13.「そんなの入れないでっ」
走る、走る、ひたすら走る。先ほどまで慎重に進んでいた暗い洞窟を、脇目も振らず、無我夢中で。
背後からは何十匹という魔物が追いかけてきていた。これまで洞窟内で遭遇したものだけでなく、跳茸や巨芋虫、大蜥蜴も混じっている。これにブラッドオックスを加えれば、日出郎がこの世界で出会った魔物のオールスターだ。
「信じ、られ、ませんわっ。まさか、ティコが、魔物の、手先、だった、なんてっ」
息を切らせながら、チェイネが言う。彼女のすぐ後ろにまで、一匹のゴブリンが迫っていた。
少しだけ速度を落としたハチェトリーが、一瞬だけ立ち止まって背後を向くと、刹那の集中の後に召術を放つ。
「〈小塊〉っ」
後方に続く女性に追いつかれるより早く、筍状の石が中空より発射され、迫り来るゴブリンを迎撃した。
「あ、ありが」
「いいから、走って!」
呆気に取られたチェイネに礼を言わせる間もなく、少年は再び走り始める。もんどり打って倒れ、後続に踏みにじられるゴブリンのことなど、目にもくれない。
ちらとその様子を見やって、ジャベリナは内心で口笛を吹いた。足を止めるタイミングといい、術を放つまでの速度といい、完璧と言って良い。
帯電してチェイネを巻き込みかねない〈小雷〉ではなく、発射地点をある程度は動かせる〈小塊〉を選択したのも、なかなか冷静だ。
少女の視界の端を、長く太い影が掠める。天井近くを、信じ難い速度でクロウラーが這っていた。
狭い通路では彼女の獲物は操り難く、どうしたものかと逡巡すること一瞬。
「知るかヨッ」
跳びかかって来た大蜥蜴に対し、疾走の勢いを殺さぬまま、回し蹴りを放つ。か細い足は苛烈な勢いを持って、無様に開いた蜥蜴の顎を打ち砕いた。
スカートが大胆にまくれ上がり、黒いレース飾りの下着が露出したが、まあ見る者もいまい……と思ったら先頭を行く日出郎が、疾走を止めぬまま半身になっており、がっちりと目撃していたようだ。
大蜥蜴の襲撃を敏感に察知した結果ではあるのだが、なんとなく釈然しないものを覚え、回し蹴りから更に跳躍し弛んだ尻を蹴り飛ばす。
(しかし、こりゃ参ッたぜ)
一匹一匹は対処できなくもないが、とにかく数が多い。通路が狭いのでまだ捌けているが、足を止めてしまったら、やがては物量に圧倒されてしまうだろう。
それは先頭を切って走る日出郎も、痛感していた。まっすぐ走れと言われたが、このまま元の岩場に戻ってしまったら、その物量を押しとどめる手段もない。
かてて加えて、そこにはカタパルトロールもいるのだ。
「チェイネさん! どっか別ルートってあるんですかっ!?」
「岩場から、数えて、三番目の、分かれ道が、上の、方に……っ」
後方に尋ねると、息も絶え絶えな返事が返ってきた。
彼女も体力がない方ではないが、状況の唐突さと切迫さに、調子を保てずにいるのだろう。
「……あれかっ」
ついさっき来た道だ、覚えはある。クランク状になった道の途中に裂け目があり、急な斜面に繋がっていた。
「ジャベリナ、先を行ってくれっ。チェイネさんも。ハチェトリー、俺が殿を務める、一発ぶちかましてから追いかけるんだ」
「はいっ」
女性二人を先行させ、後方を窺う。もうすぐそこまで魔物の集団が迫っていた。
「――〈大雷〉!」
さすがに封じられることもなく、狭い通路を乱舞した稲妻が、魔物どもを打ち倒す。流星蛇行刀の効果か、生き延びた魔物もほとんどが感電状態で動けないようだ。しかし神経も筋肉もないスケルトンビだけは、欠けた体を再生させつつ迫ってくる。
振り翳された手骨の一撃を、割り込んだ日出朗が剛毅の大盾で受け止めて、押し返した。倒すのが目的ではないし切りもないのだから、そのまま後退し、先んじて裂け目に飛び込んだハチェトリーに続く。
勾配のきつい斜面は、足だけで登るより、手足を使って這い上がる方が早そうだった。松明を後方に放り捨て、大盾の革帯に腕を通すと、帯は手に持つ時よりも更に伸張する。どういう仕組みか疑うが、今は有り難く肩に負うようにし、斜面を這い登った。
後方からは鳥骸骨の他、死体を踏み越え進んで来たクロウラーやミュルミドンが迫る。図らずも地下迷路に乗り込む前にハチェトリーと交わした会話のとおり、なんともぞっとしない状況だ。
先を行く少年が気を利かせて、〈蛍火〉を己の腰あたりに移動させてくれたので、闇に行く手を遮られることはない。法衣の裾からちらちら覗く白い足に視線を奪われそうになるが、そんな場合でもないので登坂に集中する。
この灯りは敵の目印にもなっているかな、という考えが過ぎるが、追っ手は骨に蜥蜴に蟻だ。視覚に頼っていない可能性は高いし、気にしても仕方ないだろう。
(地面に〈小凍〉を撃ち込んだら、滑って登れなくなったりしないかな)
ふとそんなことを思いついたが、背後の様子を見ようとした瞬間、振り回されたスケルトンビの手骨が脹脛を掠めた。
「いってぇ!」
どうも、余計なことをしている暇はなさそうだ。心配げな声をかけてくるハチェトリーに問題ないよと告げて、なお接近してくる鳥骸骨には蹴りをくれてやった。効果などほとんどなく、大蜥蜴まで接近してきたので慌てて逃げる。
くねる斜面を這い進むうち、少し道が広くなった。角度も緩くなり、普通に走れるようになる。前方に微かな光の線が見え、なにかと思えばそれは行き止まりに穿たれた亀裂であった。
「オレはどうにか抜けられるが、乳猫はおッぱいが邪魔で通れなさそうだな」
「さっきは聞き落としましたけど、『乳猫』ってひょっとして私のことですの!?」
亀裂の向こうを窺っていた少女の呟きに、チェイネが噛みつく。
ジャベリナのような人物から『おっぱい』なんて単語に出てくる、それだけでもう、なにやら温かな気持ちになる日出郎。
「他に誰がいんだヨ、あァン?」
「ほ、誇り高き獅子の民を捕まえて、よりにもよって、なんたる侮辱っ!」
「お二人とも、漫才をやっている場合ではないですよっ」
ぎゃあぎゃあと喧しいことだが、確かにハチェトリーの言うとおり、仲良く喧嘩をしていられるほど悠長な状況でもない。日出郎たち同様に斜面を乗り越えてきた魔物どもが、狭い通路を押し合い圧し合いしながら迫って来ていた。
肩から抜いて突き出した大盾が、出鱈目に突きこまれた攻撃を受け、連続した鈍い音を上げる。
「あんまり狭いと俺も通れない! 適当に掘り崩せるか!?」
「しゃあねェ、なッ!」
背後からなにやら派手な音がするが、魔物どもを押し留めるのに必死で、振り返る余裕がなかった。
「ちょ、そんな大きいの無理ですわっ」
「馬鹿お前、これくらいイケるッて」
「わーっ、やめてやめて! 無理無理、そんなの入れないでっ」
言葉だけ聞いていると如何わしいが、ジャベリナが槍を使って一際巨大な岩を穿り出そうとしているだけである。
しかしハチェトリーが制止したのも尤もで、安定の悪い所を不用意に崩したため、腰くらいまでありそうな岩が手前に向かって転がり込んで来た。
「勇者様、避けてぇっ!」
「えっ、ちょ、なに!?」
直前の会話で腰砕けになっていた日出郎だが、辛うじて壁面に身を押しつけ、背後から襲いかかる岩を避けることに成功する。
たまらないのは嵩に懸かって攻撃していた魔物たちで、勢いのつき始めていた岩の直撃をもろに受けてしまい、周囲を巻き込みながら急斜面を転がり落ちていった。
光の届かない暗闇の向こうから、ゴブリンのものと思しき悲鳴が重なって響く。
「んぁんっ!?」
何故かハチェトリーまで声を上げた。一歩間違えば自分も魔物側だった、という事実に戦慄していた日出郎だが、すぐに少年の異変の原因に思い至る。
「え? 今のでレベルアップ!?」
「は、はい……そうみたい、です」
【ハチェトリー・フォンテ・ブラウム】
【天人種・ラフガルド王国人/男・14歳/召導師Lv.7】
【体10 敏13 感14 知17 精23|HP47/47 LP71/65(71) EXP3/147】
LPの最大値が妙な表記になっているのは、流星蛇行刀の効果だろう。
他の人に渡して、また戻してもらったらどうなるのだろう、なんて疑問が湧く。しかし、ただ現在LPが減るだけの結果になったら目も当てられないので、検証は今の状況を切り抜けてからすることにした。
「余ってたのと合わせて、技能点が4点あるのですが、どうしましょう勇者様……〈密林〉の召術技能を上げるか、追加の“術式”を習得しようかと思うのですが」
「え? あなた、なにをおっしゃってますの?」
少年の問いに、隣で聞いていたチェイネが小首を傾げる。そういえば普通の人は『ステータスウィンドウ』は見えないんだったな、と今更ながらに自分たちの優位性を思い知った。
「……いや。まともにトロールと組み合うより、今は後ろから追ってくる連中を捌いて逃げ切ることを考えよう。〈雲海〉の召術技能を4レベルに上げてくれ」
「はい、わかりました」
すっと目を虚空にやっただけで技能の向上は完了したのか、少年のLPが4点増加した。
「いや、わかりました、で上げられるってものじゃないでしょう?」
「ァーッたく、残念な頭してんな、おッぱいライオン。オレらは能力を自分でいじくれるんだヨ、察しろや」
一人戸惑っているチェイネに、さも当然のようにジャベリナが勝ち誇る。いやお前もできるなんて知らないよ、と突っ込みたかったが、背後からの物音が大きくなりつつあった。
また魔物が押し寄せてくるより前に、先へ進まなければならない。雑言に反論しかけたチェイネを宥め、掘り広げた亀裂を越える。
空間がぱっと開け、頭上から陽の光が差した。
その竪穴は壁面の凹凸が襞のように陰影を作り、細かな塵がきらきらと光っている。屋根の軒のように突き出したその岩場から、橋の形で残った岩盤が伸びる。眼下を覗けば。
「ぶろぉあ、ぼろろぉっ(ああくそっ、勇者はまだだか)!?」
カタパルトロールが、出鱈目に大型鉄槌を振り回して岩を砕いて回っていた。他の魔物も散在し、巻き込まれないよう遠巻きにしている。けっこう大騒ぎをしていたはずだが、まだ頭上の自分たちには気づいていないようだ。
無言で頷き合い、そろそろと、長さ15メートルほどの岩の橋を渡り始める。まずはジャベリナ、次いでチェイネだ。
天然の橋梁は、幅50センチほどしかない。手すりがあるわけではなく、平らでも水平でもない。身軽で怖いもの知らずのジャベリナや、ネコ科の獣人であるチェイネはともかく、ハチェトリーや日出郎には厳しいものがあった。
躊躇している間にも、背後からの気配は近づいてきている。先ほどの落石で警戒してはいるようだが、ふとしたきっかけで一気に襲いかかって来るような空気を感じた。覚悟を決めて、まずはハチェトリーを送り出そうとした、その時。
「ぎゃきゃあっ(そこでなにしとんじゃワレ)!」
眼下の岩場で、暴れ回るトロールから距離を取っていたゴブリンの一匹が、頭上を行く少女に気づいた。
「ごげーぎゃぁっ(待てやコルァ)!」
「チッ、くそが」
最前は日出郎が転がり落ちた斜面の道を、ゴブリンが駆け上ろうとする。先手を打って橋の上から投じられた二叉槍が、狙い過たず不幸な小鬼を串刺しにした。
「ぶろぉがぁっ(おめ、怨叉ぁ)!」
当然、カタパルトロールもそれに気づく。巨体には狭苦しい急坂に一歩一歩、足を捩じ込むようにして登り始めた。
その巨体の隙間に大蜥蜴や蟻人間が、かさかさと家屋害虫のような動きで己を押し入れ、橋の一方へと殺到する。
「くそ、お前ら早く渡れッ」
だっと橋を渡り終えるや、斜面の半ばに体を据えて、ジャベリナは新たな二叉槍をその手に生み出した。同時に四肢を黒い霧が覆い、すぐさま部分鎧へと変化する。
「――〈大嵐〉っ!」
続いたチェイネは橋を渡り切るより前に、必死の集中から〈大嵐〉を放って駆け寄る敵を吹き飛ばした。しかしそれで召力が底を突いたのだろう、腰砕けになって辛うじて壁面まで歩み寄る。
「ハチェトリー、行けっ。下を見るなよ、前だけ見て一気に渡れっ」
「は、はいっ」
おっかなびっくり最初の一歩を踏み出した少年は、むしろ日出郎の言葉に後押しされたように、中腰の姿勢で歩き出した。完全に腰が引けているが、無理からぬことであろう。
そのお尻を見守ることはできない。とうとう斜面を踏み越え、亀裂の向こうから魔物が姿を覗かせたからだ。
剛毅の大盾の革帯に再び腕を突っ込み、自由になった両手をそちらに向かって突き出す。
イメージするのは、全てを凍てつかす極北の猛吹雪……では、しっくり来なかったので、バイト先のバックヤードに置かれた業務用の冷凍庫の奥。
「――メガロ・コルドっ!」
貧困な発想であったが、青い光は問題なく日出郎の手から放射され、冷気と氷雪が暴風となって吹き荒れた。〈氷河〉の力を用いた中級の攻撃召術、〈大凍〉が今まさに殺到しようとしていた魔物どもを、まとめて打ち据え凍りつかせる。
「フォアッ!?」
橋の向こうでジャベリナが、珍妙な声を上げた。恥じらうように一瞬だけ、こちらを見てくる。
(あれ? ひょっとしてあいつ今、レベルアップした?)
そんな暇がないのはわかっているのだが、思わず象明を見てしまう。
【“怨叉”ジャベリナ・ジュベルナ】
【魔人種・ヘイベルグ帝国人/女・161歳/凶槍Lv.10】
【体20 敏21 感18 知11 精18|HP79/79 LP45/45 EXP1/240】
確かに力量が成長している。いつからそうだったのか判然としないが、彼女も日出郎の〈共闘共栄〉の影響下にあるようだ。仲間として認められていることがわかって、少し嬉しい。
「ジャベリナ! 召術技能を……」
「わァかッてるヨ、そんくらイッ!」
上手い具合に、技能点も余っていたようだ。まあ実際3レベル技能を複数抱えているのだから、技能点を入手した端から使うような真似はしていないだろう。
「……きたキタ、きたゼェッ! こいつがそうかッ!」
恍惚となって身悶えしていた少女が、てらてらと濡れる唇をちゅろりと舐めると、やおら手にした槍を振り翳した。擲つ構えというより、野球の投手の振りかぶりに近い体勢だ。
その槍の、二叉の先に、赤黒い炎が灯る。炎は瞬く間に穂先全体を覆い、そしてジャベリナはその槍を、じりじりと迫るカタパルトロールとその他の魔物どもに――投げつけた。
「〈不知火一閃〉ッ!」
劫ッ、と空間ごと侵食するような燃焼音とともに、火の線が走る。その軌跡に寸毫遅れて、圧倒的な熱と爆発が続いた。
「ぶごろぉ(うおお)おおっ!?」
カタパルトロールの巨体が、揺らぐ。射線上にいた魔物は上半身を大きく穿たれ絶命していたが、流石にトロールを屠るほどではない。だが炎槍の一撃は予想外であったか、巨体を仰け反らせ歩みを止めた。
ぞっとするような火傷が、その脇腹に刻まれている。階下の魔物のうち、ゴブリンどもは完全に腰が引けていた。
しかし感情の見えない蟻人間やそもそも精神活動さえなさそうな鳥骸骨は、意にも介さず再び斜面を登り始める。凍りついた同胞の遺骸を乱雑に放り除け、橋の袂で踏み留まる日出郎に襲いかかった魔物たちも、同様で。
そしてカタパルトロールもまた、痛みに対して怯むよりも昂ぶり、改めて手にしたハンマーを振り上げる。
「オラおッぱい! さッさと登れェッ!」
「最早、動物の名前ですらありませんのっ!?」
ジャベリナが、壁面にもたれかかったままでいるチェイネを、後ろ手に押した。一方ハチェトリーも震えながらも、どうにか橋を渡り切ろうとしている。
けれど日出郎は盾を構え直し、殺到する魔物どもの攻撃を受け止めるのに、精一杯になってしまっていた。
じりじり下がるうち橋の上に追い立てられ、入れ代わり立ち代わり打ち込まれる攻撃を、、不安定な姿勢のまま必死になって盾で止めるしかできない。
幅50センチの橋を、後ろ向きに渡る。しかも、何度となく続く攻撃を捌きながら。どんな無理ゲーだよ! と脳内で喚きたくなるが、そんな暇さえなかった。
「勇者様、姿勢を低くしてっ! ――バレビン!」
言われてもそう自由には動けなかったが、首を竦めるくらいはできる。その頭上を、蛇のように踊る稲妻が薙いでいった。音と光こそ派手だが、さしたる威力はない……そう思ったのも束の間だ。
稲妻に撃たれた魔物どもは軒並み硬直し、体勢が崩れていたものは哀れ、眼下へ落ちていく。
それは少年が先ほど覚えたばかりの、〈雲海〉の力によって召術に対する抵抗力を減衰し、追加の効果で対象に麻痺を与える召術〈雷縛〉だ。流星蛇行刀の効果もあってか、麻痺などしなさそうなスケルトンビまで固まっている。
これを好機と日出郎は、へっぴり腰で向きを変える。バランスを崩して落ちそうになるが、盾ともう一方の手とを突いて、必死に橋にしがみついた。そのまま腰を下ろし、這いずるように橋を進む。格好悪いが、落ちるよりはマシだ。
見ればチェイネとハチェトリーは既に出口、日出郎たちがやって来た通路に移動し終えている。ジャベリナは雑魚をいなしつつ、狭い斜面で思うように動けないカタパルトロールを翻弄していた。
(なんとか、このまま、向こうまで……)
あと数メートル。立ち上がり一気に駆け抜けてしまえば、どうにかなる。そう思った瞬間、どこかから硬質な音がした。
「げッ、ちょッ、待てヨッ!」
焦るジャベリナの声。見ればトロールが体を丸め、その表皮を岩と化させていた。少女は慌てて縛魂叉槍の能力を発動させようとするが――
「ぶぐろ(喰らえ)っ!」
――それよりも早く、砲弾と化したトロールが飛んだ。周囲の魔物ごとジャベリナを弾き飛ばし、橋の袂に激突する。飛距離が短く、直撃も喰らわなかったので、日出郎に大きなダメージはなかった。
だが、橋はそうもいかない。度重なる震動と衝撃に耐え、それなりの重量を支えはしたが、トロールの着弾が止めとなり……崩壊した。
【黒の下着Lv.5】
実は意外と高級品。魔人種は染織・縫製の技術に長けており、他種族と比べると服飾のレベルが軽く一世代は進歩している。典型的なファンタジー世界なのにミニスカートやボンテージが存在するのは、魔人種の仕業である……というご都合主義的な設定。
【流星蛇行刀の増加LP】
現在LPは参照時や減少時に毎回『最大値の何%か』を再計算するので、一時的に他者とやり取りしても、問題はない。
【大凍】
〈氷河〉系3レベルの範囲攻撃召術、消費LP10。追加効果で稀に氷結。
【不知火一閃】
槍矛Lv.4、召術:〈火山〉Lv.4で修得可能な妙技、HP・LPをともに10点消費。槍の穂先を炎で包んで威力を高める技であるが、ジャベリナの愛槍縛魂叉槍は投擲時に半ば非実体化する性質を持つため、高熱源に指向性を持たせて投射するような効果を発揮している。
【雷縛】
〈雲海〉系4レベルの、範囲に対し召術に対する抵抗力を減衰させる召術。消費LP7、追加効果で対象に麻痺、付与率は攻撃召術の倍程度。




