表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界帰りな最強魔女の気まぐれ観光 ~帰ってきた日本はニチアサヒロインが戦う世界でした~  作者: 龍翠
第三話 劇場版にもお邪魔する魔女さん

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
16/18

怒らせたらいけないものがあるってお師匠が言ってた!

「あの……叶恵ちゃん」

「うん。どうしたの?」

「えっと……。お、お泊まり! お泊まりしていってよ!」

「へ……? お泊まりって……。むしろ明菜ちゃんたちが私の家にお泊まりしに来てるみたいなものだよ?」

「そ、そういう意味じゃなくて……!」


 なるほど。明菜ちゃんは叶恵ちゃんに見守れる場所にいてほしいと思ってるみたいだね。そっちの方がすぐに迎撃できるから。

 叶恵ちゃんはくすくすと小さく笑って、言った。


「冗談だよ。でも、いいの? だってわたし、部外者だよ?」

「い、いいの! お父さんたちもきっと許してくれるから!」


 そうだね。良介さんたちなら、笑って許してくれると思う。

 そんな話をしていたところに、良介さんたちが戻ってきた。湯上がりほかほかだ。どうやらキュルも連れて行っていたようで、良介さんの頭の上でぐったりとしている。


「あ……」


 明菜ちゃんがそのキュルの様子を見て何かを言いかけたけど、すぐに口を閉じた。魔法のことを知らない叶恵ちゃんがいるからね。正しい判断だ。

 そして叶恵ちゃんの方は、良介さんの頭の上を見て、目をきらきらとさせていた。


「わあ……。おじさん、ぬいぐるみが好きなんですか!?」

「え? ああ、これかい?」


 良介さんが頭の上のキュルをむんず、と掴んで持ち上げる。扱いが雑!


「明菜のぬいぐるみだよ。かわいがってるぬいぐるみだから、温泉にも入れてあげたんだ。ああ、もちろん、桶にお湯を入れてぶち込んだだけだからね」


 なんだろう。言葉の端々に棘を感じる。温泉でもわりと雑に扱われていたのかも。キュルもぐったりとしてるし。ざまあ!

 明菜ちゃんもそれを察したみたいだけど、苦笑いするだけで何も言わなかった。

 良介さんも戻ってきたので、改めて叶恵ちゃんのお泊まりを相談。予想通り、良介さんは快諾していた。一応旅館の女将さんにも連絡して、お世話になる代わりにとお夜食とかもらったりして……。なんだか軽いね。これがニチアサ世界!

 そんなわけで、子供三人は一部屋に集まって今も雑談してる。楽しそうだなあ。私? さすがに子供だけの部屋に入るのもなんだし、良介さんたち側にお布団を敷かせてもらったよ。


「さて、シオンさん。何があったのか……、いや、何が起こるのか、聞いてもいいかな?」


 あっはっは。ですよねー! 察するよねー! なんとなくそんな気がしたよ!

 隠すことでもないので、叶恵ちゃんが持っているのが魔法の石であること。おそらく今晩にでも襲撃があるだろうことを伝えておく。

 良介さんと桐子さんは困ったように眉尻を下げた笑顔を浮かべた。


「まったく……。せっかくシオンさんのご厚意で来れた旅行だっていうのに……。すまないね、シオンさん」

「い、いやあ。全然いいですよ! あっはっは!」


 ごめんなさい。むしろそれを期待してました。今も楽しみにしてます。

 そんなことは口が裂けても言えるはずもなく、私は愛想笑いをするしかなかった。いや、なんだろう、良介さんと桐子さんには罪悪感を覚えてしまう。やめないけどね!




 夜。みんなが寝静まる時間。具体的には午前一時。

 良介さんと桐子さんは少しお酒を飲んだためか、もうすでに就寝してる。私も飲みたかったところだけど、さすがに自重しておいた。

 いやだって、多分良介さんたちは、いざという時は私がどうにかすると思っているだろうなって。それなのにお酒を飲んだら心配させてしまいそうだ。

 実際には助けるつもりはないけど。見物するだけだけど。でも、うん。さすがに死にそうになったら、死なないようにぐらいはするよ。

 そうして、のんびり待って……。隣が騒がしくなった。


「あなたは……ティアフレイムですか」

「ふふん! あなたたちが考えることなんてお見通しだよ!」

「叶恵には指一本触れさせない……!」


 この声は……キャスティアかな? お仕事大変だね。


「え、え、なに!? なにこれ!?」


 そして当たり前だけど叶恵ちゃんも目を覚ましたらしい。これだけ大騒ぎすれば当然起きるよね。むしろ寝ていたままだったらおもしろかったかも。


「そこの小娘。その石を渡しなさい」

「叶恵ちゃん! 渡さなくていいから!」

「え、え、え、え、え……」


 うーん。ふすま越しだから顔は見えないけど、これは絶対に叶恵ちゃんは大混乱だろうね。あっはっは。がんばれ一般人。

 ちなみに良介さんと桐子さんには起きないように結界を張っておいてある。二人にはこの大騒ぎは聞こえていないはず。起きる頃には全部終わってるから安心してね。


「確かにもらい受けました。それでは、さらばです」

「ああ!? ま、待て!」


 そんな声の後に、ガラス……というか壁をぶち破る音。少し間をおいて、旅館が、とショックを受けたような叶恵ちゃんの声。

 うん。加減しろバカ。せめてお外で暴れなさい。子供じゃないんだから。

 いや、明菜ちゃんたちは子供だったか。じゃあ仕方ない……のかな?

 さて。それじゃあ、私も見物しに行くとしますか!


「はーい。邪魔するよー」


 ふすまを開けて隣の部屋に入ると、思った以上の惨状になっていた。テーブルはひっくり返ってるし壁や畳には大きな傷が入ってるし……。マジで何やってんだあのバカども。

 そんな部屋の真ん中で、へたり込む叶恵ちゃん。かわいそうに。怖かっただろうね。


「りょ、旅館が……。お父さんたちの、旅館が……」


 おん。石を取られちゃったみたいなのに、そっちですか。なかなか強い子みたいだ。いいね、好きだよそういうの。


「やあやあ。叶恵ちゃん。大丈夫かな?」

「あ……シオンさん……」


 振り返った叶恵ちゃんは、ちょっと泣きそうになっていた。怖かったのもあるだろうし、部屋がめちゃくちゃにされたのもあるだろうし……。うん。かわいそう。あっはっは。


「いやあ……。めちゃくちゃにされちゃったねえ」


 ぴくり、と叶恵ちゃんの肩が震えた。なんだか嫌な予感がするぞ?


「まったく、困ったもので……」

「シオンさん……。何か、知ってるんですね?」


 ゆらりと立ち上がる叶恵ちゃん。ゆらゆらと、こっちに歩いてくる。それはまるで幽鬼のようで……。いやあ、すごいね! あっはっは!

 どうしよう。普通に怖い。

 がしりと、私の両肩を叶恵ちゃんが掴んできた。ちょっと力強くないです?


「シオンさん……」

「は、はい……」

「教えて、くれますね?」


 そんな、ただの人間のガキの言葉。んふ。ガキが調子に乗るもんじゃないよ。私はこれでも魂魄の魔女と呼ばれて、私の世界ではかなり上澄みの強者である自負があるんだから。


「はい、もちろんです」


 なので危機管理もばっちりです。け、決して怖いから素直に教えるわけじゃないんだからね!


壁|w・)が、ガチギレされたからって怖くなんてないんだからね!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
>「教えて、くれますね?」 シ(……あ、これ逆らったり茶化したらアカンやつだ)
世の中にわ理屈を超えてコワいモノがある…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ