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鳥居をくぐったら、森の主になりました  作者: 千羽鶴
第七章 魔国編
112/114

112 火傷に注意



「あちちちっ」


「あっつっっっ」


「どんどん剥かないとおわりませんよー。

皆、普通の人より倍は食べるでしょうし、キグミーもいますから、これっぽっちじゃコロッケ祭りなんてできませんよ。アマゾネスさん達にもキグミーが届けてくれるらしいので、どんどん作りましょう。

チリーズ、カボーラ、ココンのコロッケも作るからじゃがいもはさっさと終わらせてしまいましょう」


ただいま晩御飯の準備中。

茹でたじゃがいもの皮剥き担当はラルトくんとマルラ、くまのキグミー達は熱くないのかどんどん皮を剥いてく。しかもむくのがうまい。

じゃがいもの皮を先にむいてから茹でてもいいんだけど、茹でた後に皮をむいた方がホクホクとした仕上がりになる。マッシュポテトとかポテトサラダに合うやり方だ

キャベツをすごい早さで千切りしてるのはコン。キャベツだけじゃなく、玉ねぎも素早くみじん切りにしてる。コンに教えられネズミのキグミー達もすごい早さでキャベツを切ってる、残像が見えます


この厨房、キグミーが手伝ってくれなきゃ終わらないな…何人か連れて帰っちゃだめかな


キグミーから皮をむいたじゃがいもが入ったボウルを受け取りマッシュしていく

私の横ではなぜがいつも側に居るうさぎのキグミーとソラが、バターひき肉玉ねぎコンソメを手早く次々に炒めてる。何故にフリフリのエプロンを選んだのか詳しく聞きたいが、じゃがいもと混ぜる具なのでどんどん作ってください


「いつもの事ですけどね。なぜか魔国に居る間、私が晩御飯作ることになってるんですけど。どういうことなんでしょうかね、魔王さん」


にっこりと笑顔を向けながら熱々のじゃがいもをマッシュしていく

少しほくほく感がほしいので完全に潰さないように加減しながら丁寧に


「うちのマルラがすみませんでした。まさかマルラがあんな駄々をこねるとは俺もおもわなく…」


どこか困ったように謝る魔王にキグミーから渡されたボウルを渡すと同じようにじゃがいもを潰していく


「マルラがあんな風に床でじたばたするとは私もおもいませんでしたよ。


でも、かわいい理由ですよね。お兄さん達と料理が一緒にしたいって。

ラルトくんも楽しそうですし、二人とも魔王さんと一緒に何かしたいんですよ」


そう言うと魔王さんは照れたように頬をかく


「昔は俺にくっついてばっかだったから、あいつら。遊ぼう遊ぼうって誘ってきて、俺が本を読んでるといつの間にか周りで寝てるし、何してても近くを離れなかったんだ」


「あの駄々をこねたマルラが本当のマルラなのかもしれませんね。

桜国で色んな事をしたから、もっと魔王さんとラルトくんと、兄弟三人でいろんな事がしたくなっちゃったのかもしれません。

桜国では我が儘なんて言わなかったので、ただ兄達と一緒に料理がしたいって我が儘を言った事に安心しちゃいました」


「昔はよく一緒になんでもやってたから。三人でよく遊んでた。

そういえば、昔かくれんぼを三人でしてた時に俺が見つけ人でラルトとマルラが隠れ人だった時

先にラルトを見つけるとマルラが泣くんだ。なんで私を先に見つけてくれないのって。

逆にマルラを先に見つけてラルトを後に見つけると、あいつもびっしゃびしゃに泣いて大変だった。一人で隠れてんのが寂しくて怖かったんだと

まぁ、ラルトは元々泣き虫で、なにかあるとすぐに泣いてたから、涙流しながら鼻水まで垂らして、ぶっさいくな顔して泣いてたんだ

そのせいで全然かくれんぼできなかった。

俺が二人を忘れるはずも見つけられないはずもないのに」


目尻を下げ、嬉しそうに昔の話をする魔王さんと一緒に小判型に形成したじゃがいもの表面に小麦粉を薄くつけ、溶き卵をからめてからパン粉を全体につけていく


「じゃあ、魔王さんが隠れ人の時はどんなだったんですか?」


「隠れ人なんだから見つかんないように隠れてたよ。だって、この遊びはかくれんぼなんだから」


「見つけてもらえました?」


魔王は一度口を閉じ、小さく笑う


「さぁ、どうだったかな」


ジュワワっとコロッケを揚げると音に、その言葉はかき消される。

それと同時に、そういや言ってないことがあったことを思い出した


「そうだ、魔王さん。マルラの提案で明日から私達が帰る日まで、町の案内やらなんやら、マルラとラルトくん。それから魔王さんも一緒に行動することになったんで」


よろしくお願いしますっと言う前に、揚げるためのコロッケがマオウの掴んでいた箸からポロリと落ち、勢いよく油の中へ


「あっっつつつぅぅうううう!!」


「ちょっ、何してんですか!」


勢いよく油にコロッケがダイブしたせいで跳ねた油が魔王の腕にかかる。

急いでボックスから氷を出して冷やしてると、魔王の声に慌てたようにマルラとラルトも寄ってくる


「大丈夫兄さん!料理中によそ見したら危ないだろ!」


「お兄ちゃん大丈夫……うわ、赤くなってる」


冷やしてる腕から見える軽度の火傷を見て顔をしかめるマルラ。

とりあえずボックスからポーションで作ったオロ○イン的な薬のポーナインを出して 魔王さんの火傷に塗っておく。


「いや、大丈夫じゃない。聞いてないぞマルラ。明日から俺も案内したりするって聞いたけど」


跳ねた油を手早く片付けてコロッケをどんどん揚げていく。魔王さんがダイブさせたのもこんがりとキツネ色になってる。

コロッケは3分ほどを目安に揚げれば完成だ。途中上下を何度か返しながらだけど。


あ、コンありがとう。

コンがじゃがいもを全部マッシュして形成して、パン粉までつけてくれたので、どんどん揚げてきましょう


「ラルト兄さんから仕事は片付いてるって聞いたもん。

それに、この頃全然皆と関わらないじゃん」


よし、いい感じに揚がったね。ポテトコロッケはこんな感じでいいか

あ、ありがとうキグミー

次はキグミーが蒸かしてくれたカボーラを潰してっと。今度は砂糖を加えてっと

お、チリーズとココンも小さくしといてくれたんですか。助かります。どんどん作りましょう


「そんなことは…ないとは言えない…けど」


「ほらね。自覚があるならわかるでしょ、皆言わないだけで寂しがってるよ」


コン、コロッケ以外にもスープも作りますよ。

ココンスープです。ココンを角切りに細かくするのと、潰すのでわけてっと

ミキサーがなくても、私とコンのゴリラパワーにかかればココンなんて一瞬で汁にできる。

水をいれてもいいし、濃厚タイプでもいいですよ。バターをいれて、あとは昨日のミネストローネ、いやマトローネって呼びますか。

マトローネに使った自作のコンソメもどきを入れて。

あとは豆乳とミルと塩胡椒で味を整えて完成ですね


「兄さん、久しぶりに僕とマルラと兄弟で買い物とかしようよ。」


「兄さんがおもってるよりも私達も皆も兄さんの事大好きだからね。それと、うさぎの着ぐるみだったとはいえ、鈴ちゃんに会いに行ったこと、地味に皆怒ってたよ」


「いや、それは」


コン、カボーラスープも作ります?ココンスープと材料はかわらないので簡単ですよっと、いってる間にキグミーが準備してる…食べたいんですね。

さっきココンスープのつくり方見てるんですから作れるのでは?

……わかった、わかったから、私が作りますから私の回りでカバディしないでください、危ないしほこりが立つので。あと普通に怖い


ささっとカボーラスープも作って、とろっとしたカボーラスープをぐるぐるとかき混ぜる。このぐらいでいいだろう


「さて、話し合いは終わりましか?」


スープ作りは終わったのでキグミーに持ってってもらうためのコロッケを1つずつ包んでいく。多めに作ったのでサキュバス達以外にも食べる人が居るなら食べるでしょう、多分

スープもお裾分けしましょうか…


後ろを振り向くと魔王に詰め寄るマルラとラルトと、目線をうろうろとさせながら、どう断ろうかと考えているであろう魔王が助けてくれっというような目線を送ってくるが無視する


「コン、ソラ、キグミー達。出来立てのコロッケは最高に美味しいのでどうぞ。スープもありますよ」


「あつあつやねぇ」


「それが美味しいんですよ。冬とか、食べ歩きってよくないけど、食べ歩きたい食べ物なんですよね」


手にとったコロッケを一口かじる、サクリと衣から音がなり噛ったとこから湯気がたつ

ほくほくのジャガイモが顔をだし、口の中が幸せだ


「「うまぁ」」


コンのはチリーズなんですか?私のは普通のです。

え、ソラはココンコロッケでキグミーはカボーラコロッケですか。

スープもどうぞ、コロッケを食べながらココンスープを飲むと超絶美味い。罪の味がします


「なんで無視するんだ。それと出来立てのコロッケ俺も食べたい」


若干涙目で両肩を掴んでくる魔王を見ながらサクリサクリとコロッケを食べ進める

あ、コン達がマルラとラルトくんにもコロッケ食べさせてる。夜ご飯なんだけどなぁ、せめてキャベツと一緒に食べてくれ。

いや、もうここで食べるのが夜ご飯でいいですよ


「いや、だって。なんでそんなに嫌なのかわからないんですよね…


もしかして、行きたくない理由でもあるんですか」


最後の一口をパクり。もぐもぐと咀嚼しながら魔王の瞳を見つめる。

肩を掴む手に力が入ったのがわかった。

ゆらりと不思議な揺らぎを見せた瞳はどんな意味を持つのかはわからない、けど


「ないなら行けますよね。行けないならその理由をはっきりしっかりきっかり教えていただければ納得すると思いますけど、どうしますか?マルラ達は一緒に行きたいって行ってますけど」


彼が兄弟を大切にしてるのは伝わってる、だからきっと断らない。いや、断れない

私はその瞳の揺れの理由ぐらいは知りたいと思う。だからその理由がわかるかもしれない要素は見逃さない


まぁ、ついでに色々と魔国について知れたら楽なんですけどね…気になることやわからないことが多いので


「はぁ……わかった。しかたないな。弟妹の我が儘ぐらい聞くよ。泣き出したら困るからなって、おい。どんだけ食べてるんだ」


コロッケが一山ぐらい減りましたね…また揚げなきゃだめなやつ?揚げ物なのにそんな食べれるものですか?皆の胃ってどうなってるの?どこに繋がってるの?

おい、そこのキグミー。鍋ごとココンスープを飲まないでくれます?

ソラとコンも対抗しなくていいですから


「泣かなふぃよ!それにしても、久々に兄さんと魔国を歩けるなんて、楽しみだな」


「泣いたりふぃないよ小いさふぃ子じゃないんだから! 約束だからね、兄さん! 」


二人してにっこにこ顔でコロッケを頬張っている。嬉しさが溢れだしてるのが見える


「子供じゃないなら飲み込んでから喋りなさい。それと口元にコロッケのカスが引くほどついてますからね。」


「完璧にお前らは子供だよ」


魔王さんと一緒に、二人の口元をふく。


お礼を言った二人は何が嬉しいのかにこにことコロッケをまた食べ始めた



「「いや、少しは抵抗しろよ」」






********





晩御飯後、デザートのナッツアイスを食べ終わってから部屋に戻り、スキル幻空を発動。


ふぅっと一息つき、ボックスからホットミルクの入ったマグカップを三つ出す。

そこにポポ蜜を入れてかき混ぜてからコンとソラに渡す


「少し、解ってること解ってないことをまとめましょうか」


ナビ、印刷お願い


『わかりました』


魔国で見て気になったものをどんどん印刷していくナビ

まずは魔国の象徴の黒い竜…これが魔神の内側に描かれてる絵柄と同じ。

そして、壁画に描かれてた黒い竜を鎖で絡める絵と魔王さんから聞こえた鎖の音…月と太陽に人の体がついた絵、太陽が魔王さん達だけど、月は誰なんだ?


「まぁ、月はわかりませんけど、ひとつだけわかったことがあります。


魔王さんの好きな食べ物は蒟蒻で、嫌いな食べ物はマートラ

魔王さんの正しい体重を認識できない事。

私しか気付けない魔王さんに対する認識妨害。


多分マルラ達が忘れてるのは魔王さんに関する事なんでしょうけど…なにがどう消えてるのかがわからないんですよね…

それと、マルラの願いを忘れてるのを忘れるっていうのも不思議なんです。

ただ忘れているのに、それすらも忘れてしまったんですから」


「魔王はんは魔気のせいやって言うとったけど、それはどう言うことなんやろか」


「多分、魔王さんは自分の事が忘れてられていることには気付いてますから、魔気のせいっていうのは嘘でしょうね…

そうなってくると、主の魔力が他のものより沢山混じってる物が無いことにも少しは納得できます。魔王さん関連のものが消えてるんですから。逆に白いカシュカが残ってることがすごいのかもしれません。このカシュカじたいも消えててもおかしくありません」


「魔王はんは自分の事が消えてくのになんで何もしないんや?」


「しないんじゃなくて、出来ないのかもしれません。それか、消さなきゃいけない理由があるのか

魔気に何かありそうなんですよね…これまでがそうですし。

魔神のせいって考えれば簡単なんですけど。魔気は大地からは出てないし、地下とかがあるわけでもない。

そして、夜になると国自体が私達を弾き出す、招待されていないから眠りという場外に弾き出されるって事らしいですけど…でも、これはおかしいんです。

私達はちゃんと魔国の入り口、門から入ってきました。国が生きてるとして、門の入り口で弾き出されないことがおかしい

なんで夜だけ弾き出されるのか。

それを考えた時にコンの言った事がそうなんじゃないかと思ったんですよね」


きょとんとしたコンはホットミルクをフーフーしながら飲んでいる。


「もうひとつ空間がある?」


「そう、魔国とは別の空間があったとしたら納得できる。

問題はその空間はどこにあるのか、夜の間に行けるのかそれとも、別の何かなのか」


蓋がしまってて、本来は開いているものが閉じてるって、ナビは言ってたから。

その蓋を取らないとどうにもならないって事なんですよね。そうなると、夜の間はまた別の問題になるのか?


「もっとわからなくなりそうや…」


「そうなんですよねぇ」


手元にある印刷した紙を見ていく。その中のあるものに目がとまる


ガラスのように透き通った花、聖母の花だ。花言葉は自由、未来、愛情


その花言葉を聞いたことがある気がするっと考えると、思い出したことがひとつ


『この押し花の花言葉は、小さいピンクの花が愛情。これより少し大きい黄色い花は未来、そしてこの白い花は自由って花言葉なのよ』


祖母の言葉だ、鏡の中にある押し花の花言葉。思い出せてすっきりしたけど


「育ちかたと花の名前が思い出せない…」


なんだっけなぁっと、側においていたホットミルクの入ったマグカップを掴もうとしたが何も掴めず、そちらをむくと


ズゴゴゴゴゴっと、音を立てながら人のマグカップからホットミルクをイッキ飲みするキグミーが。

素早くコンとソラがしばきあげるが、どう反応したらいいのかわからなくなってきてる。


「いや、だからなんで幻空の中に居るんですか…」


怒る気にもならん。


ため息をはきながらキグミーを見る。

このキグミーは国に入るときに腕を掴み、朝はくっついてたし、視界によくはいってましたし。まるでウォー○ーをさがせのように。

なんなんだろうか…ストーカー?


「まぁ、いいや。で、美味しかったですか、ホットミルク……そうですか、でもさ。勝手に飲むのはやめろや」



とりあえず顔面の形が歪むぐらい握っとく。





































今年のバレンタインチョコ、まだゴリラチョコと出会ってない……

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