たまには自分の世界について語ってみよう
翌日。私はいつも通り明菜ちゃんたちの訓練に付き合っていた。今はティアシャインのクリスタルを使った強化モードの訓練だ。
コツを掴んだのか、強化状態はリッパーたちと戦った時のように魔力量が二倍になってる。すごい強化だよね。
そんな二人がやっているのは戦闘訓練。ティアフレイムとティアアクアの模擬戦だ。
いやあ……。正直、私が教えられることってもうないんだよね。私だって戦いにそこまで詳しいわけじゃない。私たち魔女は自分たちの魔法の研究に没頭して、その結果として莫大な魔力を得て、その魔力で圧殺する、みたいな感じだから。まともな戦い方はよくわからんのです。
なので、二人には基本的には模擬戦をするように言ってる。自分と近い実力の相手と戦うのが一番いいと思うので。アニメでもそう言ってた!
私はもう見守り役だね。楽なお仕事です。あっはっは。
そうしてのんびりと見守って、休憩の時間になった。適度な休憩は大事です。
「師匠。聞いていいですか?」
「おん。どうしたの?」
「師匠の師匠はどこに……?」
ああ、そう言えば言ってなかったっけ。
「お師匠なら買い物をして帰ったよ」
「え……。もう?」
「おん」
本当にただ買い物に来ただけだったみたいだからね。お師匠はそういう人なのだ。振り回されるこっちとしてはたまったものじゃないけど。
そんなことを話したら、なんだか静香ちゃんがそわそわとし始めた。ちらちらと私を見てる。なにそのかわいい仕草。とても気になる。
「静香ちゃんはどうしたのかな?」
「ん……。あの……。師匠の、お知り合いの魔女のこととか、聞いてみたくて……」
「え……。興味あるの?」
「ある!」
「ええ……」
正直、二人には何の糧にもならない話だけど……。それでも、興味があるのなら、軽く教えてあげるのも悪くないかな。
「そうだねえ……。まずは魔女について、だけど……」
世界によって定義はそれぞれ違うけど、私の世界では魔女というのは、魔法を極めようと研究し、その結果として不老となってしまった者を言う。
この不老という条件がそうそう達成されることがないから、私が魔女になるまでは、魔女と言えばお師匠を指す言葉だった。
「不老……」
「人間をやめた愚か者だってことだよ」
私も、お師匠も、頭のネジが何本も外れてるんだよね。否定できないし自認してるとも!
「で、お師匠は貪欲の魔女と呼ばれてる。世界中の魔法を知りたいという欲求で魔女になった人だね」
「あの綺麗なお姉さんですね!」
「お姉さん……! ぶはっ!」
「笑うところですか!?」
笑うところだとも! だってあの人、三千年以上生きてるから! お姉さんって! あっはっは!
私が笑っていたら明菜ちゃんは怪訝そうにしていたけど、気を取り直すように口を開いた。
「あの……。もう一人、いるんですよね?」
「あー、ね。いるよ。私の世界の魔女ではなくて、たまに来るお客様、みたいなものだけど」
隠遁の魔女。見た目はちっこい子供の魔女、だけど……。間違いなくお師匠よりも長生きだし、とても強い。敵対だけはしたくない。
「まあ、会うことはないだろうから気にしなくていいよ」
「ちっちゃい魔女……! 会ってみたい、です……!」
「おん……。ないとは思うけど、来ることがあれば紹介するよ」
まず来ないとは思うけど、ね。
…………。なんだろう。フラグになってしまった気がする。来ないはず。来ないはずだ。うん。来たら困る! だから絶対に来ない!
「ほ、ほらほら! そろそろ訓練を再開しないと! またいつ襲ってくるか分からないんだからね!」
「は、はい!」
というわけで、また二人の模擬戦を見守ることにする。所詮は模擬戦だけど、でも学ぶことも多いはずだ。
個人的には……。一人が洗脳されて、その洗脳を解くために命がけで戦う、みたいなシーンを見てみたいんだけど……。多分無理だから模擬戦で我慢しよう。強化イベントを終えた二人が、今更洗脳を受けるところなんて想像もできないから。
あ、でも、そうだ。模擬戦の再開の前に聞いておこう。
「明菜ちゃん。静香ちゃん」
「はい?」
「ん……?」
「次、あの幹部が来たらどうするか……。決めてるのかな?」
これは、大事なことだから。前回はお師匠が乱入した結果、うやむやになってしまったけど、またあいつらと戦うことになれば必ず同じことになるはずだ。
その時にどうするのか。あいつらを殺す覚悟ができているのか。
明菜ちゃんたちは顔を見合わせて、そして言った。
「シズちゃんとたくさんお話しして、決めました」
「うん……。わたしたちは、殺さない。絶対に」
「へえ……?」
それはつまり、あいつらを見逃すということ。でも、そうなると……。
「あいつらは反省なんてしないと思うけど。何度も戦うことになるよ」
「はい……! 何度も! 何度でも! 戦って、勝ちます!」
「あいつらが諦めるまで、戦う」
「…………。なるほどねえ」
それはまた……。うん。この子たちらしいというか、なんというか……。
ああ、でも……。あっは……! いいなあ! いいねえ! ニチアサはそうでないとね!
「んふふ……。いいと思うよ。それが大変な道だと自覚しているなら、私が何か言うことじゃないしね」
「分かっています……! でも、誰も殺したくなんてないから……!」
ああ、本当に……。いいなあ。いいねえ。さいっこうだねえ!
「じゃあ、しっかり訓練しないとね。あいつらだってバカじゃない。いろいろ対策してくるだろうからね」
「はい!」
きっとあいつらとの戦いもいい訓練になるはずだ。がんばってもらわないと!
壁|w・)魔女さん側の設定解説。なお意味はない。




