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絶海学園(改稿版)  作者: 浜 タカシ
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第十三話

~2100年4月9日 11:20 NPOC非常事態対策本部~

その後会議では今後の防衛方針や、想定される敵からの攻撃への対処マニュアルの作成などが話合われた。


「お…終わった~」


優芽が大きな声で唸りながら背伸びをしている。会議中は感じなかったが、気づいたら2時間も経っていたらしい。


「二人ともお疲れ様。いきなり長時間の会議ですまなかったね」

「東さんもお疲れ様です。対策本部って何をするのか皆目見当がつかなかったんですけど、こんなことするんですね」

「そうだね。でも私たちも初めての事だから試行錯誤の連続だよ。二人には重い任務を任せてしまって本当にすまないね」

「いや、確かに俺たちが適任の仕事だ。優芽の親父さんや東の判断は正しいと思うよ」

「おぉ…君がほめてくれるとは。ありがたく受け止めておくよ」


俺たちがこの対策本部のメンバーに選ばれたのは生徒の中にいる可能性の高いスパイを日常の学園生活を送りながら探し出すためだった。東や教員などの大人が下手に動けば怪しまれスパイが隠れてしまう可能性がある。スパイを探し出すのは生徒である俺たちが適任であることは言うまでもないことだ。


「そうだ、山本くん、西郷さんこの後時間大丈夫かな。案内しないといけないところがもう一か所あるからついてきてほしいんだ」

「どこに行くんですか?」

「対策本部のメンバーには一人ひとり司令部内に執務室が与られるんだ。なにせ対策本部のメンバーは忙しいからね。司令部の中で寝泊まりもざらじゃないという事だよ。二人にも執務室が割り振られてるから、そこに案内したくてね」


執務室か。なんだかかっこいい響きだ。


「わかりました。貴君、執務室ってなんだかかっこいいね」


そう言いながら立ち上がった優芽につられるように俺も立った。


「それじゃあ行こうか」


そういうと東は対策本部を出て、真っ白で迷路のような廊下を進み始めた。


「ここが執務室が並んでいるエリアだよ。貴文君は4号執務室、優芽さんは5号執務室を自由に使ってね。鍵は、いつもの寮の部屋みたいに電子ロックに端末を近づけたら開錠されるから」

「東さん、入ってみてもいいですか?」

「もちろんいいよ、さぁ入ってみて」


早速優芽は電子ロックを解除し執務室の中に入った。中には机と革張りの高そうな椅子、寝心地のよさそうなベットに簡単なキッチンまでついている。


「うわぁー!すごいねぇ貴君。ここで暮らせちゃいそうだよ」

「た…確かにすごいな…」

「あはは!気に入ってもらえたようで何よりだよ」

コンコン「東対策本部長」

「どうしんですか岡田さん」

「実は…」


~4月9日 11:30 首相官邸~

先ほどNPOC上空にアメリカ軍の戦闘機が到着し防衛を開始したという連絡がホワイトハウスから入った。これでひとまずは安心できる。


「西郷君、少し休憩しないかね」


朝の電話会談から休む間もなく関係部署に指示を出していた児玉総理が椅子に腰かけながら言った。顔にはかなり疲れの色が見える。


「総理大丈夫ですか?かなりお疲れのご様子ですが…」


私は紅茶をカップに注ぎながら聞いた。

「いやなかなか疲れたよ。クリントン大統領との会談の後は防衛大臣や文部科学大臣と会議。それに加えてショッキングなことも立て続いたからね。」


総理はここまで言うと紅茶を口に含んだ。


「統括学園長よろしいですか」


近藤が私の肩をたたき報告に来た。だが今回はいつも表情をほとんど出さない彼女が青ざめた顔をしている


「どうした近藤、そんなに青ざめた顔をした」

「はい。先ほど警備課から報告がありまして、NPOC上空で防衛を行っていたアメリカ空軍の戦闘機一機が撃墜されたとのことです。幸いパイロットは非常脱出装置を使い死者はいません」


彼女の口から淡々と語られることの重大さに近藤が青ざめていたのもわかる気がした。

「そうか。NPOC事自体に何か攻撃はあったのか」


「いえそのような報告は受けておりません」

「わかった。ご苦労」


私は大きなため息をついた。目の前で総理は紅茶を美味しそうに飲んでいる。総理の束の間の休憩に間を刺すようなことはしたくないが、報告せざるおえないだろう


「どうしたんだね西郷君、大きなため息なんかついて」

「総理、実は…」


私は近藤から受けた報告を総理に話した。「パリーン」総理の手からカップが落ち割れた。


「本当なのかね西郷君。おい誰か、急いで事実確認を」


「はっ、はい」


政府関係者の一人が足早に部屋を出て行った。


「でも西郷君。それが本当なら革命国は君の見立て通り私たちが想像しているよりも軍事技術を向上させていることになる。」


総理の焦りもわかる。革命国は想像よりも軍事技術を上げている。技術向上のスピードは連合国側を軽く上回っているだろう。


「もしかすると革命国は私たちが想像しているよりも脅威になりつつあるのかもしれません」。


私の中にあった不安が確信に変わった瞬間だった。


~4月9日 12:00 NPOC SS層 高等部資料室~

アメリカの戦闘機を撃ち落とすことを失敗した私は次の作戦のため資料室に来ていた。学校は閉鎖されいるので校内には誰もいない。私は電子ロックを解除した。この程度のロックはないも同然だ。この資料室にはSS地下水道管の地図が保管されていることは知っていた。どうやら何年か前の卒業生が悪さをするために書き留めておいたものらしい。


「あった」


目的の地図を見つけ私は足早に資料室を去った。ちょうどその時お昼を告げる鐘が鳴った。

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