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鍛冶屋のスミちゃん。





『(美味かった)』 



 お腹ぽんぽこりんになったルビーとスミちゃんが寝転がっている。結局残っていたハムステーキはふたりが全部食べつくしちゃって、何にも残らなかった。



 スミちゃんも、身体はバスケットボール二つ分ほどの大きさなんだけれど、お腹の辺りと思われる所がぽこりと膨らんでいて、満腹な様子。

 傍らでエンリルが座って、どうも何やら話をしているみたい。何を話しているのかは相変わらず解らないまま。



 それを眺めながら後片付けをしていると、エンリルがこちらへ寄って来た。



『スミちゃんがね、おいしいもの食べさせてもらったお礼がしたいんだってー』



 モチモチとスミちゃんも歩いて寄って来た。



「皆で食べた方がご飯は美味しいから、お礼なんて気にしなくていいんだよ。こちらこそ、エンリルと遊んでくれてありがとうね」



 しゃがみこんで、スミちゃんの頭を撫でながら伝えた。

 一呼吸置いて、スミちゃんは私の横に置いてあった、アイテムインベントリに片付けるフライパンや包丁なんかをまとめてある山の中から、包丁を取り出した。



「スミちゃん……?」



 まだ近所のスーパーだった頃のショッピングで買ったしょぼい包丁を、スミちゃんはためらう事なく……食べた。









【スキル︙メタル を 使用 します】









 私がいつも聞いている謎声やルビー、エンリルとも違った柔らかな女性の声が響く。すると、目の前にいるスミちゃんの背中に、若葉のような芽がピョコンと生えた。



『主ー、スミちゃんが背中の葉っぱ抜いてください、だって』



 ……え"っ?! 引っこ抜くの? わ、私が?



『痛くないから、早くしないと枯れちゃうって言ってるよ!』



 ええい、頼まれてしまったものは仕方ない!



「スミちゃん、引っ張るよ!」



 スポン! と、意外と簡単に若葉は抜けて、根っこのように若葉の下に何やらぶら下がっている。



『それ、スミちゃんからのお礼だって!』



 手にしたままの若葉の根っこをよく見ると、さっきスミちゃんが食べた包丁がぶら下がっていた。あれ? でも何だか使っていた包丁とは、少し違うような……?



『(イオリ、その刃物を鑑定してみろ)』



 転がったままのルビーが、頭を持ち上げながらフスッと鼻を鳴らし、こちらを見て言った。



 なんだろう? ただの包丁……ではないのかな? ルビーがしてみろと言うなら、してみましょう!



“スキル︙鑑定を使用します”





“特級等級︙アダマンタイトの包丁ナイフ

 異世界の物質だったものが、鍛冶者スミの手により加工が施され、武器となった物。この世に切れない物はないとされる、アダマンタイトが打ち込まれた素晴らしい逸品”





「えええええええ!!!!」






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