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雑種と未来人の現代ダンジョン  作者: たろっぺ
最終章 雑種と未来人
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203/206

最終章 エピローグ 中

最終章 エピローグ 中




サイド なし



 東京某所。


 大泉邸。


「……そうか。佐藤の仇を、獲る事が出来たか」


「はい」


 その客間にて、3人の人間が机を囲んでいた。


 家の主である、大泉元総理。その正面に座る、遠海虎毬。


 そして、大泉元総理から見て右斜め前の位置に、飛田臨時総理が座っている。


 着物姿の元総理は、静かに、しかし長いため息をついた。


「……その様子からして、満足のいく敵討ちではなかったのだね」


「元より、敵討ちとはそういうものでしょうから」


「違いない」


 虎毬の淡々とした答えに、大泉元総理は力なく笑った。


 その顔に、以前の覇気はない。


 どこかやつれた印象の彼に、虎毬の尻尾がゆっくりと左右へ揺れる。


「……大泉元総理」


「すまないね。息子の仇が……泉原がバルドルの結界に巻き込まれて死に、そしてバルドルも討たれたと聞いてから……どうにも、気力が出なくてね」


 苦笑する彼に、彼女は目を細めた。


「しかし、まだ我らにはやるべき事が多く残っています。バルドルも、神格ではあっても所詮は『魔物』。問題の1つが解決したに過ぎません」


「その事だが、遠海君」


 飛田臨時総理が、眉を『八』の字にしながら口を開いた。


「例のアレは本当かね。あの『ヤヒロ文書』は」


「はい。残念ながら、確度は高いかと」



『ヤヒロ文書』



 それは、虎毬が『株式会社かぐや魔道具開発部部長』、矢広耕太から得られた霊脈や魔物に関しての情報を纏めた文章である。


 情報源である彼には内緒で作成されており、もしも知られたら強い抗議が送られるだろう。主に名前の件で。


「霊脈の活性化はバルドルの影響を受けていた時よりも落ち着きました。しかし、それでも活性化自体は続いています」


「『神代回帰』は、バルドルが起こしたものではない……か」


「はい。彼は、これは『周期』であると。この星にとって、サイクルの1つに過ぎないと言っていました」


「だが、かつての神代も永遠は続かなかった。今度の神代は、どれほど続く?」


「矢広耕太にも、かつての神代がどの程度の期間続いたのかは不明だそうです。ただ、『前回よりも長い』可能性が高いと」


「それは、なぜ」


「……人間は、たとえ異能者でなくとも他の生物よりも魔力量が多い。だったか」


 ぽつりと、大泉元総理が呟く。


 それに、虎毬は頷いた。


「はい。人が大勢産まれ、大勢死んでいく。それにより霊脈は成長し、遥か昔の神代よりも大量の魔力が流れる様になっている……と、彼は仮説を述べていました」


「……すぐに終わってくれるとは、思わない方が良いか」


「では、神代が長く続いた場合、初期の頃に亡くなった人間が魔物として復活する可能性は?」


「かなり低い。との事です」


 虎毬はそう返事をしてから、お茶を一口すすった。


「生前に『魔性へ堕ちる』……魔物と何らかの強い契約をするか、魔物へ近づく様な行為を繰り返した場合は、死後魔物化する可能性はあります。ですが、そうでなければ死後その魂は無色透明な魔力になり、大気中の魔力へ溶け、その後霊脈に消えていくそうです」


「そうか……それは、朗報かな」


「少なくとも、かつての仲間を切らずに済みます」


 もっとも、『魔物化』を目当てにやらかす阿呆も出てくるかもしれないが。と、虎毬は内心で呟く。


 人がもつ不老不死への執念とは、時に狂気としか言えない行動に導くものだ。


 ダンジョンでの復活を願い、あえて魔物化を目指す輩もいるかもしれない。その成れの果てが、現代に魔物として生き返っているケースもある。


「……魔物が今後も出てくる事。ダンジョンが増え続ける事は、分かった。では、バルドルやロキの事なんだがね」


 額に滲んだ嫌な汗をハンカチで拭いながら、飛田臨時総理が喋る。


「彼らは、『前の神代』から生きていた。それで、良いのかな?」


「恐らくは、ですが。具体的にどうやってかは、矢広耕太にも分かっていないそうです。ただ、神代の終わりは大気中の魔力が少なく、魔力の……栄養価の高い人間も少ない為、力を蓄えるどころか常に餓死寸前だったとは思いますが」


「それでも、暗躍するには十分な力があった……か。嫌だねぇ。恐いねぇ」


 心臓が口から零れ落ちるのではと思うほど、飛田臨時総理は深いため息をついた。


 その顔は真っ青である。ここ数日ストレスと忙しさで眠れていない事もあって、10歳は老けて見えた。


「魔物という段階で、非異能者には見る事も触れる事も出来ませんから。やろうと思えば、神として振る舞い信者を得る事も容易でしょうからね」


「そして、『生き残り』が彼らだけとは限らない」


 大泉元総理の呟きに、虎毬が頷く。


「はい。そして、現状は高位の魔眼もちによる目視以外で、巧妙な擬態を看破する術は有りません。『アース』に所属していた異能者達も、バルドルの変身を見破る事が出来ていませんでしたから」


「……あ、ちょっとお腹痛くなってきた」


 飛田臨時総理が、青い顔で遠い目をする。


 早速1人、大気中の魔力へその魂を返しかけていた。


「飛田臨時総理。こちらをどうぞ」


「うん。これは?」


 そんな彼に、虎毬が懐から出した小瓶を差し出す。


「『変若の水』です。飲めば5歳は若返り、体内の病気は全て治ります」


「ああ、矢広君の……すまないが、頂くとしよう」


「ええ。彼の了解は得ています。ぐいっと、どうぞ」


「……うん」


 虎毬の言い方に警戒心を抱きつつ、飛田臨時総理は小瓶の中身を一息にあおった。


 すると、彼は目を見開く。


「おお……」


「効果が現れましたか」


「何てスッキリとしたのど越しなんだ……!舌を撫でていく果物の甘味。爽やかな味わいながら、弾ける様な香りが何とも……!」


「味の感想は聞いていませんが」


 感動に打ち震える飛田臨時総理に、虎毬はジト目を向けた。


 しかし、これは無理からぬ事であった。


 神代の霊薬。中には痛みを伴う物もあるが、『変若の水』はそういった物ではない。


 あるいは、人を堕落させかねない美味。それが、霊薬というものである。


「……はっ!んん。なるほど、確かに体の中がスッキリしたよ。5歳どころか、20歳は若返った様だ」


 正気を取り戻した飛田臨時総理が、小さく咳払いをした後自身の体を撫でる。


 ふくよかな体型と年齢もあって、あちこちガタがきていた肉体は全ての異常を取り除かれていた。


 抱えていた持病も、関節の痛みも、あちこち狭くなっていた血管も。何もかもが、医者が驚くほどに健康な状態になっている。


 もっとも、実際に若返ったのは5歳分。寿命は多少伸びたが、生活を変えない事にはまたあちこち体を壊すのだが。


 虎毬は、ニッコリと笑う。


「それは良かった。貴方には、まだまだやって頂く事が残っていますから」


 言外に、『お前健康になったんだから分かるよな?』と告げていた。


「うん。正直、そう言われる気はしていたよ」


 無償で差し出された霊薬の意味を察していたので、飛田臨時総理も驚かなかった。


 ちょっと胃から幻痛がしただけで。


「大泉元総理も」


「いいや。前にも言ったが、私は遠慮しておくよ」


 小瓶を取り出した虎毬に、大泉元総理は首を横に振った。


「しかし。貴方のお力がまだこの日本には」


「飛田君を始め、私以外にも政治や経済で頑張ってくれる者達がいる。老兵は、ここまでだ」


「私も、世間一般ではお爺ちゃんなんですが」


 霊薬の影響でちょっとだけ毛量が増えた頭を気にしながら、飛田がそう言う。


 だが、大泉元総理は苦笑を浮かべるだけだった。


「……私はね。私怨で国の方針に口を出した。それも、既に議員ではない状態で、裏からね」


「今更でしょう。政治とそういった裏側の事情は、切っても切り離せません」


「だが、ケジメは必要だ。何より……私は、体だけじゃなく心も爺なのさ」


 眦をつり上げる虎毬の目を、彼は真っ直ぐ見つめた。


「すまない。後は頼むよ」


「………………はい」


 長い沈黙の後、虎毬は頷いた。


 一瞬だけ彼女の眉間に皺が出来たのを、老人2人は見逃さない。だが、あえて忘れる事にした。


 彼らから見れば子供同然の齢でしかない、若者の苦悩と悲しみを見て見ぬふりをする優しさと、狡さがあるゆえに。


「私は残りの余生を、孫やひ孫と戯れて過ごすとするよ。頑張りたまえ、若人諸君」


「だから。私もお爺ちゃんなんですって」


「御意」


「ねえ、聞いて?私、臨時総理。一応だけど総理。ねえ」


「はっはっは」


「いや『はっはっは』でもないんですってば」


 増えたはずの髪の毛が早速減りそうになりながら、飛田臨時総理はお腹を押さえた。


「……露骨に苦労人っぽく振舞っているが、君は実際若者だろう?飛田君」


「何をおっしゃるのですか。私は貴方とそう年齢が離れて」


「心が、だよ」


 飛田臨時総理の言葉を遮り、大泉元総理が笑う。


 それは、枯れ木の様になってしまった彼が見せた、最後の『政治家』の顔であった。


「────まだまだ、野心モリモリじゃない」


「……はて」


 ニッコリと、無害そうな顔で飛田臨時総理は笑う。


 株式会社かぐやとの繋がり。大泉元総理から受け継いだ数々の伝手。


 そして何より、窮地こそ好機という事実。


 政治家というものは、総じて『英雄』にはなれない。自身の手で己に勲章を与え、ハリボテの英雄になるでもない限り、なれるとしてもそれは死後だ。


 だが、例外がある。それは、有事の際の政治的トップ。あるいはそれに近い存在。


 英雄の肩書ほど、強い『選挙看板』はない。


 火中の栗を拾う役を他の議員達から押し付けられた飛田臨時総理だが────彼とて、魑魅魍魎が跋扈する政治の場で生きて来た妖怪だ。


 古狸は好々爺然とした笑みを崩す事なく、肯定も否定もしなかった。


 そんな2人の姿に、虎毬は小さくため息をつき。


「こりゃ。しばらく死にそうにないわね。この爺ども」


そう、誰にでもなく呟いた。



*    *    *



某県某所。


 車の通りも少ない坂道の歩道を、2人の少女がゆっくりと歩いていく。


「大門さん。本当に、良い人だったね」


「うん」


 菜々美の言葉に、『どちらの』と問う事もなく穂鶴は頷く。


 どちらの大門さんも、良い人だったから。あの鉄拳の老婆も、そのひ孫の大和撫子も。


 ひ孫と一緒に、彼女の墓前へと報告を終え、彼女ら2人は歩いていく。


 カランコロンと音が鳴り、その音を頼りに歩く穂鶴。彼女の手を、菜々美はそっと握った。


「んあ?」


「…………」


 疑問符を浮かべる穂鶴に、しかし菜々美は何も言えなかった。


 薄い、黒の手袋。握られた手に温もりも柔らかさもなく、あるのは無機質な冷たさと硬さのみ。


 そして、深く刻まれた罅。今にも砕けてしまいそうな、四肢。


 それが、穂鶴の現状であった。


「……ごめん、なさい」


 ぽつりと、菜々美の口から言葉が漏れた。


 無意識だったのだろうそれが皮切りとなり、彼女はひたすらに謝罪を繰り返す。


「ごめんなさい……ごめんなさい……!」


「菜々美」


「私が、捕まったから。私が、油断していたから。私が、弱かったから……!穂鶴も、大門さんも……!」


「菜々美」


 震える小さな体を、穂鶴が強引に抱きしめた。


 義肢が軋みをあげる事もいとわず、強く、ただ強く。


「穂鶴……」


「温かいでしょ」


「え?」


「私の心臓は、まだ温かい」


 押し付けられた体。身長差もあって、菜々美の顔が穂鶴の胸にくる。


 エルフの長い耳を、彼女の胸に押し付けて。菜々美は、小さく頷いた。


「うん……」


「謝らないで。菜々美は、悪くない。もしも菜々美の事を責める人がいたら、私がぶっ飛ばしてやる」


「え?」


「あ、いや。流石にすぐ暴力を振るうんじゃなくって、先に違うって叫んでからで」


「……穂鶴の口から、真っ先に誰かを害するって言葉が出たの、初めて聞いた」


「え?そう?」


 キョトンとする穂鶴の顔は、彼女の胸に顔をうずめる菜々美からは見えない。


 だが、直接見えなくとも手に取る様に分かって、妖精の様な顔をほころばせる。


「うん。初めて。穂鶴は……誰にでも優しいから」


「……そうかな」


「そうだよ」


「それは、私が色んな人に優しくしてもらえたから……かな」


「どうだろう。そうかもしれないね」


「うん。きっとそうだと思う。あの日も、沢山の人に助けられた」


 2人は、抱き合ったまま言葉を紡ぐ。


「でも……でもね。菜々美」


「うん」


「私は、菜々美が思っているほど優しくないと思う」


「え?」


 不思議そうな声をあげる菜々美を、穂鶴は自分の胸から離し。


 その閉じられた両目で、しかししっかりと彼女の顔を見た。


「だって。私は、百目鬼穂鶴は。金木菜々美の事が……!」


「……!?」


「す、すぅ……!」


 穂鶴の顔が、今にも火がつきそうなほど真っ赤に染まる。


 桜色の唇が、何度目かの躊躇いの後。


「す、すき」


 ────ブォオオオオオオン!


 彼女が全霊をかけて発しようとした言葉は、通り過ぎていったトラックの音でかき消されてしまった。


 唖然とし、小声で『そりゃぁないよぉ』と呟く穂鶴。彼女の様子に、菜々美はクスクスと笑った後。



 その唇に、己の唇を押しあてた。



「……?……!?」


 数秒ポカンとしていた穂鶴だが、再び顔を耳まで真っ赤に染める。


 彼女が何をされたかを理解した辺りで、菜々美は頑張って背伸びしていた体を、そっと戻す。


 その顔もまた、穂鶴に負けないぐらい真っ赤に染まっていた。


「……私は、穂鶴の事が好き。貴女は?」


「……きょ、きょの、この世界の誰よりも……愛しています……!」


「私もだよ」


 するりと、菜々美が穂鶴と腕を組む。


 それは彼女を支える様に。そして、絶対に離さないと誓う様に。


 小さな体を押し付ける様にして、くっついていた。


「ねえ。穂鶴」


「は、はぁい!」


「舌はまだ、1回目だったよね」


「そ、そうでぇす!」


「だったら……治す事が出来たら……続き、しよ?」


「……!?は、はいぃ!」


 いつになく動揺し、背筋をピンとさせた穂鶴。


 その様子に鈴を転がした様な声で笑いながら、菜々美は愛おしそうに見上げている。


「じゃあ、今日は一旦家まで帰ろうか」


「は、はい。じゃなかった、うん。その……うん!」


「その手も、どこかで直せないか聞かないとね。体を洗うにしても、あちこち壊れているし」


「そう、だね!」


「でも、その腕の間は私が体を洗うの手伝おうかなぁ」


「ふぇ!?」


「う、そ」


「あ、うん。そ、そう。そっか」


「直っても、手伝うから」


「!?……!!??」


 右足と右腕を同時に前へ出す穂鶴を、ニマニマと笑いながら菜々美が支える。


 ────デンマークに伝わるとある書にて。


 オーディンの子ホズルは、英雄ホテルスと同一の存在とされ、好色な半神バルドルを打ち倒し、許婚であるナンナを守ったとされている。


 はたして、実際に神代で起きた事はどの様なものであったのか……それを、この時代の人間に知る術はない。


 だが、確かなのは。


「……菜々美」


「なぁに?穂鶴」


「……大好き」


「……うん。私も」


 人の世に蘇ったホズルの、その末裔と。


 ナンナの生まれ変わりともいえる彼女は。


 末永く、共にいたという事だけである。


「あ、そうだ。治療と修復の件なんだけど、あの人を頼れないかな」


「あの人?」


「うん。何かね。どうも他人とは思えない人なんだ。もしかしたら、力になってくれるかも」


「……ふぅん。どんな人なの?」


「えっとね」


 少し考える様に、穂鶴は空を見上げた後。


「お母さんっぽい男の子!」


 そう、断言した。


 今度は、菜々美が空を見上げた後。


「穂鶴」


「うん」


「今日は、ゆっくり寝ようね……?」


「なんか心配されてる!?」


 もの凄く優しい顔で、そう言った。



*    *    *



 福岡県某所。


 そこに、雰囲気の良いバーがある。昼間は営業していないこの店は、代わりに冒険者クランの拠点として使われていた。


 ゆえに、この時間帯に集うは、当然ながら冒険者達。異能者の中でも『戦い』を生業とする事を選んだ猛者達。


 その中でも、指折りの実力者こそが、ウィンドと名乗る女性であった。


 彼女は、今。



「うおおおおおおお!耕太ぁ!うおおおおおお!!」



 スマホを掲げ、何かを叫んでいた。


 ライオ〇キングでラフ〇キがシン〇を掲げている時並の迫力である。


 そこから1メートルほど距離を取って、3人の変わった格好の女性達がひそひそと話していた。


「カカッ。今宵の風は、ちと耳障りであるな……そう。まるで嵐の夜の様に」


「我の目にも映らぬモノはある。風の申し子が東の地にて死線を潜ってきたは、自明の理。であれば、それに類するものであろう」


「シュコー……シュコー……」


「え?男子高校生の?下着姿?」


「は?それが送られてきて?テンションが上がっている?」


「しゅこー……」


 ガスマスクに防弾チョッキ姿の女性が、力なく頷いた。


 それに対し、着崩した着物姿の女性と、歌劇に出てくる男装の麗人は揃って真顔になる。


 そして、もうキャラ付けとか忘れて標準語で喋り出した。


「え……え。どうする?いや、そもそも男子高校生って、なに?」


「わ、わ、私にも分からんって!あ、いや。そうか。前に言っていた、耕太って子?」


「しゅこー……」


「……マジで?楓ってそんなにチョロかったっけ?」


「ほぼ一目惚れじゃん。あいつ、26にもなって……」


「しゅここー……」


「あー……確かにあの子、思い込みが激しいというか、偶に猪どころかミサイルみたいな事するんだった……」


「推しのアニメキャラ的に、年下好きかもとは思っていたけどさぁ。だからって高校生はまずいやん。流石に引くわ」


「私だって信じたくないよ!いや、でも18ならギリ……」


「しゅこぉ……」


「高1?ああ、うん……そっかぁ」


「……こういう場合ってさ。罰金や注意で済んだりするのかな……」


「その前にお袋さんが心中図るんちゃう……」


「しゅこー……」


 思い込みの激しさなら負けていない3人が、揃って頭を抱えた。


 風祭楓、26歳独身。自称ウィンド。職業、冒険者。


 スタイル抜群の美女でありながら、魂が厨二過ぎて彼氏いない歴更新中の彼女は、ちょっと社会的にヤバめだった。


「マジでどうするよ。やっぱ、お袋さんに相談する?」


「いやいやいや。流石にそれは、ちょっと……やばい」


「しゅこー……」


「マジで?あいつ、その子の事こっちへ呼ぼうとしてんの?」


「……私らで、その時見定めよう。そんで、処すか決めよう」


「……どっちを?」


「両方を、見定める。私らは耕太って子がどういう奴か知らん。もしも悪い奴だったら……」


「……だね」


「あと、どっちにしろ何も起きない様にディフェンス。耕太って子が善人なら、なおさら」


「だね……!」


「しゅこー……!」


 彼女らは固い絆で結ばれた、家族同然の仲間達。


 3人は円陣を組み、今はウィンドの事を見守ると誓う。


「耕太ぁ……愛しとーよ……♡」


「うわぁ……」


「うわぁ……」


「しゅこうわぁ……」


 いざとなれば、親友を討つ覚悟を決めながら。


 ────これは、全くの余談であるが。


 チョロさと一途さという点において、この4人は大差がなかったりする。





読んで頂きありがとうございます。

感想、評価、ブックマーク。励みになっております。どうか今後ともよろしくお願いいたします。


Q.

穂鶴達と耕太って、フラグがたったりしますか?

A.

しません。

代わりに穂鶴から耕太へ『母親として、私達の結婚式に出席してくれませんか?』という手紙が数年後に来る可能性があります。


Q.

そんなに耕太ってフリッグに似ているの?

A.

ロキが『目元だけは生理的に無理。あの女を思い出す』と言い、バルドルが『あの目を見た時、母上を思い出した』と言うぐらいの似ている度合いです。ついでに穂鶴は『彼の発する音は、どこか懐かしい気がする』と感じています。

ただし、血縁とか魂的なアレコレでの関係は一切ありません。耕太の両親もフリッグとは似ていませんし。

世界には同じ顔が3人いるんだから、神代から現代までで、目元と心音が女神そっくりな奴が1人ぐらいいても不思議ではないのです。ガチで『他人の空似』ですね。

……オーディンに会わせちゃいけない。



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― 新着の感想 ―
変若の水、一番搾り。 おちだけにおちん……
穂鶴「私たちのママになってくれるかもしれない人です」
>……オーディンに会わせちゃいけない。 >『生き残り』が彼らだけとは限らない」 フラグ立った?
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