エンリル、カラス疑惑。
私この本嫌いだな!
『(何だ、いきなり)』
ルビーの背で、テイマーの本を読んでいて思ったけれど、この本ってば“テイムした従伴は下僕”みたいな書き方ばっかりしているんだもん、気にいらなーい!!
『(暴れるな。落ちても知らぬぞ)』
笑っているけれど、ルビーさん? 私がそんなテイマーになっちゃったらどうするの?
『(世のテイマーは、本に書いてある通りの者が殆どだ。それに憤りを感じているならば、イオリはそんなテイマーにはならぬだろうよ)』
ちょっ、褒めても何も出ないぞー!
『(褒めてはいない)』
さいですか……。
でも、世のテイマーは殆どが“従伴は下僕”って考えだと、テイムされた方はたまったもんじゃないね。
『(屈服を拒み、死を選ぶものもいるぞ。知のあるものは特に、死ぬ方が楽な事を理解しておるからな)』
えぇぇ。そんなの哀しい。一緒に生きていくからこそのテイムじゃないなんて。
『(イオリが変わっているのだ)』
(イオリの場合、我が強制的にテイマーにしてしまった気もするがな)
私が変なのかなー? まぁでも、この本は嫌い! でもテイマーのスキルの説明だけは役にたったから良しとする。封印っ!
アイテムインベントリに放り込む。
『(そろそろ日が暮れる。あの木の下あたりで今日は休むとするか)』
……………………
『主ー、ぼくのばさばさしておこうかー?』
夜寝てる間に襲われてもルビーが守ってくれるだろうけれど、念には念を入れて良いかもしれない。
「お願いしようかな」
『ばさばさー!』
翼を三度震い、クリーム色のオーラが私を纏う。重さも不自由さも何にも感じない。
「すごいね、エンリル。ありがとう」
『えへへー。ぼくも主を守るんだからね!』
『(エンリル、我にはないのか?)』
『ルビーもばさばさいるの?』
ルビー自体が盾みたいなものなのに?
『(たまには我も守ってもらいたいぞ。それだけエンリルを頼りにしているということだ)』
う、うまいなルビー……。それを聞いたエンリルは喜んでばさばさしてる。
さてと。晩ご飯は何にしようかな。
『ぼく、葉っぱが食べたいなー』
『(我はトマトが食べたい)』
うん、わかった。買い物しよっか。
気配探知してもらって、ショッピング。
ワンクルーに今日はお店がいいと告げると、またしょんぼりしながら消えた。そんなへこまなくても、いつもワンクルーに頼んでるじゃない……。
ルビーとエンリルは一目散にお店の中に入っていって、買い物をしている。私よりも楽しんでいる気がする。
「今日は何にしようかなー」
カゴを腕に引っ掛けて、おばちゃんスタイル。
野菜コーナーでトマトを選んで、エンリルご所望のキャベツと、ブロッコリーを買ってみた。
果物コーナーに、大きなスイカがあったからそれも買った。確かまだルビー達は食べた事なかったはず。
雑誌のコーナーはまだ入荷未定のままだった。私がワン○ースを読めるのはまだまだ先になりそう。
いつも紙皿じゃ味気ないから、ルビーとエンリルに赤い大きめのお皿と青い深皿を買った。喜んでくれたらいいな。
私は久しぶりにゆっくり店内をまわって、ルビー達もあちこち見てまわったみたい。向こうに着物が沢山並べてあったぞ! 宝石が並んでたよ! って大興奮で戻って来たから。
「エンリル、なにそれ」
『これ、ほしいの』
咥えて来たものを手のひらにもらうと、サファイアのピアスだった。……な、なんで?
『きらきらしてきれい!』
カラスじゃないんだから!
『(かまわぬ、買ってやれ。何に使うものかはしらぬが。足りぬなら補充しておけ)』
ポイ、と金貨を出すルビー。小さい石だからそんなに高くはないだろうけれど……。遠慮なくチャージさせてもらって、会計を済ませた。




