表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
周回遅れの召喚勇者 ~キモくてニューゲーム~  作者: 行広主水
第2章「そもそもなんで俺なんだ」
25/27

8.「突ッ込み追いつかねェゾ」

 炸裂音は、しなかった。短銃から発射された弾体は、神業のごとき速さで振るわれたジャベリナの二叉槍に切り払われ、地に落ちる。同時に伸びたチェイネの鎖が、眼鏡の少女の上体に巻きついて、持ち上げていた腕ごと拘束した。


「なにをするんですかっ!」


 抱きつくようにして主を庇ったハチェトリーが、鋭い声で問う。鎖に絡みつかれて上体を固められたまま、少女は鎖の絡まった首を、小さくかしげた。


「おや。です」

「おや。じゃねェヨッ!」


 改めて槍先を彼女に向け、ジャベリナが怒鳴る。激昂気味な相手に対し眼鏡の少女は冷静、というよりは無感動な態度のままだ。


「なぜ勇者さまを攻撃したのかしら? 返答によってはこのまま、息の根を止めてさしあげてよ?」


 びん、と張られた鎖に力が篭もると、帯鉄鎧バンデッドメイルへの食い込みが増す。首に回った部分にも負荷はかかっているはずだが、表情に変化は見られなかった。

 馬鹿にして、と美女が頭に血を昇らせかけたところで、仲裁の声が上がる。


「そのへんにしてくんな、姫さん。今のは攻撃じゃあないし、そいつの息の根は首を絞めても止まりゃしないよ」


 いつの間に取り出したのか、柄が1メートルほどもある金槌を手にしたマレッタガレッタが、それで軽く眼鏡の少女の側頭を叩いた。耳を覆うヘッドフォンのような形状の器具に当たって、硬質な音を立てる。


「おいγ(ガンマ)、迷彩を解きな。象明グリフを見せて自己紹介だ」

「イエス、マスター。です」


 γ、と呼ばれた少女は召術を放つように、一瞬だけその半眼を見開いた。なぜか空中の〈蛍火ピゴラ・フレイ〉まで同じく目を丸くした後、すいっと距離をとる。青い光が遠のき、彼女の色彩がようやくはっきりとした。

 アップスタイルにまとめ、前髪を真っ直ぐ切り揃えた髪は、赤茶色。少しクリーム色がかった、陶磁器のようになめらかな肌と、黒金剛石ブラックダイヤモンドめいた煌めく瞳。


,βτμγ'ヴィタ・タウ・ミュー・ガンマ

 【生体鉱奴ゴーレマイス/女型・2齢/秘書セクレタリーLv.15】


 象明は、色々おかしい。名前も種族も奇異であったし、性別と年齢も変だ。なのに職業は秘書。ファラスでは秘書なんて職業は、王侯貴族や大富豪といった権力者の、連絡文書など機密を扱う側近書記を呼ぶものである。


「突ッ込み追いつかねェゾ、あァン?」


 ジャベリナなど、早々に切れかけていた。しかしγは意にも介さず、先と逆の方向に首をかしげて問いかける。


「ご覧のとおり、です。ワタシはマスター・マレッタガレッタに作成された実験用の鉱奴(ゴーレム)、です」


 ファラスにおいて『ゴーレム』と言えば、人造の魔物を表す言葉だ。土や石や木や鉄、変わったものでは死体や宝石などを材料に、創造ズィムル術式テレティを使用して作成する。

 核に魔晶石を用いて動作を維持させるため、魔物のような存在であるとともに、泉宝スフェラであるとも言えた。あまり知能の高い物は作成できず、護衛や門番として『近づく者を排除せよ』といった命令だけを守らせるのが、一般的な使い方である。


 しかし『一般的』といっても、通常の泉宝に比べれば遙かに高度な技術と上等な魔晶石を必要とするため、そうそう目にできるものではない。そんな高級品でも精々、自立稼働する人形、といった機能が関の山のはずである。

 眼鏡の少女のように話したり武器を使ったり、ましてや召術を使ったりといった行為が行える存在ではない。


伝来スリロスにだってそんなゴーレムが存在するだなんて、聞いたことがありません」


 驚き、おののきもしながら、ハチェトリーが言った。


「ワタシは嘘は申しません、です。それよりも」

「?」

「勇者氏が、見た目に危ない、です」


 少年に抱きかかえられた日出郎が、白目を剥いて気絶している。ビクンビクンと肥えた体が痙攣し、半開きの口から涎がこぼれた。


「わーっ! ゆ、勇者様っ!?」

「しッかりしろ、傷は浅ェゾ!」

「逆さ吊りっ、いいえ土に埋めて……それより、く、口づけをっ!」


 いささか効果に乏しい救命法を口にしながら、チェイネが主に取りすがる。それでγの拘束が緩み、鉱奴(ゴーレム)を自称する少女は先ほどのように手を背中――正確には腰背部に取りつけた小さな鞄――に回し、同じく筒のような物を取り出した。


「無言でやるな。それでさっきは、止められたんだ」


 マレッタガレッタの長柄の金槌が、再び耳を覆う器具を叩く。無表情のまま数秒、少女は身動きを止めた。わかりづらいが、どうやら衝撃をこらえているようだ。

 再度の〈治癒翠光セラピオ・ジオル〉を施したりして、ハチェトリーたちが落ち着き耳を貸す体勢になったところで、γもようやく解説をする。


「これは、召力ロギエを受けると解障プロセフの術式を発動する弾薬、です。これで勇者氏を解毒する、です」

「わッかりづら! 普通に召術つかえヨ!」

「ワタシに、そのような機能は存在しません、です。」


 言いながら先ほど同様に、広口の銃口に筒を挿入した。それでも警戒の解けない仲間たちであるが、かろうじて意識を取り戻した日出郎が、銃の象明を確認する。

 現在の叡智の額冠の機能では、敵対的な相手の装備は確認できないので、それだけでも相手が害意を持っていない証左にはなった。


煉薬筒ドラケミストLv.24】

 【消費アイテムを弾薬として装填し、召力を込めることで、標的に様々な影響を及ぼすことができる銃。発動効果と威力は、弾薬にしたアイテムと使用者の召力によって異なる】


 色々と気になるくだりはあるが、要するにアイテムの効果を高めたり変化させたりして放つ銃、ということらしい。そういう能力アビリティを持った職業が存在するゲームは、『ファイナルラストファンタジア』以外でなら日出郎も知っていた。


「ああー、うん……叡智の額冠で象明みると、確かにその娘の言うとおりだわ。かまわないから、やっちゃって」


 どこか投げやりなのは、中毒状態がきつくてまともに思考を続けられないからだ。自分で喰らうとなると、効果に今ひとつ確実性がなさそうなのが気になりはするが、とにかく現状をなんとかしたかった。その思いで、いっぱいである。


「では、遠慮なく、です」


 撃たれてわかったが、物凄く痛かった。


 ¶


 とにもかくにも解毒が済むと、日出郎の体は嘘のように復調してしまった。ほんの数秒で『復ッ活ッ、井坂日出郎復活ッ!』とばかりに元通りになった体調に、自分で不気味と思うくらいだ。


「でも勇者様、よくご信用されましたね。銃で撃って回復させる、だなんて」

「あははは、いやーそうだね」


 などと笑って受け流すが、弾丸に回復そのほか様々な効果を込められる銃、というのは日本のオタク文化ではそれなりにありふれた存在だ。

 ともあれ状況が落ち着き、周囲に魔物の姿はない。改めてγの象明を、叡智の額冠の力で検分する。微術マズニで確認しているハチェトリーたちと異なり、日出郎が見れば【特性】欄も確認できるのだ。


 【体26 敏26 感10(18) 知24 精15|HP110/116 LP36/48(54) EXP301/435】


 思わず二度見をしてしまった。職業レベルに対して、感覚と精神が明らかに低い。特に感覚は異常と呼べる数値だ。


「マリーさん。彼女の特性、ええと体力や知能の高い低いみたいな」

「ん? ああ、調整値パラメータな。こいつは運動と演算に特化させたから、知覚と対話はポンコツさ」


 あからさまに尋ねるのは、身体的欠陥をあげつらっているようで気が引ける。そんな風に悩みながらの問いかけを、マレッタガレッタはあっさりと肯定した。

 そしてそれを、各種装備で補っているのだと言う。そのつもりで改めて見直すとγの眼鏡もヘッドフォン型の機器も、そして両の手袋も、全て感覚の低さを補正する効果を備えたものであった。

 これが人型ロボットであれば、本体の設計特性を追加パーツで補強する、という考えはさほどおかしくない。しかし少しばかり無機質でも生きて動く人間、としか見えない女の子にしていることと思うと、途端に非人道的な行いに思えてきた。


「そもそも『生体鉱奴』って、なんなんですの? 彼女は、私の知る鉱奴とは明らかに異なりますわ」


 こうなるから隠してたんだがな、と小女はばつが悪そうに頭を掻き、次いで我関せずという調子の当人をにらむ。

 日出郎も同様にγを見た。彼は象明を読み解くためだ。生体鉱奴の項目を注視し、サブウィンドウを浮かべる。


【生体鉱奴:生体、特に人間を基礎に造られた鉱奴。核となる魔晶石で諸器官を維持するため自己修復機能を備え、柔軟な運用が可能だが、通常の生物に近い生命維持行動が必要】


「生体を基礎……ってことはこの、生身の人間を改造して作られたってことですか!?」


 戦慄とともに叫ぶ。ファンタジーから一気にSFだ。美少女サイボーグと言えば聞こえはいいが、倫理的に許されることではないだろう。


「微妙に異なります、です。ワタシのベースとなった岩人種グリムロックは死病に侵され、『生身の人間』とは言いがたい状態でした、です」

「だからって、鉱奴にしちゃうだなんて……」

「元より私のベースとなった者は、奴隷の身分にありまでした、です。過剰なお気遣いは無用、です」


 なぜだかγは、誇らしげな様子さえ漂わせた。唖然としてしまう主従であったが、ジャベリナだけは不快感を表に出しつつも、納得した様子を見せる。


岩人種グリムロックてな、奴隷を人間とは思ッてねェのさ。物として管理されるし、()()()ッて罪にゃならねェ」

魔人種ディアボロスにそういうことを言われるのは、なんとも心外だねぇ。あんたらにとっちゃ自分ら以外の全部が、()()じゃないかい」


 唾でも吐きそうな顔つきの少女に、マレッタガレッタが噛みついた。ゴルンゴドは魔王との戦いにおいて最前線のひとつであったため、魔人種ディアボロスに対する敵愾心は他所よりも強い。

 判明したのは街で夕食を取っている時で、知っていればこの街に立ち寄ろうだなんて言わなかった……と日出郎を反省させたものだ。と言っても他の仲間も、当のジャベリナ自身も知らなかったのだから、責めるべき話ではないのだが。

 ともあれ二人はしばし、にらみ合った。やがて先に目をそらしたのは、意外にも小女の方である。


「……まあ、他人種がいい顔をしないのは、わかってるさ。あたいだって、好んで奴隷を改造してるわけじゃない」


 魔王との戦争において、綺麗事だけではやっていけなかったのも確かなのだ。

 狡猾な魔物に対応できる柔軟な思考を持った鉱奴、あるいは強靱な魔物に対抗できる頑丈さを有した奴隷。その需要を満たすために生まれたのが、生体を改造し鉱奴とする技術だったのである。


 非人道的であっても有用であれば許された時代が、ほんの数ヶ月前まで続いていた。その時代に乗り遅れた、ましてや常識の異なる異世界からやってきた日出郎があれこれ言うのは、筋違いかも知れない。

 実のところ彼からすれば言語道断な行いであっても、ファラスの考えでは大したことのない、眉をひそめる程度のことではあるようだ。こんな相手と仕事ができるか、なんていきり立つ局面でもないのだろう。仲間たちの顔を見れば、それくらいはわかる。

 だが。


「……それで君は、納得しているのか?」


 γに、問わずにはいられない。残酷な問いだ。納得していない、こんな境遇は嫌だ……と言われてもどうしようもないのに、聞いてどうするというのか。しかし返ってきたのは無表情こそ変わらないが、いっそう淡泊かつ冷静な回答だった。


「質問の意味がわからない、です。鉱奴の動作に必要なのは『理解』であって、『納得』などという曖昧なものではありません、です」

「それは……」


 ハチェトリーがなにか言いかけ、黙り込む。少年は自身の、日出郎への盲目的とさえ言える献身に、『納得』している。憧れから始まった関係だが、今は確かな忠誠と敬愛があると確信する。

 しかし周囲から見れば、だめ男を無思慮に持ち上げているだけの愚か者、としか見えていないかも知れない。その関係が正しいかどうかなど、当人同士にすらわからないのだ。


「納得がいかないのは、勇者さま御自身なのですわね」


 いたわるようなチェイネの声に、かすかに苦いものが混ざる。彼女自身は高貴な生まれである上、魔人種ディアボロスほどではないが獣人種リュカオーンも種全体に弱肉強食の気風があるため、奴隷制を忌避する感覚はない。

 一方で自分とさして年の変わらない少女が物扱いされ鉱奴とされる、という境遇に、哀れみを感じているのも確かだ。病という事情が先にあり、また当の本人があっけらかんとしているのが余計、筋違いだとわかっていても同情を誘われる。


「まあまあ皆様、そう深刻にならないでください、です。今は目的の遂行を第一とすべき、です」


 無表情なまま、空気をかき分けるようなアメリカンな動作で仲裁の意を示すγ。

 話題の中心にそのような態度を取られてしまうと、さすがにいつまでもここで立ち止まっていても仕方ない、という気分になる。


「よく躾けられてやがんな?」

「鉱奴ですから。です」


 くっ、と唇の端だけ持ち上げて見せたジャベリナに対し、眼鏡の少女はあくまでも淡々と答えた。


 ¶


 気まずい雰囲気のまま更に遺跡を進むと、それまで直線的であった巨岩の連なりが、だんだんと綻びを見せ始めた。柱が天井までは続かず途絶えていたり、壁が格子状になっていたり、中途半端な横の出っ張りがあったり。

 つまりは元からの構造が、崩れているのだろう。中には日出郎たちならともかく、巨人種キュクロプスでは通れないのではなかろうか、と思える場所も散見される。


「この奥さ」


 小一時間ほど歩いた後、言葉少なに進行方向の指示をしていたマレッタガレッタが、わずかばかり声のトーンを上げた。長柄金槌で指し示す先は、縦横に直線的な巨石が連なった、その隙間だ。

 どうやら無数の柱が出鱈目に倒れ積み重なったのだろう、近づいて見るとちょっとした岩山のようであり、柱の隙間は洞窟のようにも見える。そしてその奥からは、気のせいだろうか、妙に湿った空気が流れてきているようであった。


「水の匂いがしますわね」


 日出郎の印象を裏づけるように、チェイネがつぶやく。彼女が言うなら、確かだろう。これはいよいよ、ゲームで遭遇したネッシーのパロディ魔物の登場も覚悟しなければならないな、と日出郎は思った。

 その名も『メッシー』、色とりどりの泥で首長竜状の体を構成した構成した魔物で、その体の一部を投げつけて攻撃してくる。それを受けると、敏捷度が下がったり毒を受けたり沈黙状態になったりするのだ。物理攻撃に耐性がある反面、召術にはおしなべて弱い。


(ゲームやってた時は気にしなかったけど、なんかフェチくさい敵だよな)


 女性陣が被害を受けぬよう、よくよく気を払う必要があるだろう。せっかく新調した服を早々に台無しにされてしまっては、たまったものではない。

 縦横3メートルほどの通路となっている柱たちの隙間を、日出郎はジャベリナと肩を並べて進む。すぐ背後にハチェトリーが控え、マレッタガレッタと彼女を守るγ、殿しんがりにチェイネという布陣だ。

 はたして慎重に歩み進んだその先で彼らを待っていたのは、地底湖であった。


「わぁ……」


 ハチェトリーが、小さく歓声を上げる。通路が途絶えた先は再び広大な暗闇が広がっていたが、すり鉢状にくぼんだ地面は全て、水で満たされている。透明度が高く、色とりどり〈蛍火ピゴラ・フレイ〉に照らされ幻想的な光を帯びていた。

 灯りは周囲の全てを照らすほどではなく、湖も奥の方は闇に溶けて、果てを見通すことはかなわない。逆に水底までは光が届いており、水深15メートルはあろうか、かなりの深さだ。


 そんな湖中のあちこちに、これまでもさんざん見かけた正方形の巨岩が沈み、いびつなオブジェと化している。

 そして、真正面。斜めに突き立った何本かの柱に支えられるようにして、白亜の構造物が浮かんでいた。


「ォお、こいつかッ!」


 喜色を浮かべたジャベリナが、今にも湖面に飛び込みそうな勢いでそれを見つめる。日出郎はと言うと少女の隣で、なんとも困惑した面持ちのまま、首をひねった。


「どうだよ、勇者どの。なんともいかした姿だろう? 他の連中はこんなのが船のはずはないって言うがね、あたいはコイツが飛空船だって、ぴーんと来たのさ!」


 マレッタガレッタが誇らしげな声で言って、γを従えたまま前に出ると、構造物を背景に小さな胸を張った。

 全長は30メートルほどか。この遺跡を構成する岩々はなにもかも巨大であったためスケール感がおかしくなっているが、船として考えるとそれなりの大きさだ。

 湖上に晒している部分はつるりとした半円状で、一方の先端は丸く、もう一方はより小さな――といっても下手な建物より大きいが――筒がいくつか着いている。そちら側には三枚の、鰭とも翼とも取れそうな扁平な出っ張り。


「船だとするとこれは、引っ繰り返っている、ということですの? 水中に沈んでいる部分に、甲板があるのかしら」

「いくつか、色の違う部分がありますね。あれが窓なら、中に入ることができそうですが」


 少年が指摘した細かな部分以外にも、丸い方の先端部と外周の一部が黒く塗られ、水鳥のようなカラーリングと言えなくもない。


「勇者氏、どうしました、です?」


 無言のまま半眼で構造物をにらんでいた日出郎に、γが問いかける。一部は水面に沈み、また巨大な柱で囲われているため、初見では断言できなかった。

 だが右に左に視線をやって、じっくりとその姿を観察し――日出郎は、叫んだ。


「スペースシャトルじゃねーかっ!?」

【長柄の金槌Lv.12】

 これは武器でもなんでもなく、打音検査用のテストハンマーである。マレッタガレッタは体が小さいため、柄を長く伸ばせる特注品を愛用している。柄を伸ばす機構は現代ならありふれたものだが、ファラスにおいては最先端の発明品。


【迷彩】

 召術や道具の効果ではなく、鉱奴としてのγに組み込まれた機能。つまり敢えてカテゴライズするなら、種族に由来する妙技である。効果は、象明の読み取りを無効化することと、わずかながら自分に対する注目を減らすこと。

 襤褸をまとってウロウロしても悪目立ちしない程度にはなるが、段ボール箱を被っただけで警戒地域を通れたり、試合中に対戦相手の視線を誘導したりはできない。


【逆さ吊り、土に埋める、口づけ】

 いずれも現実に存在した民間療法であるが、溺死対策の側面が大きい。なお、神経毒なら砂や土に埋めることに意味がある場合もある。


煉薬筒ドラケミストLv.24】

 現代品の泉宝。ただし一部には伝来の部品が用いられている。前装式の銃は弾丸と火薬を銃口から詰めて発射準備をするため、二発目以降の装填に時間がかかり、不発時に装薬を除去する際も危険が伴う。そこで開き直って『術を発射するための土台』として作られたのがこの銃である。

 ここで弾薬を後装式にする、という発想が出てこなかったのは、召術の存在のせいか。


【黒縁眼鏡Lv.23】

 現代品の泉宝。【感覚】+3。遠近両用レンズは魔晶石を加工したものであり、召力に反応して事故修復する機能を備える他、曇り止め加工が施されている。ブルーライトをカットしたり電子情報を浮かべたりは、残念ながらできない。


【集音の耳当Lv.21】

 現代品の泉宝。【感覚】+3。ヘッドフォン状の外見だが、むしろ補聴器に近い代物。無論、金槌で叩かれたりしたら結構な衝撃が耳孔を揺さぶることになる。日本では装着したまま自転車に乗っていると、警察官に止められたりするぞ。


【工兵の手袋Lv.18】

 各種泉宝の中で唯一の骨董アルヘオ、ただしレベルは低い。【感覚】+2。精密作業に際し手先の震えを抑えてくれる他、指先を熱や火花などから保護する効果もある。ゲーム用コントローラとして使えるかは、訓練次第。


【メッシーLv.14】

 粘泥型。UMAダンジョンこと『這い寄る物どもの棲家』のボス。沼のあちこちに突き刺さった油絵から、絵の具が寄り集まって登場する。と言っても画面上の演出は大したことはない。

 ゲームグラフィックはニューネッシー(日本の漁船が引き上げた、首長竜に似た姿の腐乱死体。大型サメの死体ということでほぼ結論が出ている)を踏襲しており、倒されると出現した沼に沈んでいく。

 なお、レベルで言えば第1章に登場したカタパルトロールより格下であり、日出郎が「戦って勝てない相手ではない」と思う根拠となっている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ