14.「お生憎様、ですわっ!」
「勇者様っ!」
絶叫とともに、ハチェトリーが駆け出す。狭い斜面を落ちかねない、むしろ落ちた方が早く主の元に辿り着ける、とでも思っているような勢いで。
眼下はもうもうたる土煙に包まれており、少年の主がどうなったかは窺い知れない。
その場にべったり座り込んだチェイネは――動けずにいた。疲労困憊な上に召力を使い果たしたというのに、カタパルトロールの暴威は増すばかりで、魔物の数も数限りない。
こんな状況で何故、再び死地に飛び込めるというのか。象明を見るまで少女としか思っていなかったハチェトリーの、可憐な外見と裏腹の果断な行動が、信じられない。
「実際、大したもんですやね、あの子。流石は勇者の従士、ってところでやすか」
「ティコ……あなた、いつの間に」
通路の奥から染み出すように現れ、頭上に仄暗い〈蛍火〉を浮かべたのは、狐猫の獣人だ。
「やあなに、実は元々ここに勇者を誘いこむ予定で、下調べ済みでやして。隠し通路なんかも把握してたんでやすよ」
小物丸出しの軽妙な口調は、変わらない。だが不気味なほど黒々とした目と、歪な皺を刻む捕食者然とした笑みは、まるで別人だった。
今となっては、どうしてこの小男を信用していたのか、わからなくなる。
そもそもチェイネがオリオン一座にいた期間は、さほど長くない。元々はレイ・アルクス草原王国で祖父母の下、王の身内として何不自由ない暮らしを送りながら、勇者の物語に憧れを抱き鍛錬を積んでいた。
堅苦しい生活を嫌って出奔していた父・ケインの下に身を寄せたのは、魔王の脅威が顕在化し、草原王国にも魔物の軍勢が迫ったからである。
言わば一時避難であり、魔王が倒された今、旅芸人を続ける気など毛頭なかった。
と言って祖父の王としての任期も残り僅かであり、国に戻れば一族の権力維持のため、どこぞに嫁にやられるだけだろう。そうでなくとも十九歳という年齢は、獣人族の女性としては、少々薹が立っている感はある。
それで草原王国に帰るかどうか悩んで居座り、けれど一座に馴染むわけでもなく。座長の娘ということで優遇されてはいたが、座員たちとは距離があった。
そんな彼女に気安く声をかけ、何くれと無く世話を焼いてくれたティコに、好感を抱いたのは無理もない。
と言っても恋愛感情のようなものは、全くなかった。年も離れていたし、彼女の理想は物語の勇者のような強く立派で、なにより自分を守ってくれるような包容力がある男だ。
「なあ、姫さま。あっしはとある尊いお方の命令で、勇者の野郎を殺さなきゃなんねえ。だけど事と次第によっちゃ、あんたは助けてやってもいいんだぜ?」
「なっ……!?」
「あっしがオリオン一座に潜り込んだのは本来、あっしの主が事を起こした時、裏からあれこれ手を回すためだった。正直、旨味の少ねぇチンケな役どころでさぁ」
小男が無防備に近づいて来るが、その不気味な迫力に押され、チェイネは立ち上がることさえできない。
そんな彼女に鼻面を突きつけるようにして、ティコは、ぎちっと口角を釣り上げた。
「だからね、姫さま。あんたがあっしの女になって、これから色々尽くしてくれるって言うなら、助けてあげやすよ。魔物をけしかけたりしねぇし、王都あたりでいい暮らしをさせてやってもいい」
チェイネの顔が、怒りに歪む。それを見て小男は益々笑みを深くし、ゆっくり手を上げた。あたりの空気がざわめいて、通路の奥から数多の気配が近づいてくるのがわかる。
「飲めねえってんなら、ひとしきり遊んだ後でもう一回、お聞きすることにしやしょう。できれば痛い目にゃあ、あわせたくないんでやすがね」
ゴブリンとミュルミドン。それぞれ十数匹ずつの魔物が、ティコの背後に集まっていた。蟻の目に感情を読み取ることはできないが、小鬼どもの視線は下卑た熱を孕んで、不快にチェイネの体を舐め回す。
「……ど」
「ど?」
「どちらも、お断りですわっ!」
座った姿勢のまま腕だけの力で、チェイネは分銅鎖を振り回した。
狐猫人の足を絡め取って、そのまま引きずり倒してやろうと目論んだのだが、あっさりと躱されてしまう。ただ逃げるのではない、熟達の技量を伺わせる足捌きであった。
「ひっ、ひひっ! そう言えば姫さまは、常々『勇者さまの妻になりますわ』って言ってましたっけ。あっしより、あんな冴えないデブが宜しいんですかい?」
かっ、とチェイネの頬が朱に染まる。
「あの方がどう、ではありませんっ! お前のような卑劣漢に良い様にされたくない、それだけですわっ!」
「けひひっ! いいですぜ、気の強い女を嬲るのは大好きだっ! 涙と涎を垂らして、どうか私めを奴隷にしてください、と懇願するまで甚振ってやりやしょう!」
包囲するように魔物どもが、左右から詰め寄ってくる。逃げ場があるとすれば後方のみ、だがそこは巨人が暴れまわる、文字通りの死地だ。
「ぶおおおおおっ!」
まるで遮蔽幕のように、カタパルトロールの咆哮が背後で響いた。来れば潰す、そう警告しているようですらある。
日出郎は無事だろうか。ハチェトリーは、ジャベリナは。知り合って間もない者たちの顔が、短い時間での会話が、脳裏を過ぎる。
交わした言葉ならティコの方が比べ物にならないほど多いのに、それが策略に基づいたものでしかないと知ってしまった今では、日出郎たちとの軽口の方が温かい。自分はなんて安直で、単純で、世間知らずなのだろう。
だが、それでも。軽易であっても愚直であっても、今は彼らに殉じたい。誇りを捨てて、ティコに屈するわけにはいかなかった。
「お生憎様、ですわっ!」
分銅を再び投げつけるが、あくまで威嚇。奪い取られたりしないうちに素早く引き戻すと、その余勢を駆ってチェイネは後方へ飛んだ。
掴みかかろうとするゴブリンやミュルミドンの手をすり抜け、そのまま広場の方へ、奈落の方へ身を投げる。
先のハチェトリー以上に破れかぶれの勢いで、彼女は急斜面を下っていった。
「躊躇なく逃げを打つたあ、案外冷静でやすね。いや、自棄っぱちか?」
残されたティコは、やれやれと頭を掻くと、懐から赤黒く輝く宝石を取り出す。
「さっきの女だけは殺すなよ。後の連中は、トロールの旦那と協力して潰せ」
その言葉に周囲の魔物たちが、人形のように頷いた。そしてそのまま、斜面の方へと向かっていく。
うそ寒い光景の中、狐猫人もまた胸の悪くなるような笑みを貼りつけたまま、眼下の戦場へ向かうのであった。
¶
日出郎が崩れ落ちる岩の橋の上で必死にバランスを取り、姿勢を整え跳躍できたのは、奇跡に近い。次にレベルアップしたら、勝手に体術技能が上がっていそうな気がするほどだ。
無我夢中で剛毅の大盾を手放し、サーフィンやスケートボードよろしくその裏面に乗ったのは、ほとんど無意識のことだった。板乗り技能なんてものがあるなら、それも勝手に上がっていそうな気がする。
ともあれ大盾は地面との間に防護効果を発生させ、日出郎は不格好ながらほとんど痛手を被らず着地することができた。
「う、お、おおッ!?」
そこに、吹っ飛ばされたジャベリナが落下してくる。
慌てて受け止めようと頭上を向いて腕を伸ばしたら、器用に空中で回転した少女は、そのまま両足を揃えて落ちて来た。腕を水平に伸ばし、体操であれば高得点間違いなしの見事な体勢で、日出郎の顔面を狙う。
先ほどまでならともかく、今の彼女の小さな足は、金属製の鉄靴に覆われているのだ。受け止めてはただでは済むまいと、慌てて避ける。
「受け止めろヨ」
「やだよ」
結局そのままの姿勢で地面に落下したジャベリナが、弥次郎兵衛のように揺れながら睨んでくるが、要求は言下に断った。
「勇者様! 勇者様っ! ゆ、うぁんっ!!」
頭上の方から、切羽詰まった声がする。斜面を駆け下りて来ようとしたハチェトリーが躓き、その細い体が中空に投げ出された。
およそ人生で最速と思われる動きでその落下地点に駆け寄った日出郎の腕に、予想以上の衝撃で少年の体が飛び込む。決して落としてはならないその重みを全力で支えきり、腕や腰の上げる悲鳴を決然と無視する。
「大丈夫か、ハチェトリー」
「あ、勇者、様ぁ……よくぞ、ご無事で……っ」
お姫様抱っこの体勢で、少年は感極まってぽろぽろ涙を流しながら、日出郎にすがりついた。正直まだ痺れを残っているが、力強く抱き返す。
「オイ、なんだこの扱いの差はヨォ」
「……可愛げの差、かな」
冷めた突っ込みに、渇いた声で答えた。
そんな状況に放物線を描いて落下し、岩石状だった体を解しながらカタパルトロールが、喚き声で割って入る。
「ぶおおおおおっ(今度こそ、ぶっ潰すだ)!」
三段落ちとしてはあんまりな乱入に、慌ててハチェトリーを下ろし、盾を拾い上げた。腰に下げた鞘に手をかけるが、そこに歩兵剣はない。
そういえば前の戦いで落としたままだったなあ、砦の時といいカタパルトロールと戦うといつも武器を失くすなあ、なんてふと思う。
ゲームの頃なら、武器を落としたり失くすなんてことはなかった。
もう一方の腰には貰い物の手斧が下がっているが、これまで失うのは嫌だったし、どのみちトロールに効くものでもないか……と諦めて防御と召術に専念することにする。
「――〈凍装〉」
盾を翳しつつ、ジャベリナに召術強化を施した。その意図を察した少女は、自身に攻撃強化の〈炎装〉をかける。ハチェトリーはと言えば、主に向かって防御強化の〈塊装〉だ。
悠長に体制を整えているわけではない。目前には滅茶苦茶に振り回された大型鉄槌が迫り、巻き添えを恐れて遠巻きに周囲を囲んだ魔物たちも、包囲を狭めつつあった。
今この瞬間にしか出来ないから行っただけの、命懸けの準備行動。そして一斉にその場を離れた。
直後、ハンマーが通り過ぎる。流石に地面を砕いて石礫で自爆するのは懲りたのか、足元を刈り取らんとする横殴りの一撃。喰らえば、腰から下が粉砕されてもおかしくない。
ハチェトリーは後方へ、ジャベリナは上へ、大きく跳び退った。だが日出郎だけは魂を削るほどの覚悟で、敢えてぎりぎりの位置に踏み止まる。
風圧よりも轟音でよろけそうになりながら、敵がハンマーを振り切ったその腕に、翳した盾ごと体当たりをした。
「ばぶぉ(なんだ)?」
瞬時には反撃を受けないだろう位置に貼りついたのは、一瞬だけでも注意を逸らすため。はたして目論見どおり、トロールは最も警戒すべき相手を視界から外してしまった。
「ジャベリナ!」
「応ヨッ。〈不知火一閃〉!」
まだ宙空に浮いたまま、振りかぶったジャベリナが炎の槍を投じる。火線は狙い過たず河馬に似た頭を捉え、爆熱をもってその顔面を打ち据えた。
「ぶごぉおお(くそったれが)っ!」
体に貼りつく肥満の男を腕の一振りで吹き飛ばし、片目を閉じたままトロールが、槍を手放した少女に向き直る。鈍重なハンマーなど悠々躱すつもりで着地した彼女に向かって、樹製の籠手に覆われた拳を、真っ直ぐ打ち下ろした。
まさか素手での打擲が飛んでくると思わず、虚を突かれたジャベリナの反応が遅れる。咄嗟に上体を振るが避けきれず、一抱えはあろうかという拳が半身を直撃した。
「げはッ!?」
骨がまとめてへし折れる嫌な音とともに、華奢な体が壁に叩きつけられる。その衝撃でまた身体が軋み、口腔に血が溢れた。
「ジャベリナさんっ! この、どいてっ――〈雷縛〉!」
ずるりと崩れた少女に、駆け寄ろうとするハチェトリーの行く手を、ゴブリンやスケルトンビが阻む。流星蛇行刀を突き出し、その先端から麻痺効果を含んだ稲妻を撒き散らした。だが、少女まではまだ遠い。
「ばがろろろろ、ぶぉろらら(勇者の前に、まずはお前だ、怨叉)ぁ!」
「くそったれ、やめろっ!」
いつかのように、無謀とも言える突進をする日出郎。だが今度はトロールも標的を変えることなく、大きな歩幅で一気に壁際へ近づく。その振り上げたハンマーを、代わりに受け止めるのには、数歩が足りない。
及ばぬ距離を主従が詰め切れぬまま、鉄塊が少女の頭に――
「させませんっ!」
――叩き込まれるより早く、斜面を一気に駆け下りてきたチェイネの分銅鎖が、トロールの腕に絡みついた。そのまま巨体を跨ぎ越すように跳躍すると、勢いと重力とで圧倒的な筋力と体格の差を覆し、相手のバランスを崩させる。
それでもなお巨人の膂力は凄まじく、強引に振り回す腕に鎖は引き抜かれ、淑女の繊手はずたずたに引き裂かれた。
「あぐっ」
「チェイネさんっ! いま治療を」
「あの方が先ですわっ!」
駆け寄ろうとするハチェトリーに対し、チェイネは血まみれの手を押さえて苦痛に顔を歪めながらも、決然と言い切る。
その鋭い視線の先にいるのは、新たに生み出した槍を支えとしながら、必死に立ち上がろうとしているジャベリナ。骨身を砕かれ内臓を傷めようと、なお闘志を失わず、殺意を宿した真紅の瞳で敵を睨みつけている。
ハチェトリーが習得した“治癒”の術式は、組み合わせる源泉次第で効果を変化させるが、広範囲もしくは複数対象を回復するには、〈砂漠〉と組み合わせる必要がある。残念ながら今の少年には二人の女性を同時に癒やす術も、逡巡している時間もなかった。
黙礼だけして、ハチェトリーは少女の方へ向かう。泣き叫びたくなるほどの痛みを必死に押し堪え、改めてチェイネは戦場を睥睨した。
親玉の怒涛の攻勢に活気づき、周囲の魔物どもの包囲が狭まりつつある。先ほど弾き飛ばされた日出郎が、突出してきた一団を〈大凍〉で迎撃していた。
頭上を見やれば、先ほど彼女が駆け下りた斜面を、魔物どもも下りてくる。その最後尾あたりで指揮を取る、ティコ。
そして必殺の一撃の出端を挫かれたものの、カタパルトロールはすぐに体勢を立て直す。少年の治癒召術が間に合うか、間に合ったとして少女は万全の力を発揮できるのか、出来たとして更なる攻撃がトロールに通じるか。
しかし召力は尽き、鎖も奪われた上に利き手を傷めたチェイネに、できることなど。
(この身を盾に、刹那でも)
悲壮な覚悟とともに地を蹴り進む。憎まれ口を叩かれたくらいしか思い出のない少女のために、あるいは、一方的な幻想を押しつけ一方的に落胆した勇者のために。
巨人にとっては紙切れのようなものかも知れないが、立ちはだかり、一瞬だけでも隙を作る。そう目論んで回り込んで来た彼女を、トロールは鬱陶しげに睨み、足蹴にしようとした。
これがこの世で見る最後の光景か、と思うと虚しくもなる。だが、あのままティコに屈服し生き長らえるよりは良いか、とも思う。
己が誇りを裏切るよりは、己が無力で斃れる方が、ずっと良い。きっと、良い。
「させるかよっ」
諦念とともに目を閉じかけたチェイネの耳朶を、似合わぬ怒声が震わせた。そして、予想し身構えていたよりも、ずっと軽い衝撃。
盾を構えて割り込んだ日出郎ごと吹っ飛ばされた、と遅れて理解する。もつれ絡んで共に倒れるが、彼女にも日出郎にも、今の一撃による深刻なダメージはない。
「あなた、どうして」
図らずも添い寝をするような姿勢になってしまい、醜男の脂肪で膨らんだ顔を、真正面から見つめた。
「どうしてって、蹴っ飛ばされそうだったから、助けたんじゃないですか」
当たり前のように言って、日出郎は身を起こす。仰々しい理由などなにもない、胸を打つ台詞を吐くわけでもない。彼は物語の中の英雄ではないのだ、当然だ。
けれど、だからこそ自然と、チェイネは納得した。彼が、彼こそが勇者だと。
その瞬間だ。日出郎の体が光を発した。薄暗い洞窟に差し込む陽光の全てを集積させたような、眩く温かな力が彼と、彼を見上げるチェイネを包む。
「ぁふっ……!?」
思わず、声が漏れた。治癒召術をかけてもらったかのように、肉体の損傷が急速に消え失せる。そしてぐっすりと眠った後のごとく、倦怠感や不安感が晴れていく。
「えっ、えぇっ? なんですのコレ!?」
チェイネは戸惑い己の体を撫で擦るが、日出郎には見当がついた。おそらく、砦でハチェトリーに庇われた時と、似たようなことが起こったのだろう。
【チェイネ・オリオン】
【獣人種・獅子の民/女・19歳/魔獣狩人Lv.8】
【体16 敏20 感21 知14 精16|HP61/61 LP46/46 EXP0/176】
象明を見ると特性が底上げされた上、職業が変化し、レベルアップも果たしたようだ。
じっくり確認したいが、まずはトロールをなんとかしなくてはならない。そう思って首を巡らすと、巨体が魔法陣に囲われ、動きを止めていた。
「……すまねェ、動きを止めるので、精一杯だ」
ハチェトリーの治癒召術を受けて身を起こしたジャベリナが、苦しげな言葉を寄越す。炎の槍を撃ち出す暇はなかったか、単純にLPが足りなかったか。いずれにせよ、もう一撃は期待できなさそうだ。
(どうする? 俺がトロールを引きつけて、ハチェトリーたちに他の魔物を倒しまくってもらってレベルアップを……無理か、そんな余裕は)
そう言えば今の光は自分にも影響あったろうか、と己の象明を見る。すると彼自身もレベルアップしている上、【技能】欄に大幅な変化があった。
【ヒデロウ・イサカ】
【越界種エグザイル・日本人/男・25歳/勇者Lv.6】
【特性】
【肉体Lv.20 敏捷Lv.18 感覚Lv.19 知性Lv.20 精神Lv.17】
【HP:63/63 LP:73/73 EXP:0/120】
【技能】
【召術:〈氷河〉Lv.4、算術Lv.3、召術:〈砂漠〉Lv.3、刀剣Lv.2、召術:〈火山〉Lv.2、体術Lv.2、盾術Lv.1】
【妙技】
【共枢言語※、共闘共栄※、◇◇◇◇※】
【召術】
【〈小凍〉〈凍装〉〈大凍〉〈凍縛〉〈小嵐〉〈嵐装〉〈大嵐〉〈小炎〉〈炎装〉】
【装備】
【叡智の額冠Lv.36、鎖帷子Lv.5、剛毅の大盾Lv.40、革のサンダルLv.3】
全ての技能のレベルが向上したのに加え、盾術技能を習得している。技能点の法則が、完全に無視されていた。
目論見以上の結果があっさり示されてしまい、拍子抜けする思いだ。どうせならジャベリナのLPが回復してくれた方が戦局は有利に動くのだろうが、贅沢を言っても仕方ない。
手持ちのカードが増えたのは間違いないのだ、それでやるしかないだろう。
「ハチェトリー、こっちへ! 雑魚は任せる、飛び込んできたら〈雷縛〉で固めて回れ。ジャベリナは囲まれないよう立ちまわって、遠間から槍を投げて援護してくれないか」
「はい、勇者様!」
「チッ、わかッたヨ」
二者二様に承諾し、二人とも駆け出す。これくらいの指示なら魔物に聞かれても問題はない、と判断した。ジャベリナの動きが鈍いが、トロール以外なら早々遅れは取らないだろう。
「チェイネさんは……」
「『さん』は要りませんわ、私の勇者さま」
立ち上がったチェイネは嫣然と微笑むと、豊満な胸に手を当て優雅に一礼した。それまでのぎゃんぎゃんと喧しい言動が嘘のようで、日出郎は目を丸くする。
相手の戸惑いを察したか、彼女はその笑みを少し居心地悪そうにした。しかしトロールが魔法陣の中で暴れ出し、地に突き立つ槍が揺れているのを見るや、さっと勇ましい表情を浮かべ直す。
「話は後で。落ちている鎖を拾ったら、そのまま周囲を薙ぎ払います。勇者さまたちは、巨人を盾にするよう位置取りしてくださるかしら」
「……わかった。派手に頼むよ、チェイネ」
強い自信と、確信を感じた。任せていいと判断した日出郎は、真っ直ぐ見つめて頷きを返す。それに対して、チェイネは。
「――はいっ!」
最高の笑みで、答えた。
【魔結晶Lv.10】
アイテムレベル以下の魔物に命令することができる、特別な魔晶石。使用者の職業レベルが魔結晶自体のレベル以上でなければ使用できない。
【魔獣狩人】
成長時、敏捷と感覚+1、自由割振2点。召術などによる弱体付与率を増強、魔物の鑑定および素材獲得にボーナス。加えて〈縛〉系統召術習得時、追加の経験点消費で他源泉の同レベル召術を習得可能(LP計算時は1レベルとして加算)。〈縛〉系統召術の消費LP-25%。
【マイ・ギャラント】
マイロードだのユアハイネスだのの親戚。




