで推察はできていたが、やはりβの姉妹機であるらしい。ことによると、鉱奴になる前から姉妹であったのかも知れなかった。
象明は、読みとれない。γと同様に迷彩能力を使っているのだろう。
「遊ぶとは心外デスなぁ、こう見えて小生、仕事熱心な方デスぞ?」
そう言ってけたけたと笑う、水滴を垂らし歩み寄って来る女性に、日出郎は警戒を隠せなかった。咄嗟に一歩、進み出て剛毅の大盾をかざす。
まさに示し合わせたようなタイミングで、αの右腕が振るわれ――肘から先が大量の真っ赤な肉塊と化して、怒涛のごとく叩きつけられた。
「ぐはっ!?」
土砂でも受け止めたかのような、重い重い衝撃。体ごと持っていかれそうになりながら、隣のハチェトリーを巻き込まないよう、必死に踏ん張る。仲間を庇うとダメージをカットする、という大盾の能力が発動したのか、途中で少し重量が減じたように思えた。
そんな日出郎を飛び越すように、身を翻したジャベリナが槍を生成しつつ躍り込む。
「つくづく変わッてんな、お前の鉱奴はヨッ!」
「馬鹿野郎、あんな機能つけてないっ」
背後の小舟からの声を聞き流し、穂先を突き入れた。狙いは額、躊躇なく最初から殺す気の一撃。仰け反ってそれをかわしたαが、その場に倒れ伏す。
と、地についた手足の全てが右腕同様、関節より先が肉塊と化して溢れた。それぞれが高速で蠢き、滑るように湖面を這って距離を取る。
「気持ち悪っ!」
怖気立つ変形に、思わず声が出る日出郎。女性に対して酷い言い草かも知れないが、偽りない感情の吐露であった。実際それは他の仲間にも共通のようで、忌まわしげな顔で各々の武器を構えている。
緊迫した空気が流れる中、場違いな空気を出している者が二人。あるいは、二体。
一方は言うまでもない、にかにか嫌らしい笑みをへばりつかせたαだ。両腕を元どおりに戻しつつ、膝から下は赤い肉塊のまま、そういう奇妙な生物であるかのように湖面に浮かぶ。
いま一方は彼女と製造者を同じくする鉱奴、γ。主を守るため前に進み出てはいるが、相変わらず表情らしい表情もないまま、武器も構えず小首をかしげる。
「あなたは、お姉さまではありません、です。いったい何者? です」
「何者? ははは、小生がナニモノかと問うなど、愚かデスなあ。あなたがたの御主人様デスよ、お忘れデスか。あなたがたを支配し虐げ搾取するものデスよ!」
芝居がかった仕草で、αが胸を張った。なにを言っているんだ、と訝しげな顔をする面々の中で、ある事実に気づいたマレッタガレッタが、目を見張る。
「おまえ……まさか……まさか……っ!」
「マリーさん?」
「そんなはずはない! 魔王がいない今、お前がいられるはずはないんだよっ!」
暗い地底湖をびりびりと、小女の声が震わせた。恐れおののく、その声が。ゆっくりと脳に染み通り、意味を理解した時――日出郎もまた、震えた。
「ははは、はは。正体を隠して、一人ひとりの絶望を味わうのも良いかと、思ったデスがね。そこな肥満男のあまりの醜さに、小生も我を忘れたデスよ。ははは」
喉を立てて、げたげた笑う。そのαの体が手足と言わず胴と言わず、滅茶苦茶に痙攣した。まるで乱雑に糸を振られた操り人形だ。
彼女の見開かれた目から、だくだくと涙が溢れ出る。そして涎を垂れ流し、裂けよとばかりに開かれた口から、真紅の肉塊が吐出された。
人の体に収まっていられる量ではない。内臓の全てを吐き出しても足りないそれが、実体を持たないエネルギーの塊であると、どうしてわかろうか。だが日出郎の知識は、象明を見るまでもなく宙に浮かんだ肉塊の正体を知っていた。
そうだ。マレッタガレッタの言うように、魔王のいない今、ここにいるはずのない者。かつてここよりもっと地表近く、ゴルンゴドの集落を陰で支配していた存在。今の力量では、とてもかなわない魔物。
「エナジーサッカー……ヒルダナ」
「ははははは、ははは、正解デス!」
ゲームであれば中盤を過ぎてから戦うことになる中ボス、名前を持つ魔物である。
【天蓋】
魔人種の宇宙観では、世界はすっぽりと球に覆われていて、外と内は物理的に隔てられている。球には無数の穴が空いており、これが夜の星である。太陽と月は球内面に沿って移動する装置のようなものだと考えられる。
技術の発展とともに『それってなんかおかしくね?』という考えも出て来てはいるが、夜目が効き闇を恐れない魔人種は、古来よりあまり天文に興味を持たなかったため、なおざりに放置されたまま今に至っている。
【星海】
獣人種の宇宙観では、空の遥か上空は極低温の液体で満たされており、星々や月や太陽は、その海に浮かぶ島のような存在だ。雨や雪などは星海からこぼれたものであり、地上の海と星海とは繋がっている。
死して天に昇った魂は星海に溶けて消え、長い時を経て再び地上に落ちてくるとされる。獣人種にとって星の世界とは生身で行けない遥かな故郷であり、いつか還る場所でもあるのだ。
【世界は球形】
二次元的なコンピューターRPGのマップで単純にマップの端と端がループしているだけでは、球形を表現できない(それではドーナツ状になる)。
実際のファラスは地球と同様の球形の惑星であり、正確な地図を描くと、ゲームのフィールドマップとはズレが出る。このあたりゲームが3Dでないため起こった不具合である。
【旅里】
ファラスの距離を表す単位の一つ。概ね5km程度。なおゲームではフィールド画面の10マスに相当する。
【,βτμβ'】
客室女中Lv.18。元は緑柱の民で、双子の姉とともに街娼で稼がされていた奴隷。嫉妬深い客につきまとわれた末に刃傷沙汰となり、助けに入った姉ともども瀕死の重傷を負う。
治療費が自身の値段を越えそうであったため主人に捨てられ、マレッタガレッタに買い取られた。蓮っ葉な性格のトラブルメイカーだが、陽気で豪快な性格から周囲に好かれていた。
【ボンデージファッション】
ボン『テ』ージではない。一口にボンデージファッションと言っても幅広いが、ここではベルトを多用したハイレグ水着のようなシルエット、と思っていただければ幸いである。
【,βτμα'】
侍女Lv.17。元は緑柱の民の奴隷で、双子の妹とともに街娼を営まされていた。暴漢に襲われた妹を助けようとして瀕死の重傷を負い、主に叩き売られる。
おっとりした性格で刺繍が趣味だが、下手だった。一人称は『わたし』であり、もちろんデスデス言ったりもしない。




