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異世界帰りな最強魔女の気まぐれ観光 ~帰ってきた日本はニチアサヒロインが戦う世界でした~  作者: 龍翠
第三話 劇場版にもお邪魔する魔女さん

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変身シーンってとても大事なものだと思うの!


「でやあああ!」


 ティアフレイムが振り下ろした剣を、キャスティアが涼しい顔で杖を使って受け止める。そのまま風の魔法で吹き飛ばして、後方で魔法の準備をしていたティアアクアにぶつけて発動の邪魔をした。


「リッパーに話を聞いていたのですが……。思っていた以上に、弱いですね」

「くっ……!」

「その程度では、このティアクリスタルを取り返すことはできませんよ?」


 キャスティアが手に持っていた宝石を掲げる。淡く白く輝く宝石だ。とても綺麗だね。

 はい。そんな緊迫感のある場面を私はのんびり眺めています。隣には、それをはらはらとした様子で見守る叶恵ちゃん。その足は、恐怖からか震えていた。

 ふむ……。まあ、私からは何も言わない。急かしもしない。ただ見守るだけさ。気配を消す魔法を使ってるから、特等席でいつも通り傍観します。

 キャスティアがじっとティアフレイムたちを見つめながら言う。


「せっかくこうして会えたのです。あなたたちの持つティアクリスタルももらっていきましょう」

「誰が……あなたたちなんかに!」

「少なくとも、何も知らない子供よりも価値を分かっていると思いますよ?」

「……っ!」


 煽るねえ。ティアフレイムの顔は憤怒に染まってる。変身ヒロインがしていい顔じゃないよ。ティアクアの方もどことなく悔しそうだ。


「そのティアクリスタルは! 友だちの大事なものなの! 返して!」

「返してと言われて素直に返すバカはいないでしょう。欲しいのなら取り返してみなさい」

「……っ! あああああ!」


 おお、また突撃しに行ってる。なんでもいいけど、もうちょっと考えて行動しないといけないと思うんだけど。頭に血が上りすぎてるね。せっかくいろいろ教えてあげたのに……。

 ああ、また吹き飛ばされてる! ついでに手痛い反撃も! 炎を使うティアフレイム相手に、さらに強い炎の魔法で攻撃するって、なかなか煽ってるね、キャスティアも。

 いや、あれは余裕から、かな? それだけの差があるから。


「くう……」

「諦めなさい。あなたたちでは私に勝つことは不可能です」

「いやだ……! 絶対に、取り返す……! アクア!」

「ん……!」


 ティアアクアが杖を掲げると、空に大きな水球が現れた。結構大規模な魔法だ。邪魔されながらも、ずっと準備をしていたらしい。

 キャスティアもその水球に気付いて、驚いたようにわずかに目を瞠った。


「ほう……!」

「いけえ!」


 水球が真っ直ぐにキャスティアへと落ちる。ちょっとした建物ぐらいの大きさの水球だった。あの威力なら、無事ではすまないと思う。

 並の相手なら、だけど。

 大量の水は瞬時に凍り付き、砕け散って、そして無傷のキャスティアが立っていた。

 あらら。ティアフレイムもティアアクアも、絶句しちゃってる。そんな、なんて小さな声が聞こえてくるね。

 さて。さてさて。ここからどうするのかな。挽回できるのかな?


「これで分かったでしょう。あなたたちの持つクリスタルを渡しなさい。そも、幼い子供がこうして戦うことがおかしいのですから」

「……っ」


 それについては私も正論だと思うね!

 キャスティアがゆっくりとティアフレイムたちへと歩いていく。二人は……もう戦意喪失しているのか、ただ立ち竦んでいる。これは、もう終わりかな?

 ふうむ……。終わり。終わりかあ。あっけなかったなあ。

 ちょっとだけ残念に思っていたら、私の隣で同じように見ていた叶恵ちゃんが勢いよく走り出した。そのままキャスティアへと向かっていく。もちろんキャスティアはそれに気付……かない!

 いきなりだったからね! 私の魔法がかかったままなんだよね! つまりあの子の気配は消えたままなんだよね!

 そのままキャスティアに気付かれることなく彼女に激しく体当たりした。


「なっ……!?」


 これにはキャスティアも驚いたようだ。ティアクリスタルを叶恵ちゃんに奪われてる。あはは。ばっかだなあ。

 はい一番のバカは私です。介入しない手を出さないって言ってたのにね。さすがにこれは私の魔法ありきだったよね。

 …………。私は何も知りません。知らないふりしとこ。


「叶恵ちゃん!」


 驚いたようなティアフレイム……明菜ちゃんの声。叶恵ちゃんはさっきまで震えていたはずなのに、明菜ちゃんの隣に立った今は真っ直ぐにキャスティアを睨んでいた。

 おお……。かっこいい。かっこいいよ! こういうのでいいんだよこういうので!


「私は……まだよく分かっていないけど……!」


 叶恵ちゃんが、ティアクリスタルを掲げて叫んだ。


「ここで! 友だちを見捨てるのは違うと思うから!」


 ティアクリスタルが激しく輝く。これはあれですか! 変身シーンってやつですか!


「力をかして! ティアクリスタル!」


 そして目を覆ってしまうほどの光が周囲に満ちて……。その光が消えた頃には、純白の衣装に身を包んだ叶恵ちゃんが立っていた。

 明菜ちゃんたち、ティアフレイムにも通じる衣装だ。動きやすそうなミニスカートのドレスで、なぜか肩を露出させてる。手には槍が握られていた。


「私は、ティアシャイン! あなたの好きにはさせない!」


 おお、いい名乗りだね! 素晴らしい! これぞ変身ヒロイン!

 ところで……。変身シーンは? こう、服がほどけて、衣装を順番にまとっていく……。そんな変身シーンはどこにいったの? ねえ? ねええええ!?

 あれですか!? さっきの光で一瞬で変身ですか!? それはとても寂しいんですが! ちくしょう、現実は非情だった!


 私が嘆いている間に戦いはまた始まった。ティアシャインが合流したことで、他の二人もやる気になったらしい。いや、ティアシャインを一人で戦わせるわけにはいかないっていう気持ちかな? どっちでもいいよ。それでこそ変身ヒロインってやつですよ。

 剣と槍で同時に攻撃され、さらに水の魔法が細かく飛んでいく。大技は避けて、隙が少ない攻撃に徹することにしたらしい。いい判断だね。


「ちっ……!」


 キャスティアもかなりやりづらそうだ。どうにか対応してるみたいだけど、やっぱり三人相手は辛いらしい。さっきまでの余裕がなくなってる。

 当然、なのかな。キャスティアはどちらかと言えばティアアクアと同じ後方火力の戦い方だ。その真価は前衛がいてこそ輝くもの。さすがに一人で全部やれは難しいんだと思う。

 他の幹部は呼ばないのかな。気配から察するに、リッパーたちも旅館にいるみたいだけど。

 しばらく戦い続けて、キャスティアは舌打ちして後ろへと距離を取った。ティアフレイムたちは深追いせずに立ち止まる。正直そのまま突撃すると思ったのは内緒だよ!


「さすがに多勢に無勢……。負けはしませんが、このまま戦うのも時間がかかりそうですね……」

「逃げるの?」


 おお。今度はティアフレイムが煽ってる! それでいいのか変身ヒロイン!

 そんな煽りに、キャスティアは余裕の笑みを浮かべて頷いた。


「はい。逃げます。そも、今日は仕事をするつもりはなかったので」

「だったらどうして……!」

「宝物を見つけてしまった以上、可能なら手に入れたい。そう思うのはおかしなことですか?」

「…………」


 納得いってなさそうな顔だけど、キャスティアの言葉はそのままその通りなんだと思う。旅行先で見つけたから手を出してみた。ただそれだけ。だから何の準備もなく、直接乗り込んだんだろうね。他の幹部ぐらいは手伝ってやれよとちょっと思うけど。


「それでは、さらばです」


 キャスティアはそう言うと、その場から姿を消した。…………。これで終わり、だね。


「はあ……! 今回は、本当に危なかった……! ありがとう、叶恵ちゃん! 助かっちゃった!」

「ん……。とても、感謝。ありがとう」

「ううん……! 私の方こそ、すぐに助けられなくてごめんね……」


 変身を解いて話を始める三人。新しい仲間を迎えての会話。とてもいいと思います。このまま聞いていてもいいかな?


「叶恵ちゃんはどうしてここに? 旅館から結構離れてると思うけど……」

「うん。シオンさんに連れてきてもらったの」

「え、師匠いるの!? どこに!?」

「あそこに……」


 やっべ。

 私は慌ててその場から転移した。私は! 何も! 知らないので!


壁|w・)変身シーンが見れなくてむせび泣く魔女さん。


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― 新着の感想 ―
これよく考えると 正義側が悪かったパターン? あときちんと会話しろ案件?
変身しーんが見れなかった…(TOT) シオン「同志よ! どうしょう!」
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