碧玉の守護石。
「買いすぎちゃったねー」
ルビーに買い物袋を咥えてもらって、エンリルにも持ってもらった。重たい〜! って唸りながらエンリルがよたよた飛んでいて、ちょっと可愛い。
赤と青のお皿にそれぞれ、マジックで名前を書いた。もちろん、こっちの世界の言葉でね。
『(我の皿か。いい色合いだ)』
ルビーはそう言って笑って、嬉しそうに尻尾を揺らしている。
エンリルも青いお皿が気に入ったようで、爪で器用にお皿をひっくり返したりして眺めている。
今まで使っていた紙皿は、残飯と一緒にルビーに燃やしてもらえて便利だったんだけれど、自分の物で食べるっていうのも嬉しいものだし。洗う手間が増えるけれど、手間をかけるのを惜しむほどじゃないからね。
問題はこのサファイアのピアスだよ。
エンリル、欲しいって言ったけれどどこにつけるの? 装飾品なんだよ?
『主なら、どこにつける?』
首を傾げて質問返しのエンリル。
私はピアスの穴が開いてるから、普通にみみたぶにつけるよ。
『じゃあ主がつけてー』
……何のために買ったの!
高くはないって言ったけれど、会計してびっくりしたんだから。普段こんなの買わないから、相場も解らなくて、お会計十万近かったよ? 全部合わせてだけど。
『わあ〜主、かわいいー』
『(うむ、毛がなびいた時に光る石がとてもきれいだな)』
毛って……。
“第一等級︙碧玉の守護石に付随するスキルを取得しますか?”
はっ!? 謎声!? 久しぶりだけれど、何!?
“装備された第一等級︙碧玉の守護石には、付随するスキル【鑑定】があります”
装備……。このピアス!?
“取得しますか?”
「え? あ……は、はい……」
パキンと音をたてて、みみたぶのピアスが割れ落ちて消えた。
“【鑑定】取得に伴い、装備していた第一等級︙碧玉の守護石は破壊されました”
『主のみみかざり割れちゃったよー』
『(イオリの世界の装飾品にはえらくレアなスキルがついているのだな。凄いな)』
ルビーは従伴だからか、私のスキル取得の謎声が聴こえてたみたい。
「いや、向こうではこんなの無いよ。ただの装飾品だもん……」
『(鑑定は便利だからな、良かったではないか)』
呆然とする私に、さして驚きもせずにルビーは言った。
いやいやいや!! 驚こうよ!! ここ、驚く所だよ!?
ブルーサファイアのピアスが碧玉の何ちゃらで鑑定のスキルが付随している、とか!! おかしいでしょ!!
『(何がおかしいのだ? 武器や防具、装飾品などからスキルを得るのは普通だ。ただ、スキルが付随している物は高価だがな)』
ふ、普通なの?
鑑定って、確かトリシャ様やユトさんが言ってた結構レアなスキルだったよね……。
『(そうだな。この世界では少なくとも、鑑定のスキルがついた装備品は見つかっていないはずだ)』
ヒエッ……。
『主ー? どうしたのー? みみかざり、壊れちゃって悲しいの?』
エンリルが覗きこむ。
ううん、違うよ。新しいスキルを私が手に入れたからね、かわりに壊れちゃったんだよ。
『そうなの? おめでとー!』
めでたいのか……な?
『(フフフ、めでたいだろう。これで、我やエンリルのステータスの確認も出来るのだぞ?)』
……!!
そうだよ! 私ずっとルビーのステータス気になってたんだよ!
『(早速使ってみたらどうだ? ……驚くなよ)』
なあに、その不敵な笑みは。ここまできたら、もうちょっとやそっとの事じゃ驚かないよ。
「スキル、鑑定を使用……っと」
“スキル︙鑑定を使用します”




