6.「これは使命、勇者の使命だ!」
ほの暗く広大な空間を、色とりどりの灯りが照らす。ひときわ大きくまばゆい金色の光球を中心に踊る、白・赤・青の〈蛍火〉だ。
それぞれ目を模した円と、角だの尾だのといった余計なパーツが付属していて、誰が浮かべたものかわかりやすかった。
「ゴルンゴドは街だけでも驚くべき場所でしたが、その奥に、こんな空間まであったなんて……圧倒されますね」
少し垂れ気味の楕円ふたつと小さな羽のようなものがついた、金色の光球。それを浮かべたハチェトリーが怖々、周囲を見渡す。
いつもの法衣の下の服装が、古着の貫頭衣や戦闘用のキルト地の上下では、なくなっていた。白い水夫風のブラウスと半ズボンに、爪先が大きな編み上げブーツ、という愛らしくも活発な印象のものだ。
少年の視線の先には、一辺が5メートルほどある正方形の岩石。それがあちらこちらで無数に連なり重なり繋がって、柱や壁を構成していた。
根本は細いのに頭上に行くに従って正方形の数を増やし、巨大な樹形を描いているもの。あるいは庇や梁状の出っ張りを生み出しつつ、扁平な柱あるいは薄い壁と化して空間を分断しているもの。
そして、宙に浮かんでゆっくりと動いているもの。
「“浮島”以外にも、浮遊する岩があったんですのね。いえ、むしろ浮島を削って作られた物なのかしら」
吊り気味の楕円ふたつに耳と尻尾を持った、白い光球。その作者であるチェイネは、浮いている岩石とそうではない物を見比べ、小首を傾げる。
日出郎は内心で、でかいブロック玩具を積み重ねて、特撮テレビ番組などでお馴染みの首都圏外郭放水路を作ったら、こんな風かなあ……なんて思っていた。しかしチェイネの言葉に、往年の傑作アニメ映画に登場した、天空に浮かぶ城を思い出す。
とはいえこの空間を彼の感覚で最も正確に表現するなら、3Dアクションゲームの地下ステージ、といったところだろう。構造的に理不尽なほど凹凸が激しく、しかしパーツのひとつひとつは直線的で、あちこちに浮かんだフロアが存在する。
これで日出郎にも相応の機動性があれば完璧なのだろうが、ステージを構成するブロックが一辺5メートルでは、さすがに勇者と言えど登ったり跳び越えたりするのは厳しい。
なお、チェイネの服装は変わっていないが、日出郎は微妙に変化している。といっても足下こそ少年とサイズ違いで同型の長靴になったが、鎖帷子はそのままなので、見た目に大きな変化はなかった。
「……」
三角形ふたつと角に尻尾を持った、赤い光球。それはジャベリナが浮かべたものだが、彼女は先ほどからむっつりと押し黙り、時おり手にした二叉槍を前方の空間に向けるのみだ。
なお、魔人種は夜目が利くので、灯りの重要性は低い。〈蛍火〉を浮かべているのは、つきあいというやつである。最初に術をいじって、デフォルメした目などのパーツを光球につけたのも彼女であるから、不機嫌の原因はそこではない。
「もう。リナってば、いつまでおかんむりなんですの?」
「いつまでッて、お前なァ」
ぐるりと体ごと振り返ると、下からとびきり凶悪な顔をして、睨め上げる。本人と頭上の光球、双方の尻尾がぴんと上を向いた。
「このクソふざけた格好をやめるまでだヨッ!」
ばん、と叩く薄い胸は、白いピナフォアで覆われている。更に下は水色のワンピース、この裾は普段のものよりずっと長かった。そこから伸びる足を包むのは縞のソックスと厚ぼったい革靴、そしてエプロンにもドレスにも、フリルやリボンがふんだんに飾られている。
普段は流しっぱなしの髪もレースつきのリボンで二つに分けてまとめられており、角が悪目立ちしてさえいなければ完全無欠の、いわゆるアリス風ロリータ・ファッションであった。
「似合ってます、ジャベリナさん。何度も言いますけど、すごく可愛らしいです」
「うッせーヨ」
「いやホントかわいいって、超かわいい」
「だから、うッせーッつの!」
ふてくされた顔で前を向き、がに股で先頭を歩き始めるジャベリナ。耳が長く尖っているため、二人の言葉に赤くなったことを、隠せていない。
この時代も世界も間違えたような服装こそ、仕立屋にてチェイネが別途注文し、男二人を呆れさせたものであった。
酔って万事に適当になっていた少女は、チェイネから『明日は自分の用意した服を着てほしい』と言われあっさり承諾してしまったことを、激しく後悔する。
まさか彼女がこういう悪戯をしかけてくるとは、思いもしなかったのだ。
「そもそもだ、なんだッてこんな格好で、こんな所を歩かなきゃいけねーんだヨ」
「えっ、今更!?」
着替えに対する抵抗や、チェイネを止めなかった男二人に対する文句にばかり気がいって、状況の把握が曖昧だったのだ。彼らはなぜ、こんな奇勝の中を歩いているのか。
「もちろんそれは、あたいが望んだからだっ!」
きんきん声が、答えた。溶岩を思わせる色彩の髪の、丸まっちい体を白衣で包んだ、小さな女性。その頭上には横線と半円の組み合わせが二つ、それでじとっとした目を表している、青い光球が浮かぶ。
小女は背後に、すすけたボロ布をフードつきマントのように纏って顔と体を隠した、人相どころか男女もわからぬ人物を従えていた。青い光球を浮かべたのは、じつは襤褸で姿を隠した、この人物の方だ。
そんな二人に、胡乱げな目線を向けるジャベリナ。彼女の格好と同様、話はやはり仕立屋でのことに、さかのぼる。正確には仕立屋の所有者の意向に、だ。
¶
「勇者が来てるってな、本当かっ!」
そう言った小女は、さして広くない店内をぎろぎろ見回すと、まずチェイネを見て目を丸くする。次いでハチェトリーの顔に、感嘆したとも魅了されたとも取れる表情を浮かべた。最後に日出郎に気づき、それまでの興奮気味の様子が嘘のような、平坦で白けた視線を向けてくる。
つまりはまあ、よくある反応というやつだ。
【マレッタガレッタ・ハンサマンサ】
【岩人種・辰砂の民/女・28歳/鉱奴鍛冶Lv.21】
【体15 敏14 感23 知24 精19|HP90/97 LP39/46 EXP322/735】
象明を見ると、かなりの高レベルであった。戦闘向けの職業という感じはしないが、相当の実力者であることは確かだ。
「オーナー。お客様に失礼ですよ」
「うっさいテリー。お前の客であって、あたいの客じゃない」
たしなめる仕立屋氏――改めて象明を見ると、テラーノバラーノという名前であった。職業はそのまま、仕立屋Lv.16――の言葉をばっさり切り捨てて、小さな女主人は日出郎を見上げる。
「あんたが勇者かい。思ったよりショボいね」
「よく言われます」
見た目は若い、と言うより小さいが年上の女性であるし、敬語で答えた。それを言ったらジャベリナなど遙かに上だが、まあ彼女のことは良いだろう。
改めて正面からその顔を見ると、額の中央や目の下などにアクセサリーのように、鉱物質の結晶が張りついていた。
「ご紹介いたします。当店の所有者、ハンサマンサです」
テラーノバラーノ氏が改めて、という感じで主を紹介してくれる。
「どうも、出遅れ勇者の井坂日出郎です」
「勇者様の従士を務めさせていただいております、ハチェトリー・フォンテ・ブラウムです」
「同じくチェイネ・オリオンですわ。以後よしなに、ハンサマンサ様」
オチが欲しいところだが、生憎それをやってくれそうなジャベリナは、ここにはいなかった。仕方なくそのまま、じゃあそういうことで……と店を辞そうとしたが、女主人が正面に立ちふさがって退こうとしない。
小さな体は避けて避けられぬものでもないが、彼女はなにやら言いたげであった。嫌な予感はするが、意を決して問いかける。
「あの……なにか?」
「あんたが本当に勇者だってんなら、願いがある。いや、依頼……違うな。そう、これは使命、勇者の使命だ!」
予感的中であった。そのまま小女をまたぎ越して店から逃走したかったが、勇者マニア二人の期待に満ちた視線を受けてしまうと、そうもいかなくなる。
自信ないって言ったはずだけどなあ、なんて内心ぼやきつつ、とりあえず話だけは聞いてみることにした。
店舗の奥にある別室に通され、表のものとはまた違った作業台を囲み、仕立屋氏の出してくれたペギリ茶など飲みつつの話となる。
日出郎は天井いっぱいまで収められた数々の道具や書束などに目を奪われがちだったが、従士二人は女主人の話を全力で傾聴する体勢だ。
「まず大前提として、ゴルンゴドは四つの層に分かれている、ってことを理解しておくれ」
一人だけ作りの異なる足の長い椅子に腰かけたマレッタガレッタは、作業台の上に大きな獣皮紙を広げた。継ぎ接ぎだらけのそれは、描かれた図面もちぐはぐで、一見して全容を把握することは難しい。
「大通りを中心によそ向けの店が集まった表層と、一般家屋や工房なんかがある中層はわかるよな? 普通に入れるのはここまでだ。んで、町自体の拡充のために掘り進んでいたり、その途中でぶち抜いた自然洞窟なんかを深層と呼ぶ」
短い指が、紙の上を行ったり来たりする。狭い範囲の平面図をつなぎ合わせて全体を表現しているのだが、通路や階段に相当する部分もまた平面図で描かれているため、高度や位置関係がわかりづらい。
日出郎の感覚だとターミナル駅の案内図・手書き版という感じだ。ただし縮尺や様式が一定でなく、色分けなどのマークアップもされていないもの。この図だけを見て迷わず進める自信は、皆無である。
「深層は裏通りの連中でも特に後ろ暗い奴らが根城にしてたり、退治し損ねた魔物なんかも出るから、基本的に一般人は立ち入り禁止だ。そんで、その更に奥。ごく一部の通路からしか行けない、最深層」
女主人の指の動きは複雑で、脳内でぼんやり浮かべた地図はあっと言う間にぐちゃぐちゃになった。表情をうかがうにチェイネも同じ様子だったが、ハチェトリーだけは生真面目な顔でふんふんと頷いている。
「秘密なんだが、じつはここから古代の遺跡が広がってるんさ。ダクシン朝の様式で、広さは判明している分だけでも、表層から深層までを合わせた分ほどある」
「「!?」」
従士二人が、驚愕に目を見開いた。理解の浅い日出郎は、ぽかんとしてしまう。そんな主にすかさず、少年が解説してくれた。
「おおよそ三万年ほど前に、巨人種と呼ばれる、今は滅びた種族が築いた文明です。勇者様の叡智の額冠は、ダクシン朝の伝来なんですよ」
「三万年て」
地球なら旧石器時代である。さすがに話を盛りすぎではないかと思うが、ファラスなら本当でもおかしくない。いずれにせよ、もはや神話の領域だ。
マレッタガレッタの説明によるとゴルンゴドの街自体、この遺跡の発掘を目論んだ豪商の一族に、端を発すると言う。炭坑街でもないのになぜ地下生活を送っているのだろう、という疑問はあったが、まさかそういう理由だとは思わなかった。
「で、だ。遺跡の探索はあらかた済んでいて、めぼしい泉宝も取り尽くされて久しいんだが……どうにも正体の知れない物があってね。あたいはそいつが、勇者がらみの代物じゃないか……って、にらんでたんさ」
ラフガルド王国に伝わる勇者専用装備・叡智の額冠がダクシン朝の伝来であるなら、同じダクシン朝の遺物で正体不明の物にもまた、勇者にしか反応しないなにかがあるかも知れない。マレッタガレッタは、そう考えたのだ。
そして魔王の脅威に対抗して勇者召喚が行われる、という情報を知った彼女は、どうにか勇者と接触できないか方策を練る。そうこうするうち魔王はアクスレイの仕掛けた戦争によって討伐され、肝心の勇者は周回遅れで召喚された。
「つまりあんたは今、やることがない!」
「アッハイ。そのとおりでございます」
正確には、謎の敵に狙われているので逃避行の最中であるが、それも使命かと言われれば違う。
「だからさ、あたいにつきあって遺跡に潜っておくれでないかい? 相応の報酬は出すし、それがあんたにしか扱えないってんなら、逆に安く売ってやるからさ」
口振りからして、目的とする物の所有権は現在、彼女にあるらしい。
「一体どんな物なんですか? いや、参考までに」
まだ引き受けると決めたわけじゃないですよー、と消極的なニュアンス込みで、訊いてみる。込めた部分については綺麗に無視して、マレッタガレッタはにやりと笑った。
「あたいの見立てでしかないがね、ありゃおそらく……飛空船さ」
¶
そこまで説明したところで、ジャベリナが意外な食いつきを見せた。
「じゃ、じゃあ、上手くすりゃ飛空船が手に入ンのかッ!?」
「いやあ、とても買えるようなお値段じゃないからね。もしマリーさんの見立てが正しくても、起動させておしまい、ってことになるんじゃないかなあ」
のほほんと言葉を返す日出郎に、勢いこんで迫っていた少女は、がっくりと肩を落とす。ちなみにマリーというのは、マレッタガレッタの愛称だ。
飛空船というのは文字どおり空を飛ぶ船であり、一般的には浮島から削り出した岩を浮力源にして、水上用の船をそのまま空中に浮かべたものだ。船体の大きさによって飛空艇、飛空艦と呼び分けることもあるが、基本は変わらない。
動力は泉宝の場合もあれば、帆により風を受けて進む場合もある。変わったところでは、召導具の櫂を備えつけたガレー飛空船、なんてものも存在した。
地球の飛行船のようなものは存在しないが、空中を進むという構造上、現代品は徐々に形状を変化させつつある。
なおゲーム『ファイナルラストファンタジア』では、飛空船は定期航路で利用できるのみである。
他に海洋を渡れる船舶、砂漠でのみ使用できる砂上船なども登場するが、陸海の区別なく世界地図上を自在に動けるようになる乗り物は、存在しない。
「あたいとしちゃ、アレの正体を確かめたい、ってのが一番だけどね。だからって、タダ同然で飛空船をくれてやる、ってわけにもいかないさ」
こう見えても商人の端くれだからね、とマレッタガレッタはつけ加える。
彼女自身は鉱奴鍛冶という職業名が表すように、技術者であるのだが、彼女の一族は仕立屋以外にもいくつも店を運営する商家なのだ。
特に祖父は、ゴルンゴドの運営にも関わる有力者であり、マレッタガレッタもその意向に反する行動はできない。
「仮に勇者どのにしか動かせない代物でも、欲しがる人間はいるだろうしな」
たとえば好事家や投機家、あるいは研究者、国家などだ。個人的にも欲しいと思うハチェトリーが、うなずいた。
「召術協会も欲しがるでしょうね……もっとも、国も協会も、今はお金がありませんけど」
どっかの誰かさんのせいで、というお決まりの文句は口腔内に留める。
チェイネは、国元に帰ればオリオン家が所有する飛空船がありますのよー、なんて空気の読めない発言をギリギリでこらえた。賢明なことである。
買い手がつかないならつかないで、マレッタガレッタとしては自分がその飛空船を研究できるのだから、文句はなかったりする。一族の者には言えないことだが、むしろそうなることを望んでさえいた。
半ば神話の時代の遺物、その正体に迫れるのだから、技術者冥利に尽きるというものだ。
「ちッ……専用の飛空船とか、けッこう憧れだッたんだがヨ」
ジャベリナが、残念そうに言った。
なんでも魔王軍にいた頃、飛空船の所持はある種の格付けの証明であったらしい。しかし五凶槍の中では、彼女と“死咬み”グレイヴンだけが、持っていなかったのだという。
「仮に手に入ったとしても、勇者さまのものであって、リナのものじゃありませんわよ」
「このデブの物は、オレの物みてェなもんだ」
とんだ自己中心主義であったが、仲間の共有財産に関しては、所有権を主張してもかまわないとは思う。ジャベリナ『だけ』の物、とはいかないが。
「まあ目的はわかッた。んで、これも今更かもだがヨ。そいつァ何者だ?」
先ほどから一言も発さず、女主人につき従うボロ布を纏った人物を、顎先で示す。それに関してはじつは、日出郎たちも答える言葉を持たなかった。
仕立屋で依頼を受けた翌日、宿屋の前でマレッタガレッタと待ち合わせた時から、無言のまま彼女につき従っているのだ。最初は仕立屋氏だと思って挨拶をしたのだが、どうも違うらしい。
ならばと象明を見ようとしても、浮かび上がらなかった。なんらかの術を使っているのか、全身を覆い隠す襤褸の効果なのか、理由は不明だ。
「あぁ、こいつな。あたいの」
「敵、です」
かぶせ気味に、女主人の声が遮られる。細く涼やかだが、無機質な声だ。
思わず顔を隠した人物を見つめる、女性陣とハチェトリーたち。それに対し、日出郎だけが異なる反応を見せた。弾かれたように反対側、ボロ布の人物が顔を向けたと思しき方向に、目をやる。
少し遅れて、布を叩くような音が暗闇の奥から迫って来た。
【水夫風のブラウス】
あくまで『風』であり、セーラー服そのものではない。ブラウスと言うと一般的に女性用と思われがちだが、ここではゆったりめで柔らかいシャツ、ほどの意味と思ってもらいたい。
【半ズボン】
少年には半ズボン。永遠のマストアイテムである。
【編み上げブーツ】
象明を見ると【編上靴Lv.2】と出る。作りはしっかりしているが、レベル自体は以前に日出郎が履いていたサンダルの方が上だったりする。
【首都圏外郭放水路】
埼玉県春日部市。広大な空間に等間隔に巨大な柱が屹立する、現代のアウターゾーン。かなり有名になったとは言え、凄まじい眺めであることに変わりはない。
【アリス風ロリータ・ファッション】
白のピナフォアLv.7、綿のワンピースLv.6、縞のハイソックスLv.9、少女の革靴Lv.6、白のドロワーズLv.4、レースのリボンLv.8。素材はあまり効果なものではないが、デザインが時代を先取りしているがゆえ、おしなべてレベルが高い。
特にハイソックスは非常に先進的な一品で、服飾技術に優れた魔人種が絡んでいるのは間違いないが、ジャベリナはあまりわかっていない様子。
【辰砂の民】
独特の色合いの髪と、アクセサリーのように浮き出た鉱物質を有す民族。小柄で鈍重だが、器用で意志が強い。寿命が長く、また成長と老化も遅い。召術の中でも〈火山〉系と相性が良く、著名な錬金術士を何人も排出している。
なおハンサマンサ家も技師・研究者の家系であるのだが、先祖が数々の発明品で築いた財産を元手に、様々な商売を手広くおこなっている。日本企業で言えばS●NYのようなものか。
【テラーノバラーノ・ダイラーデイラー】
苦灰の民、男、42歳。見た目は完全に灰色の岩石を削り出して作った、壮年男性の彫像。色のせいか他人種からは老けて見られることが多いが、まだ中年程度の年齢である。裁縫Lv.5。
実は格闘技の使い手で、職業の恩恵こそないが、オーナーのボディガードを務めることもある凄腕。蹴り技を得意とし「仕立屋が荒事に手を用いるわけないだろう、小僧」とか言いながらチンピラを瞬殺したりする。
【苦灰の民】
白色から桃色がかった灰色をした、岩石のような体を持つ民族で、手先の器用さと動作の柔軟さを誇る。生真面目な性質で職人や数字を扱うような仕事に向き、主や規則に忠実な反面、頑固で独創性に欠くとされる。
【ゴルンゴドの地図】
素人が書いた新宿・東京・梅田の地下街の地図を想像してほしい。この地図はその斜め上をいく。
【ダクシン朝】
朝、というからには王朝であるのだが、伝説によると初代の王とその息子しか王がいない。親子二代で二千五百年という、途方もない期間を治めている。
【巨人種】
数メートルから20メートル超まで、様々なタイプが存在したらしく、そこで民族が分かれていたとされる。おそらく大きい方が偉かったのではないか、というのが定説。鎧とか女型とか奇行種とかいたのかは不明。
【叡智の額冠の正体】
実は巨人にとっては指輪だったのではないか、という説がある。
【飛空船】
空を飛ぶと言っても、ファラスの人間は未だ水上船舶の形状に囚われているため、揚力や空気抵抗に関する考慮が薄い。発展期の乗り物であり開発の余地は大きいのだが、浮力源が浮島の岩石頼りであるため、なかなか進化が見られないのだ。
【召術協会】
名前のとおり召術士たちの協会であり、表向きは術の振興や後進の育成のために尽くす、学術団体である。しかし会員を悪用や迫害などから守る一方で、召術に関する知見や学識を独占し、各国家や市井の召術士に圧力を与えている……との批判もある。
こういう団体は裏で敵対者を暗殺したり、強力な泉宝を収奪・独占したり、けっこう腹黒いこともやっているのがお約束であろう。協会がそうなのかは不明だが。




