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37話 こんな日常が、これから先も

 目が醒めるとお兄様が隣にいた。

 そういえば昨日は一緒に寝たんだった

 

 太陽はもう高い。もう午前9時くらいかな、ずいぶんと寝坊しちゃった感じだ。

 窓の外から人々の行き交う音がする。時計とか無いから解らないけど寝坊しちゃったのは確かっぽい。

 

 お兄様の腕の中は安らかで、ずっと包まれていたい気分だけどそんな訳にはいかない。

 

「……起きて下さい」


 言葉ってこんな風に発するんだっけ、久しぶりだったから忘れちゃってた。

 お兄様を揺すりながらベッドから抜け出て、そして自分が裸なのに気付いた。

 

 昨日の夜とんでもないことしようとしてたけど、勢いに任せただけの愚行だなんて思わない。

 いつか心底からお兄様と結ばれたい。心の底から、そう思える日が来るのだろうか。

 

 よくわからない。子供だからなのかな。

 10分くらい経ってようやくお兄様は起きたけど目がトロンとしてる。昨日は眠れなかったのかな。誘拐されたり王様と会ったりして、疲れが取れてないのだろう。

 

「アリスが頬にキスしてくれたら、バッチリ目覚められそうな気がするな」


 どうしよう。そのくらいだったら昨日決意した過激なやつじゃないし。

 毛並みを整えおそるおそる顔を近付ける。唇が触れる寸前ベッドに引き寄せられた。お姫様だっこからの高い高い、最後にまたギュっと抱きしめてくれて。

 

「ありがとアリス、今日も1日頑張れる」


 今朝一番の笑顔を見せてくれた。元気は出たみたいだし良いのかな。

 

「さー今日はアリスの色々なの買わなくちゃ! アリスの部屋は元物置だったから殺風景なんだよね」


 そういえば昨日買ったのは洋服とかばっかりだったな。でも家具とかの予備はちゃんとあるしべつにいいんじゃ。

 

「雑貨屋へ行こう。可愛いアリスに可愛いカーテン、可愛いアリスに可愛いぬいぐるみ、可愛いアリスに可愛いテーブル、この街の可愛いもの全てを買い占めに行こう。もちろんドレスも全然足りないさ」


 傭兵仕事はどうするんですか。

 

「そっちは冬期休暇にするよ。国王様から直々に滞在許可もらったし」


 冬期休暇って冬休みのことだよね。暦の上ではもうすぐ春なんだけど。ドレスも昨日、ナルシュ君のお店でたくさん爆買いしちゃったし。

 

「たったあれだけじゃないか。もっと沢山必要だろう。世界で1番可愛いアリスは最高のドレスを身に纏う権利があるんだ。さあ朝御飯食べたら洋服店へ行こうね」


 あれだけってクローゼット満杯になってたけど。買い物とかの前に仕事に行った方がいいと思うな。

 ゴンゴン

 玄関からドアノッカーを鳴らす音が聞こえた。誰か来たのかな。

 

「おはようアリス、そしてラズウェル様」


 リリファさんとランキスさんだ。

 ランキスさんはいつもと同じ気楽な格好。ただリリファさんはいつもと服装が全然違う。

 

 今日のリリファさんは白いノースリーブのワンピースのとっても可愛らしい服だ。そういえば買い物のときもズボンを履いてたな。スカート姿は初めてかも。

 

「いつもは戦闘しやすい格好を選んでるの。でも今日は完全オフだし、たまにはね?」


 リリファさんがそういう服を着てる姿、もっと見たいなあ。

 だってリリファさんは可愛いから、リボンとかフリルとか、そういう可愛い恰好がとっても似合う。

 

 いつものリリファさんも素敵だけど、今日のリリファさんはもっと素敵。

 ずっと言いたかった。リリファさんのことが大好きだよ。

 

「アリス。今日はずっと一緒にいない? 私貴女のことをもっと知りたいわ」


 ちょっと照れてる。私もちょっと恥ずかしかったな。

 でも私の知らないリリファさんの一面が知れて嬉しい。

 

 ただランキスさんがなんだか妙にぐったりした様子なのは、昨日の疲れが取れてないのかな。でも昨日のパーティーでは平気そうだったけど。

 あれ毛根の辺りが黒くなってる。髪染めってこの世界にあったんだ。

 

「ドレスのお届けに参りましたー」


 お届け?

 ナルシュ君が引いてる人力車には大量のドレスがぎっしりと詰まってる。そういえば昨日はかなりの大人買いしたんだっけ。

 

「ランキス師匠っ! 今日からよろしくお願いします!」

「厳しくやるから覚悟しろよ」


 師匠?

 ああそういえば稽古をつけるとか言ってたっけ。

 

 木刀みたいなのを携えてるけれど、もしかしてランキスさんお手製? てことは今日からさっそく訓練が始まってるのかな。

 

 なんだかナルシュ君、昨日までと比べてちょっと凛々しいっていうか、男の子って感じがする。あっそうだ。

 みんなでお茶でも飲みませんか?

 

「そうだねアリス。こんな素敵な日なんだから皆でアリスの可憐さについて語り合おうか」

「ええ、そろそろアリスにとって具合のいいアダルトグッズを見つけてあげないと」

「俺も混ざっていいかな、いいですよねランキス師匠!」

「お前らホントマジで、なんでこいつの言葉が解かるんだ?」


 喋ってる内容はともかく、みんなとっても和やかにしてるのを見てるだけで幸せになれる。

 あとお茶は自分で淹れよう。リリファさんに頼んじゃうと媚薬とか仕込みそうだし。

 

 ふふっ。

 

「? どうしたんだいアリス」


 なんだかとっても楽しくて、それにとっても眩しいです。

 みんなと一緒にこうやって楽しくするのなんて日本にいた頃じゃ考えられなかった光景。

 

これが日常になっていくのかな。

ランキスさんとリリファさん、ナルシュ君も加わって。なによりお兄様とずっと一緒に。


神さまお願いします。こんな日常が、これから先ずっと続きますように。


なんてささやかな願いを込めてみた。

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